7人目~【合コンで出会った、莉愛】結菜を選んだ凪くんより大切な人を見つけるからね
わたし、誰もが振り返るほどの美人って自覚あるんだよね。
合コンに行けば、どの男もわたしを値踏みし、都合よく扱おうとしてくる。
わたしにとって男とは
「自分の価値を下げてくる、乱暴な生き物」
でしかなかった。
そんな中で出会った凪くんは違った。
彼は穏やかな眼差しで、ただ静かに話を聞いてくれた。
凪くんは、わたしのことを丁寧に扱ってくれた。
デートの時も、車道側を歩くとか、高い店に連れて行くとか、そういうことじゃない。
わたしが少しだけ見せた不安や弱音に、驚くほど真摯に耳を傾けてくれたんだ。
「莉愛のこと、大切にしたい」
その言葉で、わたしは凪くんに落ちた。
彼の手の触れ方は、まるでお気に入りのガラス細工を扱うように慎重で、丁寧だった。
これまで経験してきた「男たちの欲望」とは無縁の……
そう、聖域のような時間がそこにあった。
でもね、凪くんは、結菜という存在にも、心が向いていた。
それに気づきながらも、わたしと関係を続けてくれるから、それに甘えていた。
凪くんがわたしに向けてくれる優しさが、結菜への嫉妬よりも勝っていた。
「私を選んでなんて言わないから。……ただ、あなたの隣にいたいだけ」
そんな風に、あえて凪くんを追い詰めないことで、彼の「幸福の分散」を自分なりに受け入れていた。
あの夜、凪くんは静かに言った。
「ごめん莉愛、俺もう結菜と生きていくって決めたんだ」
わたしはそのとき、選ばれなかったことを悟る。
けれど、凪くんは最後に、これまで出会ったどんな男よりも優しい言葉をくれた。
「莉愛は本当に綺麗で、強くて、優しい。……だから、莉愛のこと傷つけない男と出会えるの願ってる」
それは、彼なりの「最後の誠実」だった。
自分を振る男が、これほどまでに自分を肯定してくれる。
その事実に、涙が止まらなくなった。
LINEを消去するその時、わたしはスマホに向かってつぶやく。
「あんたのその優しさは、私をダメにする魔法だったね」
凪くんを失った喪失感は大きい。
けれどもう以前のように、雑な男たちに流されることはないだろう。
凪くんという「本当の優しさ」を知ってしまったからこそ、これから、自分を本当に大切にしてくれる人を見極める強さを手に入れたのだ。
そう思うことで、わたしはきっと救われる。




