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【SS】幸せの分散はもう終わり、置いて行かれる女の子たち〜本気の恋でLINEを消した日 ~僕らの傷跡~彼の甘い洗脳、歪んだ溺愛から救ってください  作者: 水波瀬 凪
【第一章】幸せの分散はもう終わり、置いて行かれる女の子たち〜本気の恋でLINEを消した日

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6人目~【道でスカウトしてきた、春菜】自分の幸せを優先するあんたなんか大嫌い

あの日、街を歩く凪くんを見かけ、その圧倒的なオーラに思わず声をかけた。


「すみません! 芸能に興味ありませんか?」


でも、凪くんの返答はあっさりしたものだった。


「あ、すみません。本業があるので無理です。バイトならいいですけど」


彼は、モデル業を


「あくまでお小遣い稼ぎの副業」


としてしか捉えていなかった。


その余裕というか、彼にとっての優先順位の低さが、逆に


「何としてもこの原石を輝かせたい!」


というプロとしての闘争心に火をつけた。



凪くんを月刊誌E-Ruelle(えるる)読者モデルとして手配し、私は彼の担当になった。


撮影現場で、彼は指示通りに動く。


見つめられるだけでカメラマンすら恋に落ちる魔性。


でも撮影が終われば


「お疲れ様です、じゃあ明日仕事なので帰りますね」


と、あっさりと自分の世界へ戻っていく。



そんな凪くんを私は必死に口説く。


「ねえ、専属になろうよ。もっと売れるよ」


でも凪くんは困ったように笑うだけ。


春菜(はるな)さん、それより今日のお昼、美味しいパン屋さん見つけたんですけど、一緒に行きませんか?」



仕事の話を逸らして、個人的なデートに連れ出す凪くん。


その無邪気な優しさに、私は次第に「仕事」ではなく「一人の男」として彼に溺れていく。



凪くんの読者モデルとしての人気は急上昇。


彼を本格的に売り出そうと準備を進めるんだけど、凪くんはどこか冷めていた。


「まあ、楽しいですけどね。これ以上はめんどくさいかな」


ある日、凪くんが撮影スタジオにやってきて


「もう、読者モデルも辞めます」


「えっ、なんで!?」


「本気で好きな人ができて。……モデルなんてやってたら、彼女が不安になるでしょ?」


凪くんは私の制止を聞かず、アカウントを削除した。



私にとっての


「人生を懸けたプロジェクト(凪くん)」


でも彼にとっては


「愛する人のために捨てられる、ただのバイト」


でしかなかった。


私は消えた画面をぼんやりと見つめた。


私は凪くんをスターにできると思ってた。


本気で。


なのに彼は、そんな未来よりひとりの女の子を選んだ。



「あんたみたいな、自分の幸せを最優先にする天使なんて……大っ嫌い」


誰もいなくなった楽屋で、私はプロとしてのプライドを抱きしめながら、静かに涙を流した。

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