座標的にはこの辺のハズ
「……ふむ。計算が正しければ、この座標のハズなんだが……」
鬱蒼と茂るアステリアの森の奥深く。シオンは奇妙な形をした魔導羅針盤を片手に、鬱蒼とした木々をかき分けて進んでいました。その後ろを、泥はねを気にしながらも優雅に(?)ついていくフィオナ王女。
ついにシオンが足を止めたのは、苔むした巨大な岩肌がそびえ立つ、行き止まりの場所でした。
「シオン! 確かこの辺りだと言ってわたくしを連れてきてみれば……何ですのこれは! ただの岩しかありませんわ!どういうことですの!?」
フィオナは目の前の巨大な岩壁を扇子(平民の服のポケットからなぜか出てきたもの)で指し示し、眉を釣り上げて怒りを露わにしました。
「おかしい……。確かにこの辺りから、鈴殿の尊くも清らかな、レベル501の魔力の波動をビンビンに感じる……。だが、視覚的にも物理的にも、やっぱり何も無いな。空間そのものがねじ曲げられているかのような違和感はあるんだが……」
シオンが大きな岩に触れながら首を傾げます。どれだけ高度な魔導知識を持ってしても、猫神様の最高級の隠蔽結界を完全に見破ることはできません。
しかし、ここで諦める王女ではありませんでした。フィオナはフッと不敵な笑みを浮かべ、キャスケット帽のつばを指でくいっと上げます。
「……フッ、頼りになりませんわね、自称・天才魔導師。よくお考えになって? 鈴様ほどの御方が、こんな分かりやすい場所にそのままいらっしゃるハズがありませんわ。もしかしたら、どこかに入り口が隠れているかも知れませんわ!」
「入り口だと……? 隠し扉の類か?」
「そうですわ! 鈴様のことですもの、きっと『恥ずかしいから入ってこないでくださいぃ!』という防衛本能が、この岩に化けさせているに違いありません! さあ、探しますわよ! 1ミリの隙間も見逃してはなりませんわ!」
フィオナはそう宣言するや否や、高級なドレスを諦めて平民の服になった野生の勘(?)をフルに発揮し、巨大な岩肌をペタペタと触りながら、入り口のスイッチや隠しレバーがないか血眼になって探し始めました。
「なるほど、盲点だったな。流石は王女、鈴殿への執着心においては俺と同等かそれ以上……。よし、俺は魔力探知を極小に絞って、空間の継ぎ目を探そう」
最悪のタッグが、文字通り「壁に耳をあり、障子に目あり」の勢いで、ダンジョンの入り口をガサゴソと探し始めてしまったのです。
その頃、我が家(結界のすぐ内側)では
「ひ、ひぎゃあああ! 岩の向こうで、王女様がペタペタ、シオンさんがブツブツ言ってますぅぅ!! すぐそこにいますぅぅ!!」
結界の監視モニター(空間創造魔法で作った水槽の壁面)を見て、鈴の羞恥心と恐怖心は完全にリミットを突破しました。すぐ外側で二人が岩を撫で回しているスレすれの光格に、生きた心地がしません。
「鈴殿、落ち着いて! 結界の強度は最大です、そう簡単には……っ(ボォォォッ!)」
ヒルダがなだめようとしますが、外の二人の執念に当てられて恥ずかしさが加速、羞恥の剣からパステルピンクの炎が激しく噴き出します。
「アツアツニャ! 鈴、早くなんとかしないと、外の二人に場所がバレるニャー!!」
ミィアが湿気と熱気でふにゃふにゃになりながら叫びます。
「鈴様ぁ! 私の癒し魔法で、せめてお気持ちだけでも静めてくださいぃぃ……っ!」
セイナが必死に鈴をぎゅっと抱きしめますが、鈴の「見つかりたくない」というエネルギーは、すでにレベル501の限界値を超えようとしていました。
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現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 行動 |
| 桜井 鈴| 【最大級の震え】 | 結界の裏で「来ないでぇぇ!」と念じ中。 |
| フィオナ王女| 【探索モード:極】| 岩の苔を剥ぎ取りながら「ここですわ!?」と爪を立てている。 |
| シオン | 【魔力分析中】| 岩に耳を当てて、中の「パステルサウナの振動」を感知しかけている。 |
| ヒルダ&ミィア| 【熱気充満】 | 緊張感で新スキルが暴走し、結界の部屋がサウナ状態に。 |
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「何っ……!? ついに見つけたか!?」
外の二人の手が、ついに結界の「核心」へと近づいていきます……!




