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人見知りさんが異世界行ったら何故か人見知りがスキルになりました  作者: 白前 中
サウナを普及させよう

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世の中そんなに甘くない…

「ふにゃぁぁ……! このイチゴのタルト、とっても美味しそうですぅ!」

「鈴殿、こちらの保存食用の干し肉も上質ですよ」

「ケーキ! ケーキ! 早くおうちに帰ってサウナの後に食べるニャ!」


アステリアの街の広場で、両手いっぱいに買い出しの荷物を抱え、ホクホク顔で帰路につこうとしていた鈴たち。

しかし、世の中そんなに甘くはありませんでした。


「待ちなさい鈴様ぁぁー!」

「鈴殿、そのステップはもう見切った……って、おや?」


――ドシィィィィィン!!!


突如として、森の方から爆走してきたシオンとフィオナ王女が、広場のど真ん中に飛び込んできました。二人の服は幻影の『赤面爆炎』でボロボロの黒焦げ、髪は静電気のように逆立っています。


そして最悪なことに、二人が追いかけていた「幻影の鈴」が、本物の鈴のすぐ目の前でピタッと足を止めました。


パチパチパチ……。

本物の鈴と、幻影の鈴。パステルピンクの美少女が、広場で完全に左右対称に並び立ちます。


「……ふぇ?」

「……あら?」

「……計算が合わない。鈴殿が、二人……?」


完全なる鉢合わせ


「ひ、ひぎゃあああ! な、なんでこっちに戻ってくるんですかぁぁ!?」

鈴が叫んだ瞬間、魔力が切れた幻影の鈴は「シュウゥゥ……」と淡い光の粒子になって消えてしまいました。


「消え……っ!? ということは、今さっきまでわたくしたちを燃やしながら引き回していたのは、偽物(幻影)ですの!?」

「何という精巧な魔力人形……! いや、それよりも、こっちが本物の、生の鈴殿(Lv.501)……っ!」


シオンと王女の目が、らんらんと肉食獣のように輝き始めます。ジリジリと距離を詰めてくる二人の執念に、ヒルダがため息をつきながら、そっと鈴の前に立ち塞がりました。


「……鈴殿。これはもう、ダメですね」

「ふにゃぁ?」

「このお二人、どれだけ魔法で吹き飛ばそうが、幻影で騙そうが、地の果てまで追いかけてくる諦めの悪さを持っています。ここでまた逃げても、どうせまたダンジョンの入り口にテントを張られるだけです」


ヒルダは「羞恥の剣」の柄に手をかけ、悟りを開いた真面目な顔で提案しました。


「いっそのこと、この二人を『我が家(猫神様のダンジョン)』に案内しませんか?」


「えぇぇぇぇーーーっ!? い、嫌ですぅぅ! おうちが汚されちゃいますぅぅ!!」


「大丈夫です。我が家には、鈴殿が作った『巨大水槽』と、『超高温サウナ』があります。あの異空間に閉じ込……いえ、ご案内して、サウナの熱気で完全に骨抜き(ととのう状態)にしてしまえば、外で暴れ回るよりは制御しやすくなるかと」


「にゃるほど、サウナ刑ニャ!」とミィアもニヤリと笑います。


「うぅぅ……」

鈴は黒焦げになりながらも「鈴様ぁ~」「鈴殿ぉ~」と両手を広げて迫ってくる二人を見て、ついに諦めました。


「……わ、分かりましたぁ……。おうちのサウナに入るなら、静かにするって約束してくださいぃぃ……っ!」


しぶしぶ許可を出した鈴。


我が家への帰還、そしてカレンの【警戒モード】


『帰還の肉球』を使い、全員で一瞬にして猫神様のダンジョンへと帰還しました。


「お帰りなさいですぅ、鈴様! ……って、ひぎゃあ!? そのボロボロの不審者たちは何ですかぁ!?」

出迎えたセイナが霊体をガタガタと震わせます。


「ふふふ、ここが鈴様の愛の巣……素晴らしい環境ですわ!」

「この濃厚な魔力の満ち引き、そして奥から漂うこの『いい香りの蒸気』は一体……!」


ダンジョンに入るなりキョロキョロと物色し始める二人の前に、地響きと共に巨大な影が立ちはだかりました。


――グルゥゥゥゥオォォン……!!!


リボンベアのカレンです。

いつもは鈴のクッション代わりに甘えているカレンですが、主の領域を脅かす危険人物(変態)を察知し、完全に【警戒モード】に突入。

背中の毛を逆立て、鋭い爪を剥き出しにして、シオンと王女の頭上から恐ろしいプレッシャーを放ちます。


「ひっ……! カレンさん!?」

「ま、待て、俺はただ鈴殿のレベル501のステータスを観察したいだけで……(一歩下がって冷や汗)」


「クゥォォォ(一歩でも鈴に近づいたら、この爪でサウナの薪にするぞ)」


カレンの圧倒的な威嚇により、さしもの暴走コンビもその場でピシッと固まるしかありませんでした。


---


現在の状況


| 人物 | 状態 | 状況 |


| 桜井 鈴 | 【半諦め】| お土産のケーキを守るため、カレンの後ろに隠れる。 |

| シオン&フィオナ | 【拘束(物理・威圧)】 | カレンに睨まれ、身動きが取れない。「可愛いリボンなのに怖い…!」 |

| カレン | 【警戒モード:極】 | 二人が怪しい動きをした瞬間、即座に叩き潰す構え。 |

| ヒルダ&ミィア | 【サウナ準備】| 「よし、二人を放り込むためにサウナの温度を最強にするニャ!」 |

| セイナ | 部屋の水槽で泳いでいる(霊体) |


---


「……シオンさん、王女様。カレン怒らせると本当に怖いですからねぇ……。とりあえず、その汚れたお洋服とお体を綺麗にするために、あっちの『サウナ室』へ行ってくださいぃぃ!!」


ついに我が家に侵入してしまった二人。

鈴たちの平和な引きこもりライフは、一体どうなってしまうのでしょうか!?



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