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リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


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25/46

【025】夜の砂浜で

 「ふんっ!」


「鶏肉に合うタルタルソース。」



シュラララ〜・:*.:



ベンジーはドリンクを冷やし、俺は食事(主に調味料)を作り、今夜も大忙し。


「4名様、入りまーす!」


ドリスさんも声を張り上げて頑張ってる。


…。


「オメエがちゃんとやってるから、最近、この店も調子が良いな。」


ベンジーに褒められる。


「そ、そうかな?

だったら良いんだけどね。」


確かに、俺が来た日から毎晩こんな感じ。

閉店までほぼ満席という盛況ぶりだ。


…。


ギィ。


「こんばんは〜…。」


!


扉が開いて入ってきたのは、フルーティー。

と、

編集長?!


俺は驚いて叫んだ。


「フルーティー!

編集長!」


カウンターの中の俺を見つけると、フルーティーはこっちへ駆け寄る。


編集長は、壁に並んだ写真を見ていた。



「どうしたの?!

バーなんて、普段行かないでしょ?」


俺は目をパチクリさせてフルーティーに聞いた。


「あ、うん。

そうなんだけど…。

さっきね、記事を仕上げたの。

この前のマックスのものと合わせて、ちゃんとした新聞ができたから、持ってきた。

初めてでしょ?

自分の記事がこうして形になるの。

早く見たいかなと思って。」


えー!

それでわざわざ持ってきてくれたんだ。

フルーティーって、ほんと良い子だなぁ…。

もちろん編集長も。



「どうも〜。」



ベンジーが横から挨拶。


「あ、こんばんは!

また会えましたね!

私の推しのシロクマさん♩」



カアッ!


体毛がピンク色に染まる。



なぁに照れてるんだよ!笑

俺が初めて会った日に、シロクマさんって言った時はキレてたくせに。

まったく〜。


…


バッ。



フルーティーは、2つ折りになった新聞をカウンターに乗せた。


「これね。

これが明日の朝、1000件のお家に届くから。」


「えぇぇー!

1000件かぁ。

改めて、それってすごいよね。」


「うん。

すごいすごい。

私も初めての時は超興奮したもん。

だからマックスの今の気持ち、分かる。」


「そうなんだ。

やっぱそうだよね。」



…って、そうだ!


せっかく来てくれてるから、プレゼントのハンカチ、今渡そう!



「ねえ、まだ時間平気?

5分だけ外で話せる?」


そう言うと、フルーティーは不思議そうな顔で。


「う、うん?

私も編集長も、あとはもう帰るだけだから大丈夫だけど。」


フルーティーは、まだ写真を眺めている編集長を呼んだ。


「へーんしゅーちょー!

外に出ますよー!」


…


「ぐう。」



やっぱり。笑


彼は立ったまま寝ていた。



…


ガサッ。


俺は紙袋を2人に渡した。


「これ、いただいたボーナスで買ったんだ。

いつもお世話になっている人達にお礼がしたくて。

少しですけど、どうぞ。」


「おーほほう?」


編集長、興味示してくれてる!


「きゃー!

嬉しいー!

なんだろう?」



ガサガサ…。



2人は開封して…。



「か、か、可愛いー!」


フルーティーには、シンプルなオレンジ色のハンカチ。


「ほーうほうほう。

これは…。

ほーうほうほう。笑」


編集長には、蝶ネクタイ柄の赤いハンカチ。


ほうほうしか言ってないけど、おそらくこれはかなり喜んでくれている。笑


「ありがとう!

マックス!

明日から早速使うね。」


編集長の表情も柔らかくなり。


「この年で贈り物をいただくとは…。

ほうほうの、ほうほうで…ほうほうじゃ♡

むはっ。」


「…ふふっ。

へんしゅーちょー。

よっぽど嬉しいのね。

何を言ってるか、もう訳が分からなくなってるわ。笑」



と、その時。



「すみませーん。」



誰かに話しかけられた。


「あ、はい。」


…


振り返ると、そこには。


金髪で、足の長い男性が。

しかもそれが3人。


「…ん?

あなたたち、どこかで…?」


見た気がする。

と言い終わらないうちに。


…


ドーン⭐︎!!!



「あっ、あっ、足長(あしなが)ボーイズぅぅぅ???!!!」


フルーティーに突き飛ばされた。



ドシャアーーー!



俺は砂にスライドする。



メリッ。



押された勢いが強く、尻が砂にめり込んだ。


「なっ…?!

足長(あしなが)ボーイズ…だとぉ?!」


無様な格好で記憶を辿る。



…確か。



思い出した!

遊園地で、フルーティーが見せてくれたシール。

あのアイドル達か!

それにしても足がものすんごい長い。

まるでモデルのようだ。


「きゃあぁぁぁぁ!!!

私、大っファンなんですぅ!!!」


フルーティー、目がハートマーク。

俺のハンカチのことなんて、きっと吹き飛んでいる。笑


「ははっ。

それはどうもありがとう。

今ね、ツアーをやっていて、この町に来てるんだ。」


「知ってますぅぅぅぅ!!!♡」



ダメだこりゃ。笑



「ここに人気のバーがあるって聞いたんだけど、あそこで良いのかな?」


ボーイズの1人が店を指差す。



と、その時。




…ドッドッドッドッドッドッド!!!



砂を蹴り上げる激しい音が。


アロハシャツが走ってくる。

いや、間違い。

ベンジーが走ってくる。


きっと、フルーティーの叫び声を聞いて駆けつけたのだろう。


俺はホッとした。


砂にめり込んだ尻を早く持ち上げたい。

手伝ってくれ、ベンジー!



…ドッ。



ベンジーが俺達の前まで来た。



「ハァ、ハァ、ハァ。」



猛ダッシュで来たので、息が切れてる。



「ふーっ、ふーっ…。」



膝に手をついて、ゆっくりと呼吸を整えるベンジー。


タイミングを計って、俺は手を上げた。


「ベンジー、こっちこっち…。」


…


「?!

グワァァァウ!!!」


!


突然ベンジーが、獣の声を出した。


な、なんだ?!

もしや。

このアイドル達を、フルーティーを襲った危険な人物と勘違いしたのかも。

ま、まずい!

もし彼らを襲ったりしたら…!


俺は上半身を大きく動かし、ベンジーにアピールした。


「ベンジー、違うよ!

この人達は…!」


「きゃあぁぁぁぁ♡!!!

俺、大っファンなんですぅ!!!」


…。


ん?



「いつも見てますぅ!!!

いっつも聞いてますぅ!!!

未来永劫応援してますぅぅぅぅぅ!♡」


フルーティーに続き、ベンジーまでもがキャラ崩壊。

すっかり乙女モード。



ベンジーって、足長(あしなが)ボーイズのファンだったのか!

知らなかった…。

ていうか、足長(あしなが)ボーイズってすごい。

こんなに沢山の人(シロクマ)を虜にして…。


俺は不思議そうにその光景を眺めていた。


ま、そんなにファンなら、このやり取りが終わるまで待ってるか。


埋まっている尻を気にしつつ、俺はみんなを見守った。



―しかし。



ザァ〜ン!



「うっぷ!」


大きな波が俺を襲い、尻がスポッとはずれた。

と、同時に、海へ引き込まれてしまった。


「あっ?!

あれぇー!!!

た、助けてー!」


こんなに強い波は初めて。

どんどん冲へ流されていく。


「ん?

え?!

マックスが―!!!」


やっとフルーティーが気付いてくれた。


青ざめた顔のベンジー。

愕然とする足長(あしなが)ボーイズ。

砂で寝ている編集長。


…いやもうこれ、超絶ピンチ!


自然が1番怖いんだから!


俺、どうなっちゃうの?!

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