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23.領地での出来事 ②

 屋敷にいる使用人たちの数は一人しか居なかったわけだけど、今はもう少し数がいるみたい。商人が雇った人だろうか? あくまでこの屋敷は私の家の物なのに。どうしてこんな風にわが物顔で居座っていると思うと……複雑な気持ちになる。



 バーリクとチーチェは何処にいるのだろうか?

 ……あと私が騎士になる前よりも余計な物が色々と増えている気がする。これらはお父様とお母様が買い込んだものだろう。



 借金をしてお金が手に入ったからとこれだけ散財したのだろうか? どうしてこうも使いもしなさそうなものが沢山あるのか。

 思えば子供の頃も、要らない物を購入していた気がする。食べきれないほどの食事を購入して、結局駄目にしてしまったり……。

 そういうもったいないことを両親はよくしていたのだ。……私が子供の頃の段階でもっと早くに両親のことを咎めて、どうにかしていたらよかったのかな。それかもっと他の大人に助けを求めて、ここまで借金を負わないように出来ていればよかったのかな。

 そんな後悔の、たらればを考えてしまうのは弟妹たちのことが心配な気持ちでいっぱいだからだろう。




「……どこにいるんだろう?」



 屋敷はそこまで広くないはずなのに、バーリクとチーチェの姿が見えない。

 二人の姿も、見慣れた使用人の姿も――両方が見られないことに私は焦りを感じてしまう。




 ちなみにそうやってこっそり屋敷内を見て回っている間に、両親が私を嫁がせようと考えていた商人の姿も見かけた。




 ……お父様と同じぐらいの年の、横に幅が広い男性。実年齢よりも年が取っているように見える。頭は働くのかもしれないけれど、騎士として働いている私は不摂生な見た目だなとそんな風に思ってしまう。

 だって明らかに運動をしていない感じの見た目だもの。

 人によってはそういう見た目も好ましい人がいるかもしれないけれど、私はそれよりも引き締まった身体つきの方が…とそこまで考えてマヒーユ様のことが頭に浮かんで首を振った。




「――この家の長女を連れ戻しに此処の領主が向かっているのだろう?」

「領地を投げ出してまで借金をしようとするとは本当にどうしようもない貴族だな」




 商人の雇ったであろう男たちがそんなことを話していて、なんだかもやもやした気持ちになる。いや、まぁ、確かに私の両親はそういう借金をする点に問題があるのは当たり前のことだけど私の両親を詳しく知りもしないのにそんなことを言われるのは何とも言えない気分。




 隅々まで屋敷の中を見て回る。

 実家に居た頃には中々見ることもなかった物置部屋なども見たのだけど、本当にバーリクとチーチェの姿が全く見えない……。いや、本当に何処にいるの??

 これだけいないとなると二人とも別の場所に隔離されているのか、よっぽど簡単に探せない場所にあるのか。




 私の知らないだけで隠し部屋とかあったりするのかな? 大貴族の屋敷とかだと何かあった時に逃げるためのそういう秘密の通路というのはあるだろうけれど、うちの家にあったりするんだろうか?

 ああ、もうそのあたりをお父様とお母様からちゃんと聞いてからこちらに来ればよかったかも。焦ってそういう所を確認するのが漏れてしまったのは私の落ち度だ。



 一度、そのまま屋敷から出てまた情報収集を行った。




 あれだけ探して置いて見つからないとなると、別の観点から二人のことを探さなければならないから。





 宿にはとまらなかった。

 それは私がこの領地に帰ってきていることが噂になるのは困るから。




 そういうわけで私は野営をしながら、バーリクとチーチェを救うために行動を起こしている。

 ……しかし情報収集をしていても全然集まらない。

 神隠しにあったかのようにバーリクとチーチェの姿が消えたように周りからしてみれば見えるようだ。




 二人も人が消えてしまうなんて本来ならありえないので、何かしら商人がやったのだろうけれど……。二人が無事なのか、何かあったの……。

 そのあたりのことを考えるだけでとても恐ろしい気持ちになる。

 二度目の屋敷への侵入時も詳しい情報が集められなかった。




 というか、あの屋敷内にいる者たちはバーリクとチーチェの情報を全く語らないのだ。

 これだけ語らないとなると本当に屋敷内に二人が居ない可能性が高い気がする。

 力づくでどうにかするにしても、あの屋敷に居る全員をどうにかするのは難しい……。




 一人や二人ならどうにでもなるのだけど!

 一人を捕まえて情報を吐かせるにしても……そうなると、私が此処にいることはばれてしまうし……。




 そうなるとどう行動すべき?

 私は自分でどう動くのが最適解なのか全然ぴんと来なくて……、どうしたらいいだろうかと頭を悩ませてしまう。



 そうやってどう動けばいいか分からずにもどかしい気持ちで野営をしていると、



「ユリアンリ」



 私は急に声をかけられた。


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