冒険者剥奪は嫌です
「ふにゃぁ……。冒険者じゃなくなっちゃうなんて……。世の中って、とっても厳しいですぅ……っ」
鈴はアステリアの街を離れ、鬱蒼と茂る森の入り口で、深いため息をつきました。冒険者資格を維持するための最小限のノルマ、それが今回の「ゴブリン討伐」です。
「鈴殿、案ずることはありません。レベル499の貴殿にとっては、ゴブリンなど道端の小石を避けるようなものです」
「そうニャ! さっさと終わらせて、ダンジョンのフカフカお布団に戻るニャ!」
ヒルダとミィアに励まされ(というより背中を押され)、鈴は懐にセイナ(ぬいぐるみ姿)を、隣に頼もしいリボンベアのカレンを連れて、森の奥へと進んでいきました。
実践:『人見知りの極致』の威力
森に入ってすぐ、ガサガサと茂みが揺れ、汚い棍棒を持ったゴブリンの群れが姿を現しました。
「ひ、ひぎゃあああ! 出ましたぁ! 怖いお顔をしてますぅぅ!!」
「鈴様、落ち着いてください……っ。新スキルの使いどころですぅ!」
セイナの声に、鈴は新能力を発動しました。
「……【人見知りの極致】……ですぅ!!」
シュンッ、と鈴の姿が背景の木々や影に完璧に同化し、気配までもが消え去りました。
目の前にいたはずの獲物が消え、首を傾げてキョロキョロと辺りを見回すゴブリンたち。そのすぐ鼻先を、透明になった鈴が「すみません、すみません……」と小声で謝りながら、抜き足差し足で通り抜けていきます。
「(……ふにゃぁ。これ、本当に気づかれませんねぇ。誰にも見られないって、なんて幸せなんでしょう……)」
圧倒的な討伐:人見知りの逆襲
しかし、依頼は「討伐」です。ただ通り過ぎるわけにはいきません。鈴はゴブリンの群れの背後に回り込み、震える指先で魔法の標準を合わせました。
「……あの、痛くしないように頑張りますから……。【赤面爆炎】!!」
透明な空間から突如として放たれた、赤面爆炎の高火力魔法!
ドォォォォォン!! という凄まじい衝撃波と共に、ゴブリンの群れは一瞬で光の粒子となって消え去りました。
「……あ。……終わっちゃいましたぁ」
「一撃だニャ……。やっぱり鈴の『人見知り』が牙を剥くと、手が付けられないニャ」
「隠密からの奇襲。暗殺者の極意を地で行く戦い方ですね、鈴殿」
ヒルダの評価に、姿を現した鈴は「暗殺者だなんて、そんな物騒な……っ」とまた赤面してしまいました。
事件の予感:森の奥からの視線
無事に依頼分の討伐数を稼ぎ終え、鈴がホッと胸をなでおろしたその時です。
「……む。……鈴の魔力が、この森の奥で『爆発』したな……?」
なんと、カレンに追い払われたはずのシオンが、ボロボロになりながらも木の上に潜伏し、特製の魔導双眼鏡で鈴を追いかけていたのです。
「透明化のスキルまで得たというのか……! 素晴らしい、ますます俺の探求心が燃え上がる! だが、透明になろうとも、その破壊の跡(パステルカラーの焦げ跡)を見れば、あんたの居場所は丸分かりだぞ!!」
シオンは興奮で鼻血を出しながら、音もなく木々を飛び移り、鈴たちの後をつけ始めました。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 備考 |
| 桜井 鈴| Lv.499| 【依頼達成】隠密魔法の便利さに感動中。 |
| カレン | 【警戒】| どことなく、背後の「変態の気配」を察知して耳を動かしている。 |
| シオン | 【ストーキング・プロ】 | 完全に森と同化し、鈴の戦闘データを記録中。 |
| セイナ | 【応援】| 懐から顔を出し、「鈴様、今の魔法かっこよかったですぅ!」 |
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「ふにゃぁ、カレンさん、帰りにおいしい木の実でも探して帰りましょうかぁ」
のんびりと帰路につこうとする鈴たち。しかし…




