恥ずかしさの具現化⁉️
「も、もう一歩も動けませんぅぅ……」
特訓を終えた鈴は、魂が口から抜け出たような顔で自室のベッドへ倒れ込みました。しかし、主の意識が眠りに落ちても、日中に練り上げられ、行き場を失ったレベル479の「恥ずかしさ魔力」は収まっていませんでした。鈴が寝返りを打つたびに、パステルピンクの魔力がシーツから溢れ出し、ダンジョンの床を伝って深層へと染み込んでいったのです。
翌朝、ダンジョン内に異変が起きました。
「ニャ!? なんだか廊下の形が変わってるニャ!」
「……鈴殿の特訓の余波でしょうか。空間が歪んでいます」
朝食の準備をしようとしたヒルダとミィアが、見慣れない装飾の扉を発見しました。扉には巨大なリボンと、なぜか赤面した猫のエンブレム。好奇心旺盛なミィアが先にその扉を開けると、そこは四方八方が鏡で埋め尽くされた【鏡の迷宮:パステル・トラウマ】だったのです!
「な、なんニャこの鏡はぁぁ!!」
「ミィア、入ってはダメだニャ!!」
猫神様の制止も間に合わず、二人は鏡の中に吸い込まれてしまいました。慌てて起きてきた鈴が現場へ駆けつけると、鏡の中には目を疑う光景が映し出されていました。
「……こ、これは……ミィアさんの『猫缶を盗み食いして鼻にクリームをつけている過去』!? それに、ヒルダさんの『騎士団時代、一人でかっこいいポーズを練習していた暗黒時代』が上映されてますぅぅ!!」
鏡に映し出されるのは、本人たちが「消し去りたいほど恥ずかしい」と思っている過去の記憶。鈴の空間創造魔法が無意識に「恥ずかしさ」を具現化し、迷宮にしてしまったのです。
「だ、ダメですぅ! そんなの見ちゃダメですぅ!!」
「落ち着くニャ、鈴! 二人は恥ずかしさのあまり、鏡の世界で石化しかけてるニャ。生みの親であるお前が中に入って、その恥ずかしさを浄化(受け入れ)して救い出すしかないニャ!!」
鈴は顔を真っ赤にしながら、仲間を救うために「自分たちの恥ずかしい過去」が溢れる鏡の迷宮へ飛び込む決意をしました。




