表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【SS】幸せの分散はもう終わり、置いて行かれる女の子たち〜本気の恋でLINEを消した日 ~僕らの傷跡~彼の甘い洗脳、歪んだ溺愛から救ってください  作者: 水波瀬 凪
【第三章】彼の甘い洗脳〜歪んだ溺愛から救ってください

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/16

③待ち伏せされて見張られて飼い慣らされてゆく

動揺を隠せないまま、私はみーくんと一緒に部屋へ入った。


「あれ、ゆいちゃん。ピアス、かわいいね」


ピンクなんて珍しいな、と彼が私の耳元を撫でる。


そう、今日は恋愛運が上がると聞いたピンクのピアスをつけていたのだ。


「でもやっぱり、ゆいちゃんは白が似合うよ」


彼は相変わらず、私の些細な変化にすぐ気づく。


着替えやメイク落としの間も、彼は不機嫌だった。


いつもならシャワーに誘ってくる彼が、その夜は背中を向けて一人でバスルームへ消えた。


怒っているの? それに、今日は来ないはずじゃなかったの? なぜ突然現れたの?


シャワーを終えてベッドへ戻ると、みーくんは待ち構えていたかのように起き上がり、「おいで」と手招きした。


ワンコを呼ぶようなその指先。


私の体は、意思に反して条件反射のように彼のもとへ引き寄せられてしまう。


……このまま行為にもちこんで、すべてをうやむやにするつもり?


そう思いながらも、今の私には拒絶する気力さえ残っていなかった。


「あのさ」とみーくんが切り出した。


「あれ、誰? ゆいちゃんの新しい彼氏?」


やっぱり見ていたんだ。


手をつないでいたこと、彼はすべて把握していたのだ。


「ううん、違う。彼氏じゃない」


それは嘘偽りのない、本当のことだった。


「あいつと目が合った気がしたけど、俺のこと気づいてなかったかな」


みーくんはそう呟くと、ポツリと本音を漏らした。


「俺がほかの誰とも続いてないとき、ゆいちゃんは俺を待ってると思ってた。おとなしく待ってるって、言ったよな? それを信じてたのは、俺だけだったのか?」


返すべき言葉が見つからなかった。「ごめんなさい」という言葉は、何かが違う気がした。


私が黙り込んでいると、彼はさらに続けた。


「……まあいいや。つきあってないんだし、ゆいちゃんが誰と何をしようが勝手だよな」


「つきあってないし」という突き放すような響き。


頭ではわかっていたはずなのに、改めて突きつけられると、胸の奥が鋭く痛む。


「結局、俺たちがつきあっていないのが問題なんだろ?」


彼が私の寂しさを代弁するように言った。


「だったら、またつきあおうか?」


ずっと、ずっと欲しかった言葉。


かつての私なら迷わず首を縦に振っていただろう。けれど、今の私の胸に浮かんだのは、凪くんと過ごしたあの夜の、澄んだ空気だった。


「……つきあわない」


私は、自分でも驚くほどはっきりとそう言った。


「そうか……都合よすぎるよな」


彼はため息混じりに、苦笑いした。


「俺ね、待ち伏せしてたんだ」


みーくんは、凪くんを見て嫉妬したこと、私から捨てられるのが怖かったことを打ち明けた。


勝手に外で遊んで、自分勝手に戻ってくるくせに。


「束縛はできないけど……俺のやったボディミストをつけて、他の男に会うのはやめて」


結局、彼は自分本位なルールを私に押し付ける。それがみーくんなのだ。


彼に抱きしめられながら、私の心はどこまでも冷めていた。


「つきあわない」と言ったのは、凪くんとの未来を捨てたくなかったから。


今の私は、みーくんと凪くん、二人を天秤にかけている。


彼と同じように、誰かを傷つけ、自分も汚れていく。


悪いことをしている。罪悪感が胸を締め付ける。


……けれど、その痛みが変な熱に変わった。


私がみーくんの背中に腕を回すと、そのまま私たちはベッドへと崩れ落ちる。


彼に深く侵食されながら、私は体の奥から湧き上がってくる快楽を止められなかった。


「……気持ちいい、みーくん」


罪悪感さえも快楽に変換して、私は再び、飼い主の指先で飼い慣らされていく。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ