↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/46

【037】隠し味

 あれから3週間。

俺達はカレーの試作を繰り返した。

家で食べるには十分だけれど、人に出すには…。

なにか物足りない。


ドリスさんに相談すると、隠し味を入れると変わるはず。

とのこと。


思えば、うちの母(かあ)ちゃんもやってた。

醤油だかソースだか、このへん入れてた記憶があるぞ。




「…だあぁぁぁぁー!」

 


グシャグシャ!



これまで、隠し味になりそうなものを30種類は試してみた。

自分のシュラッペ(魔法)は調味料なので、それも思いつく限り、色々と。


でも、100%の味にならない。


はぁ…。


前世で、もう少し自炊しておけば良かった。

そしたらこういう時、ピンときたかもしれないのに。

ちょっと後悔。



バッ。



ルーのパッケージを見ると。


【隠し味は濃厚ブラウンソースがおすすめ】


と記載されている。

でもこれをやったところで、オリジナリティは無くなる訳だから…。

うーん…。


午後、新聞社に行ったらフルーティーにも聞いてみよう。

何かヒントがあるかも。




チクタク チクタク。


時間だけがどんどん過ぎていく。


ベンジーは遊園地のバイトで、ドリスさんはバンドの練習。

こうして1人で考えていると、なんだか追い詰められている気持ちになる。


「とりあえず、お昼ご飯でも食べるか。」


俺は今作ったカレーを皿に盛り、パンを乗せた。

最近はもうずっとカレー。


…


「よしっ。」


お盆を持って客席へ移動しようとした、その時。



トントン。



店の扉がノックされた。


ベンジーがお昼休憩で戻ってきたのかな?

でもベンジーだったら、ノックなんかしないか。


「あ、はーい?

開いてまーす。」


俺はドアに向かって叫んだ。


…


ギィ。



「急に来てごめんね。

今、大丈夫?」


そう言って入ってきたのは。



「ルーカス!」



コーヒー屋のイケメン店長、ルーカスだった。


「これ、出来たからさ。

バニラアイスと相性抜群の、オリジナルブレンドコーヒー。」



ジャラジャラ!



袋に入った豆を揺らす。


「お、お、おー!!!

ありがとう!

こんなに早く…。

大変だったでしょ?」


そう。

2週間ほど前に、アフォガードに合うコーヒー豆を。

と、ルーカスにリクエストしていたのだ。



ガサッ。



ルーカスは俺の方へ来ると、豆をテーブルに置いた。


「ううん。

大変どころか、これを開発するのはとても楽しかったよ。

新しいレシピにうちのコーヒーを選んでもらうなんて、光栄さ。」


サラッ〜。


ハニカミながら水色の髪を掻き上げるルーカスが、超爽やか。

そして彼は、俺が抱えているカレーをじっと見つめた。


「うわ…。

それ。

めちゃくちゃ美味しそうじゃん。」



キュウウウウ…。



?!



パッ。



ルーカスは恥ずかしそうにお腹を触った。



「あれ。

お腹が鳴っちゃった。

恥ずかしい。笑」


!


えー!

何もかも完璧で、隙のないイケメンが、人前でお腹をキュルキュルと…。笑

これは…。

親近感が湧く〜!



「あ、これもね、新メニューの試作品なんだ。

緑の海老の甘口カレー。

まだ全然完璧じゃないんだけど…。

これで良かったら、食べる?

まだ鍋にいっぱいあるよ?」


そう言うと。



「ぜひ!」



即答した。



…



「あー!

美味しかったぁー!」


カレーをあっという間にたいらげたルーカス。


「これが試作品なの?

ものすごく美味しかったけど…。」


不思議そうに俺の顔を見る。


「うん。

ありがとう、そんなふうに言ってくれて。

でも。

なーんかね。

もっと上を目指せる気がするというか。

家庭のカレー感が、消えないんだよねぇ。」


「…?

そうかなぁ…?」



ガタッ。



俺は立ち上がり、食器とコーヒー豆の袋を持った。


「あ、俺も手伝うよ。」


ルーカスも慌てて腰を上げる。


「いい、いい。

2皿しかないから大丈夫。笑

ルーカスはここで待ってて。

俺、持ってきてくれた豆で、今からアフォガード作ってくるから。」


「えっ。

いいの?

じゃあ…。

ありがとう。」


……



ジャー。



さっさと皿を洗って…。



ガサッ。



コーヒー豆をミルに入れる。



グリグリグリグリ…。



手動で回すこの時間。

好きだなぁ。

って。


「うわっ!」



俺は大声を出してしまった。



「どうしたの?!」


タタタタタッ。


ルーカスが驚いてこっちに来る。


「いや、ごめん…。

豆を挽いたら、あまりに良い香りで叫んじゃった。」

 

「…はぁー。

なんだ、ビックリしたよ。」



俺はミルの蓋を取って、そこに鼻を近づけた。

もう一度、その香りを楽しむために。



ふわぁ〜…



キッチンが、スモーキーで華やかな香りに包まれる。

アイスに合わせるためか、ほんのりキャラメルのような甘さも感じるぞ。


幸せ〜・:*.:



「どれ。」


ルーカスも一緒に目を瞑って、鼻をくんくんとさせた。

そして。


「うん、これだ。

これならバニラアイスとぴったり。

なんかさ、コーヒーって…。

人を幸せな気持ちにしてくれるよね。」


そう呟いた。


俺もミルを抱き抱えて。


「そうそう…。

だけどルーカスのコーヒーは、その中でも特別なんだよ。

だって、アイスにまで合っちゃう。

ていうか、もうなんにでも…。」



!!!



ここまで言いかけると、俺は目を見開いた。



こ、こ、こ!

これだー!!!



なんで今まで気づかなかったんだろう。


カレーの隠し味に、コーヒー。


これ、日本でもよくあるやつじゃん!


しかもウチの場合は、ただのコーヒーじゃなくて、ルーカスのオリジナルコーヒー。


もしかして…。

これ、最強の味になるんじゃないか?!



バッ!



俺はミルを持ったままカレー鍋の方へ移動した。


「え?!

マックス?!」



バラッ!!!



「えぇぇ?!

マックス何して…!」


思いきって、粉になったコーヒーを全て鍋へ放り込む。


そして中火で再び火にかけて…。



トロトロトロ〜。


…



できた!



「おたま、おたま…。」


俺が探していると、ルーカスがシンクを指差した。


「あそこに、置いてあるけど…。」


そっか。

さっきカレーをよそった後、シンクに入れたんだ。



ジャーッ。



洗って、流して…。



おたまを鍋に戻すと、俺は小皿を2つ出し、そこにカレーをよそった。


「…。

よし!

できた!」


1つをルーカスに渡す。


「こ、これ。

今、コーヒーの粉を入れたんだよね…?」


不安そうなルーカス。


「うん。

でも大丈夫。

俺の国…。

あ、いや。

前に雑誌で見たんだ。

コーヒーの粉入れると、美味しいって。」


「うっそ…。

そんなの聞いたことないよ…。」


「いいからいいから!

自分のコーヒーを、ルーカスも信じてよ。

せーので一緒に飲もう?

…

せーのっ!」



ゴクリ。



…


…


…


「う、う、うまーーーーーい!」

「え?美味しい!」


これだこれだこれだこれだこれだーーー!!!


3週間目にしてやっと。


完璧なカレーに辿り着いた!!!


「ルーカス〜〜〜!!!

やっぱりルーカスのコーヒー、すごいよ!

ありがとう!泣」



バッ!



俺は思わずルーカスに抱きつく。



「いや、本当に美味しい!

こんなのを思いつくなんて、マックスがすごいよ!」



わーい!

わーい!



俺達は興奮して、ハグしたままジャンプした。


これで、足長ボーイズに出せる!

そしてレストランが出来たら、ちゃんとメニューとして採用できる!

やっと…!

完成させることができた!


こんな達成感は久しぶり。



…



その後、このカレーをベンジーとドリスさんにも食べてもらったが…。


案の定、2人も絶賛の嵐♩


「フハッ!

うめぇぇぇ!」


「あらぁ!

すっごく美味しいじゃないのぉ!」


カレーとアフォガード。

どちらもルーカスのコーヒーで作る料理となった。

そしてそれが大成功。

これならコンサートが終わってヘトヘトになっている足長ボーイズも、きっと喜んでくれるはず!


「オメエ、よく1人で頑張った。

出発はもう明後日だからな。

礼を言うぜ。」


珍しくベンジーがちゃんと褒めてくれた。

嬉しい。

ギリギリだけど、仕上がって良かった!


「イェーイ!!!」


俺達3人は、ハイタッチをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。