↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/45

【023】ボーナス

 書き書き書き…。


消し消し消し…。


また、書き書き書き…。


…


じーーー。



唇と鼻の間にペンを挟み、自分の書いた記事と睨めっこ。


遊園地で撮った写真を並べて…っと。


うん。

これはここ。

これは向こうに。


バランスを見ながらペタペタ貼り付けていく。


そして。


…


「できたぁ!」


1〜2ページ目。

【緑の海老バーガー。

美味しさの秘密。】


3〜5ページ目。

【行かなきゃ損!

夢の移動遊園地。】


あとはフルーティーの記事と合わせれば、結構な枚数になるはずだ。



「あれっ。

完成したの?!」


フルーティーがこっちへ来た。



バッ。



俺から記事を取り上げると、真剣に読み始める。


「…ふんふん。

なるほどね。

あー!

うんうん。

分かるこれー!」


キャッキャしながら読み進める。


そして最後のページまで目を通すと…。



ポン。



彼女は俺の肩に手を乗せた。



「君ぃ!

やるじゃないか!」


社長みたいな褒め方。笑


「あはははは!」


俺達は大笑い。



良かった〜!

なんとか上手く書けたみたいだ。

あとは、編集長にチェックしてもらって…。


「ありがとう。

外に連れ出してもらったり、写真の撮り方を教えてもらったり。

こんなに良いものが書けたのは、フルーティーのおかげだよ。」


「ふっ。

まぁね〜。

…って、ウソウソ。

マックス、記者の才能あるわよ。

文章の組み立て方も、写真のバランスも。

どっちも絶妙。

初心者なのにこんなに上手いなんて。」


いやぁ…。

照れる。

そしてやっぱり嬉しい。

サラリーマン時代に培ってきた経験が、異世界で役に立つなんて。

俺、資料作りはマジで得意だったもんな。

当時は大変だったけど、頑張ってきて良かった。


「じゃあ、編集長のチェックをお願いします。」


俺が言うと、フルーティーは記事をデスクに置いた。


…


「ねぇ。

自分でやってみたら?

これから先、いちいち私に頼んでたら面倒じゃない。」



え?!


あの、眠っている編集長を起こす儀式を?!



「お、俺が?!

でもあれってなんか特殊というか、コツがあるんじゃない…?」


「コツなんかないわよ。

良い?

まずは

へーんーしゅーう……ちょおー。

しゅーう

のあと、

ちょおー

を言うまで、2秒置くの。」


おい。

やっぱりコツがいるんじゃないか。


「えっと。

へんしゅー…ちょー。

で良いかな?」


「だーめだめだめ!

よく聞いて!

へーんーしゅーう……ちょおー。

で、それで起きなかったら、

出番♡」


もう、この世界って毎日色々おかしすぎる。笑

仕方ない。

やってみるか。


俺は椅子から立ち上がり、編集長のデスクの前に立った。


相変わらず気持ちよさそうに寝ている。


よし。

やるぞ。



すぅぅぅ〜。



「へーんーしゅーう……ちょおー!!!」


…


…


…


ダメだ。

起きない。

今日は眠りが深い日のようだ。


フルーティーが、あれを言えと手で合図。


いやこれ、恥ずかしいんだけど…。


でもやらなきゃ起きてくれないのか。


「…。

出番♡」


耳元で優しく囁く。


…


ムクッ!



よし、起きた!



「…おん?!

あん?!

出番?!」


編集長はメガネをかけると。


「…。

おぉう。

マックス。

おはよう。」


えっと、この後なんて言うんだっけ…。

確か…。


「おはようございます。

編集長、出番です!」


「…。

なぁにぃ?!

…出番?!」


編集長は立ち上がると、片付いているデスクの前に立った。


「よし、準備万端!

マックス、洗濯カゴじゃ!」


「あ、はい!

ただいま!」


カゴを床から拾い上げると、デスクの上に乗せた。


「洗濯カゴ、置きました!」


「対象資料は?!」


編集長が聞く。


「あ、えっと…。

こ、これです!」


俺が書いた記事を見せる。


…


「これは!

…

よ〜く書けてお〜る!

1000枚刷る価値あり!」


や、やったー!!!

1000枚刷る価値あるんだ!


俺が喜んでいると、フルーティーが慌てて叫んだ。


「早く!

価値ありってあなたも言わなきゃ!」


あ、そうか。

それを言ってから印刷だったっけ。汗


「価値あり!」


編集長は蝶ネクタイを整え、腕まくりをした。


そして。


「シュラッペ(魔法)ー!!!」


…


シュババババババババババババババ!



もうこれ。

何回見ても楽しーい!笑




―


ひらりん。



最後の一枚が洗濯カゴに乗ると、編集長は疲れた顔でデスクへと戻っていった。


これでまた寝ちゃうんだな。


と、思いきや。


「フルーティー。」


おっ?

今日は寝ないパターン?


「はい。

編集長。」


「これは、よーく書けておる。

ボーナス1モン。

やってくれ。」


バタッ。


「ぐう。」


…


「マックス〜!!

やったね!

ボーナスくれるんだって!」


「え?

俺に?」


「そうだよ!

初記事で初ボーナス!

これはすごいよ!」


フルーティーは俺の手を取り、ぶんぶん上下に振った。


「ええぇ!

ほんと?!

それは…めちゃくちゃ嬉しい!

でも、俺だけ?」



ガサガサ…。



フルーティーは、金庫を開いて中を探った。


「私のはまだ完成してないから、仕上がったら貰えると思う。

いつもそうだから。

だから気にしないで、先に受け取って?

はい。」


そう言って、紙幣を一枚手渡した。


ここの給料システムは、週に1度の支払い。

なので、俺にとってこの【港町新聞社】で受け取るお金は今日が初めて。


「いや〜…。

なんかめちゃくちゃ嬉しいな。

頑張って、認めてもらえて、それでいて楽しくて。

そんな環境の中、いただくお金。

こんな気持ちは久しぶりだよ。」


バーの方でも毎日稼いでるけど、そっちとはちょっと違う感覚。



ガチャッ。



金庫をしまうと、フルーティーは時計を見上げた。


「13時か。

少し早いけど、今日はもう上がって良いわよ。

記事ができたから、やることないし。」


えっ。


「さすがに早くない?

まだ2時間もあるよ。

何か手伝うことない?」


うーん…

と考えるも、フルーティーの答えは。


「ない。」



ガクッ。



そうか。

じゃあ、退社しちゃおうかな…。


「せっかくボーナスもらったんだし、どこか遊びに行けば?」


あ。

まぁ確かに、それも良いな。


「この裏に、新しい雑貨屋さんができたわよ。

あとで記事に書こうと思ってるし、偵察がてら見てきたら?」


へー!

雑貨屋さんか。

色々売ってそうだし、楽しそうだな。


「ありがとう。

じゃあお言葉に甘えて、ちょっとそこへ行ってみるよ。」


「うん。

こういう日は息抜きして楽しんできてね。

また明日〜!」


バイバイ!


俺は新聞社を出た。





―


「お洒落だな〜!」


新聞社の裏の道を5分ほど歩くと、その雑貨屋さんは現れた。


紫色の建物に、黄色のお花が屋根からぶら下がっている。

そして木の看板で

【雑貨屋アリス】

と記されていた。



ザワザワ。



新しい店舗ということもあり、地元の人や観光客で賑わっている。



カラン♩



入店すると、ドアのベルが鳴った。


「…うぉ!

ひ、広ーい!」


外から見るよりもずっと広く感じる。


そして何より、置いてある商品がとても可愛い。


港町らしいカモメのマグカップや、食器、海の香りがするメモ帳、カニさんのボールペン…。


これは、男の俺でもウキウキしてしまう。


いつか自分達のレストランを作る時が来たら。

こんな心踊るお店にしたいなぁ。


…


広い店内をゆっくりと見て回る。


実は俺には、探しているものがあって…。


「あった!」


それは、ハンカチコーナーだ。


先に見ていた女性客が離れるのを待つ。

そして、その人がいなくなると売り場へ近づいた。


「す、すごぉ〜!

100種類のハンカチコーナー

だって!」


興奮して、思わず独り言。


シンプルデザインから可愛い柄物まで。

ズラリと並べられている。


そもそも、なぜハンカチを探していたかっていうと…。



ギュッ。



さっき新聞社でいただいた紙幣を握る。


初めてのボーナスで、お世話になった人達にお礼がしたい。

そう思ったから。

異世界に来てまだ日が浅いけど、知らない場所でこんなに楽しく生活できているのは、みんなのおかげ。

何かちょっとでもお礼がしたい。


「えーっと。」



ガコッ。



俺は積み重なっていた買い物カゴから、1つ取って腕に乗せた。


「これと…。

あ、これも良いなぁ。

で、あの人には…。」


なんだか幸せな時間。


俺はルンルンしながら、次々とカゴにハンカチを入れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。