悪い夢ニャ
数日後。アステリアの城下町は、今日も多くの冒険者や商人で賑わっていました。
そんな中、買い出しに来ていたヒルダとミィアは、街の入り口でとんでもない光景を目撃してしまいます。豪華な馬車から降りてきたのは、平民の服を身に纏いながらも隠しきれない気品(と傲慢さ)を放つフィオナ王女。そして、その背後には不気味な魔導論文集を抱え、目を血走らせたシオンの姿がありました。
「見なさい、シオン! ついにアステリアに着きましたわ! さあ、鈴様はどちらにいらっしゃいますの!?」
「……フフ、落ち着け王女。俺の魔力レーダーには、すでに鈴殿の放つ『至高のパステルピンクの残滓』がハッキリと映っている……」
最悪のタッグが、確実に鈴の居場所へと近づいていました。
「……ミィア、見ましたか?」
「見たニャ。……悪い夢だと思いたいニャ……」
「即座に撤退します。鈴殿にこの危機を伝えねばなりません!」
ヒルダは躊躇うことなく、猫神様から授かった緊急脱出スキルを発動しました。
「――【帰還の肉球】!!」
シュンッ! という肉球型の光の残像を残し、ヒルダとミィアはアステリアの街から一瞬にして、我が家である「猫神様のダンジョン」へと転移したのです。
ダンジョンへの緊急報告
その頃、鈴はサウナ上がりの特製アクア水を飲みながら、カレンのフカフカなお腹でセイナと一緒にのんびりとお昼寝を楽しんでいました。
「ふにゃぁ……。やっぱり、おうちが一番安全で平和ですぅ……」
そこへ、空間を割ってヒルダとミィアが飛び込んできました。二人の顔はかつてないほど引き詰まっています。
「鈴殿! 大変です! 今すぐ結界を最大出力にしてください!!」
「ひ、ひぎゃあああ!? ヒルダ様、どうしたんですかぁ!? びっくりして心臓が止まるかと思いましたぁ!!」
「落ち着いて聞いてほしいニャ。街に……街に、シオンと王都の王女様が二人揃って襲来したニャ!!」
「……ふぇ?」
鈴は持っていたコップを落としそうになり、完全にフリーズしました。
「しかも、偶然鉢合わせたとかではなく、完全にお互い手を組んで鈴殿をターゲットに指定していました。シオンの魔力探知があれば、このダンジョンが見つかるのも時間の問題です!」
パニックになる我が家
「し、シオンさんと王女様が……タッグを組んで……? そ、そんなの、変態と暴走の悪魔合体じゃないですかぁぁ!! 嫌ですぅぅ! 絶対に会いたくありませんんん!!」
鈴はパニックになり、顔を真っ赤にして部屋の隅へと転がっていきました。
「鈴様、落ち着いてくださいぃ! 恥ずかしがりすぎて、またお部屋の温度が上がってますぅぅ!」
セイナが慌てて鈴に『慈愛の抱擁』をかけようとしますが、鈴の羞恥心(恐怖心)が勝り、各部屋の水槽の水が一気に沸騰し始めます。
「……くっ、鈴殿の羞恥心に反応して、私の剣が……燃える……! 燃え上がってしまいます……っ(ボォォォッ!)」
「あたしの拳も熱いニャー! 早く結界を閉じるニャ!!」
最強の二人が近づいているという報せに、我が家は一瞬にして大騒動へと発展するのでした。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 状況 |
| 桜井 鈴| 【限界パニック】 | Lv.501の魔力が暴走しかけ、ダンジョンがサウナ化を通り越して火山化寸前。 |
| ヒルダ&ミィア| 【迎撃準備】 | 『帰還の肉球』で先回り成功。|
| セイナ&カレン| 【鈴の保護】 | 震える鈴を必死になだめ、冷やそうとしている。 |
| シオン&フィオナ | 【進軍中】 「鈴様の神域は近い……!」とハイテンションで森を進行中。 |
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「ふにゃぁぁぁ! 誰か、誰か助けてくださいぃぃ!! 頼みの綱の『現実逃避(時間停止)』を使っても、あの二人なら止まった世界の中で自力で動いてきそうで怖いですぅぅ!!」
ついにダンジョンの入り口まで迫る二人。鈴たちの明日はどっちだ!?




