【041】ラグジュアリーホテル
空港から車を15分ほど走らせると、目的のホテルへ到着した。
途中で大通りから細い道へ入ったため、そこは少し都会の雰囲気が消えたような場所だった。
「今回お2人にお泊まりいただくホテルは、こちらです。」
…
「うわぁぁぁぁ!!?」
「うおぉぉぉぉ!!!」
俺とベンジーは車を降りるなり、声を上げる。
だって、このホテル…。
金色なんだもの!
もうピッカピカのキッラキラ。
おそらく10階くらいまであるこの建物は、窓以外の全てが金色。
王族か?っていうくらいのラグジュアリー感だ。
形もヨーロピアンなデザインで、ちょっとしたお城みたい。
「ア、アロハシャツが浮きそうだな…。」
ベンジーは自分の服装を気にして、ペタペタと胸元を触る。
確かにこんな城みたいな所で、アロハはかなり目立ちそう。笑
「ねね、こっちもすごいよ!
イングリッシュガーデンみたい!」
今度は建物ではなく、庭に目を向けた。
敷地の中には、白と水色の薔薇が咲き誇り、さらには立派な噴水まで設置されていたのだ。
サ〜*・゜゜・*:.。..。.:*・
流れる水まで、高級感にあふれている。
(意味不明 笑)
「港町の噴水とは、全然違うねぇ…。」
いつもの町の噴水を思い出す。
するとベンジーも。
「おう…。
地元のは地元ので良いけど、これはなんつーか…。
格別だな。」
口をポカンとさせる。
2人で噴水に見惚れていると、シドさんが車からスーツケースを降ろしてくれた。
ガコッ!
「荷物、こちらに置きますね〜。」
「あ、すみません!
ありがとうございます!」
ガラガラガラガラ…。
チェックインの手続きをするため、俺達はシドさんの後についてホテルの入り口へ向かった。
金色の壁が、眩しい…。
…
「マックス様、ベンジー様。
こちら、901号室のキーでございます。
そして残り2名の方は…。
後日チェックインということですね。
その際には、お隣の902号室になります。」
フロントマンが鍵を取り出す。
残りの2名っていうのは、ドリスさんとフルーティーのこと。
数日後にここにやってくるはずだ。
「分かりました。
ありがとうございます。」
と言いつつも。
なんだか話が頭に入ってこない。
だってこのロビー、すっごいんだもん。
フロントデスクの反対側には、革張りの高級ソファーがあちこちに置かれ、ガラスのテーブルには大きな花瓶が。
そこに、庭に咲いていた薔薇の花が、これでもかと盛られている。
さらにはお客様が入ってくるたびに、クラシックミュージックの生演奏がスタートし…。
ドレスアップした男女が、バイオリンやピアノを弾いてお出迎え。
♩〜
それが終わると。
ザッ!!!
ホテルマン達が、一斉にお辞儀をする。
いやいや。
前世では、ビジネスホテルですら泊まるのを躊躇していたのに。(金欠で)
こんなに高級なところ…。
ドギマギしちゃって、大変だよ!
―
フロントの手続きが終わった。
「…。
に、なりますね〜。
てことで、大丈夫でしょうか?」
部屋に向かう前にシドさんが何か説明してくれたけど、ボーッとしてて聞きそびれた。
「あ、ごめんなさい!
ウットリしすぎて聞こえませんでした…。」
ベンジーも自分の頬をパンパンと叩き。
「申し訳ない!
俺も、同じく。
頭が回らねぇや。」
目をパチクリさせる。
ははは。
そんな俺達を見てシドさんは笑った。
「お気に召していただけて、良かったです〜。
ここは隣町で、3本の指に入るラグジュアリーホテルなんですよ。
サービスも一流ですので、ゆっくり過ごしていただけるかと。
なお、今回は準スイートのお部屋になりますね。」
「じゅ、じゅ、じゅんスイート?!」
普通の部屋でも高そうなのに、準スイートって。
まさかこのような高級ルームに泊まる日がやってこようとは。
嬉しいのと、戸惑いと。
もう気持ちはゴチャゴチャ。笑
と、その時。
「お客様。
荷物をお預かりいたします。」
チェックインを済ませた俺達に、ボーイさんが輝くような笑顔で近づいてきた。
キラーン⭐︎
おぉ。
超爽やか。
笑顔まで一流って感じ。笑
「お部屋に、ご案内いたしますね。」
そう言ってボーイさんはフロントから左に曲がった。
しかしエレベーターの前まで来ると、立ち止まり…。
「…シュラッペ!」
突き当たりの壁に飾られている、中世期デザインの鎧に魔法を放ったのだ。
シュラララ〜・:*.:
何をするんだろう?
ギイィ…。
ガコッ、ガコッ。
「うわっ!」
「フハッ!」
なんと、その鎧が動き出した。
ガガガガガ…。
そして俺達に向かって、お辞儀をする。
「おぉぉ?!
鎧が……鎧が挨拶してくれてる!笑」
ペコッ。
つられて俺達も軽く頭を下げた。
なにこれ?
面白い演出だな。笑
ポンッ。
鎧がエレベーターの上りボタンを押し、少し待つ。
…
「ピーン♩」
エレベーターが来ると、鎧は手を伸ばした。
俺達が乗り込む間、しっかりと扉を押さえる。
「ど、どうも。」
思わずお礼を伝える俺。
ギギギ…。
ボーイさんと、シドさんと、俺とベンジー。
4人が乗ったことを確認すると、鎧は再びお辞儀をして、元の位置へと戻っていった。
ギィ…。
ガコッ、ガコッ。
「…。
今の、面白いッスね。笑」
エレベーターの扉が閉まると、ベンジーが笑いながら言った。
「ありがとうございます。
私のシュラッペは、こういった鎧や人形に、命を吹き込むことなんです。
ちょっとしたパフォーマンスですが、これが意外と好評でして…。
楽しんでいただけたのなら、良かったです。」
ニコッ。
ボーイさん、なんだか嬉しそう。
シュラッペって、色々な種類があるんだな。
そしてみんな、それを仕事や生活に活かしていて。
改めて、ここは本当に面白い世界だ。
「ピーン♩」
そんな事を考えていたら、あっという間に9階へ。
「どうぞ。」
ボーイさんが扉を押さえる。
ゾロゾロ…。
廊下に出ると、右に1部屋、左に1部屋。
「2部屋しかねぇんだな。」
ベンジーが不思議そうにキョロキョロする。
するとボーイさんが出てきてこう言った。
「こちらは、準スイート専用フロアなんですよ。」
!!!
専用?!
えっ、てことは、このフロアは2部屋だけってこと?
そしたら部屋の中なんて……。
もうめちゃくちゃ広いじゃん!!!
俺達は期待に胸を膨らませ、901号室の扉の前へ立った。
…
ガチャッ。
フロントで受け取った鍵を差し込み、右へ回す。
キイ…。
…
…
…
「?!?!
こ、こ、これはーーー!!!」
「やっべえぇぇぇ!!!」
俺とベンジー、絶叫。笑




