超巨大なクマ⁉️
「セ、セイナさん!? な、なんでそんなに大きくなっちゃったんですかぁぁ!!」
朝の平和なダンジョンに、鈴の悲鳴が木霊しました。
鈴が「パステル・シャイニング・フォーム」で放ったあまりに純粋で強大な浄化の光。それを浴び続けてしまったぬいぐるみのセイナに、とんでもない異変が起きていたのです。
巨大化:桃色グマの立てこもり
「……あ、あの……。す、すみません……。起きたら、なんだか視線が高くなっていて……動こうとしたら、お尻が壁に挟まって……うぅ、恥ずかしいですぅぅ……っ」
そこには、通路を完全に塞ぐほどに巨大化した、全高5メートルはあろうかという「超巨大・桃色リボンクマ」の姿がありました。セイナが恥ずかしがってモジモジと体をよじるたびに、ダンジョン全体が「みしみし……」と悲鳴を上げ、天井からパラパラと砂埃が落ちてきます。
「ニャー! 吾輩のダンジョンが、ぬいぐるみの綿でパンパンだニャ!! 鈴、なんとかするニャ!!」
「そんなこと言われてもぉ! セイナさん、これ、私の魔力を吸いすぎちゃったせいですよねぇ!? ど、どうしましょう、このままじゃ朝ごはんの材料を取りに行けませんぅぅ!!」
救出作戦:みんなで押し出せ!
シミュレーションルームから駆けつけたヒルダとミィアも、この異常事態に目を丸くしています。
「……なるほど。鈴殿の聖なる魔力と、セイナ殿の『憑依能力』が共鳴して、依り代であるぬいぐるみを成長させてしまったのですね」
「理屈はいいから、とにかく外に出すニャ! このままじゃあたしたち、この奥に閉じ込められたままだニャ!!」
ミィアの言う通り、巨大なセイナが通路の曲がり角でガッチリとはまってしまい、一行はリビングへ行けなくなってしまったのです。
「セ、セイナさん、ちょっと失礼しますねぇ! せーのっ……えいっ、えいっ!!」
鈴が小さな手で巨大な背中を押し、ヒルダが肩を入れ、ミィアが隙間に潜り込んで押し上げます。カレンも後ろから「グォーッ!」と力強く頭で押し始めました。
「う、うぅ……。みなさんに、こんな大きなお尻を押されるなんて……恥ずかしくて、綿になって溶けてしまいたいですぅ……っ!」
セイナが羞恥心で真っ赤(もともとピンクですが、さらに濃い赤色に)になると、ぬいぐるみの体がポカポカと発熱し、膨張がさらに加速します!
特訓の成果:鎮静のパステル・オーラ
「ひ、ひぎゃああ! セイナさん、恥ずかしがるともっと大きくなっちゃいますぅ! 落ち着いてくださいぃぃ!!」
ここで鈴は、昨日の特訓を思い出しました。「恥ずかしさを外に漏らさず、練り上げる」。鈴は自分の胸元に手を当て、深呼吸をしました。
「……大丈夫ですよ、セイナさん。恥ずかしいのは、あなたがそれだけ一生懸命だからですぅ。……私の魔力、優しく受け取ってくださいねぇ」
鈴が「パステル・シャイニング・フォーム」の片鱗を使い、穏やかな鎮静の光をセイナに流し込みました。すると、セイナのパニックが収まり、ぬいぐるみの体が少しずつ、柔らかく縮み始めました。
「……あ。……少し、隙間ができましたニャ!!」
「今だニャ! カレンさん、一気に押し出すニャ!!」
カレンが渾身の力で突進! 「ズボォォォンッ!!」という凄まじい音と共に、セイナは通路を抜け、勢いよくダンジョンの入り口から外の広場へと放り出されました。
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事件の結末:お庭の守護クマさん
「ふにゃぁ……。なんとか、お外に出せましたねぇ……」
広場の上で、まだ2メートルほどの大きさを維持したままのセイナが、恥ずかしそうにリボンで顔を隠しています。どうやら、吸収した魔力が多すぎて、すぐには元のサイズには戻れないようです。
「……あ、あの……。しばらく、ここでお庭番をさせていただきますぅ……。……お家の中にいるよりは、恥ずかしくない……かもしれません……っ」
「いいニャ、いいニャ! ちょうどいい番犬……じゃなくて、番クマができたニャ!」
猫神様も満足げに頷きました。こうして、猫神様のダンジョンには新しく、「世界一恥ずかしがり屋な巨大守護獣」が誕生したのでした。




