シャイニングフリーズ❓
「お湯、ちょうどよかったですぅ……」
洞窟の中を、自ら作り出した「聖なる温泉」で満たしてしまった鈴。
カレンの背中に乗ってぷかぷかと出口まで流されてくると、そこにはびしょ濡れで震えているシオンと、呆れ顔のヒルダが立っていました。
「……あ、あんたたち……中で……何をして……(湯気でメガネが曇る)……あ、熱い……っ!」
シオンは、洞窟から溢れ出してきた謎の熱水の勢いと、鈴たちのあまりに緊張感のない姿にショックを受け、そのまま「ガクッ」と膝をついて気絶してしまいました。
「……あわわっ! シオンさんがまた気絶しちゃいましたぁ!!」
その瞬間、鈴の頭の中に清らかな鐘の音が響き渡ります。
【ログ:希少種『ソーサリーメタリィラビット』の討伐報酬、および『シオンの戦意喪失』により経験値が一定値に達しました】
【桜井 鈴:Lv.499⇒ Lv.501にレベルアップ!】
「……ふぇ? 500……1……?」
鈴の体が、今まで見たこともないような淡いパステルピンクの光に包まれました。
レベル500という「人間の限界」を超えた瞬間に訪れる、魂の変質。
しかし、人見知りの鈴にとって、その進化は斜め上の方向へと向かってしまいます。
究極スキル発現:【人見知りの極致・現実逃避】
シオンを助けようと駆け寄ったヒルダや、目を回しているシオンの視線(気絶していますが)が自分に集まっていると感じた瞬間、鈴の「恥ずかしさ」が沸点に達しました。
「あぅ……あぅぅ……っ。そんなに、そんなにジロジロ見ないでくださいぃぃ!! いっそのこと、世界よ止まってくださいですぅぅ!!!」
――キィィィィィィィィィン!!!
鈴が顔を真っ赤にして叫んだ瞬間、周囲の風景から色彩が消えました。
飛び散っていた水しぶきも、驚いた顔のヒルダも、気絶したまま宙に浮きそうになっていたシオンも、すべてが氷像のように静止します。
「……えっ? えぇぇ……っ!? ほ、本当に止まっちゃいましたぁ!?」
鈴が慌てて周囲を見渡すと、動いているのは鈴自身と、鈴の魔力に直接繋がっているセイナ、カレン、ミィアだけ。
「……鈴様、これは……『見られたくない』という強い願いが、空間と時間の法則をねじ曲げてしまったみたいですぅ……っ」
セイナが驚きに目を見開いて説明します。
「……現実逃避……究極の防御魔法だニャ……」
ミィアが感心したように、止まったシオンの鼻先をツンツンとつつきます。
恥ずかしさの限界と「時間停止」の活用
鈴は、レベル501で手に入れたこの【現実逃避】を使い、今のうちに恥ずかしい状況を隠蔽しようと考えました。
1. お洗濯大作戦:止まった時間の中で、びしょ濡れのシオンとヒルダの服を、魔法で一瞬にして乾かし、ピカピカにクリーニングする。
2. 温泉隠滅: 洞窟から溢れたお湯を、空間創造魔法で「地下の秘密貯水池」へと移動させ、証拠を隠滅する。
3. 決めポーズの修正:ついでに、自分がカレンの上でだらしなく浮いていた姿勢を正し、何事もなかったかのようにシュタッと着地した状態にする。
「……よしっ。これなら、恥ずかしくない……はずですぅ!」
鈴が「えいっ」と指を鳴らして魔法を解除すると、世界に色が戻りました。
「……え? 鈴、いつの間に地面に? それに……服が、さっきまで濡れていたはずなのに、お日様の匂いがする……?」
ヒルダが不思議そうに自分の袖を嗅ぎます。
「……はっ!? 私……何を……。……あれ? 洞窟に温泉なんて……最初からなかったかしら……?」
目を覚ましたシオンも、記憶と現実の矛盾に首を傾げています。
「えへへ……。気のせいですよぉ、シオンさん。きっと、お疲れなんですよぉ……」
レベル501になった鈴は、最強の「現実逃避」を武器に、今日も全力で恥ずかしさから逃げ回るのでした。
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ステータス更新
桜井 鈴
レベル: 501
新スキル:【人見知りの極致・現実逃避】
* 恥ずかしさが限界に達すると発動。自分以外の時間を数分間停止させる。ただし、発動中は鈴も「恥ずかしさ」で悶絶しているため、動くにはかなりの精神力が必要。




