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リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


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19/43

【019】遊園地

 ボンボン♩タララッタッタ♩ボンボン♩


ここは、ビーチの向かいに設置された移動遊園地。


楽しそうな音楽が爆音で流れている。


「もう…いるだけで楽しい!」


まだ入り口なのにこのテンション。笑


ピカピカと七色に光る観覧車、心踊るメリーゴーランド、怖いけど楽しい…!な、お化け屋敷。


この空間にいるだけで、なんだか胸がドキドキしてしまう。




「よし。

写真たくさん撮ろう!」


そう言うとフルーティーは、首からぶら下げていた銀色の丸いコンパクト?

を手にした。


右目に当て、そのテッペンをグッと押す。


カシャッ!

カシャッ!


シャッター音が聞こえた。


「…ん?

それ、カメラだったの?!」


俺が驚いて聞くと。


「は?

そりゃそうよ。

何言ってるの。笑」


呆れたような顔で答えると、また写真を撮り始めた。


へー面白い。

この世界では、カメラが丸いのか。

…なんか。

あれに似てるな。

職場の女子が、よくポーチから取り出していた化粧品。

確か、フェイスパウダー?

ってやつ。


そんな事を考えていると、フルーティーが手招きをした。


「マックスー!

こっちも写真撮るよー!」


「あ、うん!」


俺はフルーティーの方へと走った。




…ゴォォォォ


「きゃあー!」


「ひっほーう!」


きっと、ほとんどの人がこれで分かるはず。


そう。

ジェットコースターだ。

やはりどこの世界も大人気。

乗り場には10組以上のお客さんが並んでいる。


「うほほー!

楽しそう!」


コースターを見上げて、俺は思わず叫んだ。



ガタンガタン!



レールを上がり始めた若いカップルが、こっちを向いて手を振っている。


「行ってらっしゃーい!

楽しんでねー!」


俺はブンブンと大きく手を振り返した。


こういうのは、恥ずかしがらずに思いっきり楽しむのが正解♩


って、なんだかブロッコリー殿下(でんか)を思い出すな。笑


―


ツンツン。


フルーティーが俺の脇腹を突っついた。


そして一言。


「乗る?」


え?


「こ、これに?!

良いの?!」


「良いも何も。

自分で乗ってみないと、記事が書けないじゃない。

仕事よ、仕事。

それに、経費で落ちるから。」


ムフフ

と笑いながら、ポケットからコインを取り出す。


やったー!

これに乗れるんだ!

しかも経費で?!

港町新聞社、ありがとう!




俺達は列に並んだ。


この感じだと、15分くらいは待つかな。


…


「ねえ、フルーティー。」


「んっ?」


「そのカメラ、俺も使ってみても良い?」


どうしても気になる。


異世界のカメラが。


「え?

あ、まあ、うん。

良いけど、普通のカメラだよ…?」


そう言いながら、首から外す。


はい。


と、手渡されたそれは、とてつもなく軽かった。


おそらくスマホなんかよりも全然軽い。


「これ、軽ぅー!」


俺は手のひらの上で、

ポンポン

とカメラを弾ませる。


「ちょっと!

壊さないでよ!」


フルーティーに怒られる。


「ご、ごめん。

つい、興奮して。

なはは…。」


慌てて謝るも、俺の様子がおかしい事に気づいたよう。


「マックス。

あなたさっきから、カメラが絡むとなんかおかしくなるわね。

まるで初めて見るかのように。」


うっ。

まずい。


「…あの、それは。

オヤジとよく写真撮ったなーって。

ふと思い出してさ。

それで感情がおかしくなっちゃったというか。」


先日、オヤジさんの日記帳から出てきた写真を思い出して、咄嗟のごまかし。


「!

あ、なるほど…。

そういうことだったのね。

私ったら、ごめんなさい。」


しょんぼりと肩を落とすフルーティー。


いや、これ作り話だから!

そんなに落ち込まれたら俺も困る。汗


「ね!

どのへんを撮ったら良いかな?

俺、写真撮るの下手だから教えてよ。」


そう言うと、彼女は顔を上げて。


「…。

しょうがないわね。

撮影のプロの私が、しっかりと指導してあげる。

良い?

まずは太陽の向きを考えて…。」


良かった。

元気が戻ったみたいだ。


ホッ。




カシャ

カシャ

カシャ


うぉ〜!!


お も し ろ い !


まぁ、ただのカメラっちゃカメラなんだけど。

でもやっぱりこの丸いものが…

って考えると、なんか感動。笑


コンパクト風のその物体は、目を近づけるとちゃんとレンズが現れて。

テッペンの、少しだけ盛り上がった部分を押す。

これで撮影ができる仕組み。

しかも枚数に上限が無いとのこと。

なので、良い!と感じた風景はどんどん撮って即保存。


いや〜超便利。


「お次でお待ちのお客様ー。

何名様ですか?」


おっ。

いよいよ順番が来たか。


「2人です。」


俺が言うと、トロッコへ乗り込むよう案内される。


これは2人乗りのスタイルだ。


「マックス、シートベルト。」


フルーティーに指摘されて、慌ててベルトを閉める。

ウキウキしすぎて忘れてた。笑


「それでは。

準備はよろしいですかぁ?」


係のお姉さんに聞かれ、俺達は親指を立てる。


グッ!


「お願いしまーす!」



キイ…。


ガッタン


ガッタン


ゆっくりと動き始めたトロッコは、レールを登り始めた。


さっきのカップルの真似をして、俺は並んでいるお客さん達に手を振る。


「お〜い!」


すると。

ウサギの風船を持った女の子が、笑いながらピョンピョン跳ねて手を振り返してくれた。


「ありがとーう!

…って、あ?!」


ジャンプをした弾みで、ウサギの風船が女の子の手から離れてしまった。


「う、う、うわぁ〜ん!!!」


泣き始める女の子。


し、しまった!

俺はなんて事をしてしまったんだ!

降りたら弁償…



…と。

その時。




ガタッ!


…


…


…


…ズァーーーーーーーーー!!!!



「ぶわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」



コースター、落下!


もんのすごいスピード!


風にあおられて、口がフガフガしてしまう。


「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


キュイン!


キュイン!


その後はクネクネ曲がりながら、遊園地の中を駆け巡った。


あまりに速すぎて、カメラを押す余裕も無い。




「…。

はぁ。はぁ。」


トロッコの動きがゆっくりになった。

息がゼイゼイして苦しい。


「こ、これで終わりかな?」


ボッサボサの髪を整えながら、隣のフルーティーに話しかける。


「…。

いや、まだ、あるみたい。」


白目を剥きながら指差す方向に、上へ向かうレールがあった。


もう一回あるのか!

楽しいけど、しんどい!泣



ガタッ!



再びレールを登り始めるトロッコ。



ガタン


ガタン



死んだ目の俺達。

またあのスピードを体験するのか…。

もう…。

何も考えず、ボンヤリしていよう。



と、思ったのも束の間。



「きゃあああああああ!」


フルーティーが絶叫。


耳がおかしくなるかと思った。



「な、なんだよ!

びっくりしたー!」



パク…パク…パク…。



フルーティーは口を開いたり閉じたり。

何か言いたそうだけれど、言葉にならないようだ。


「え?

なんだって?」


俺は耳を傾けるポーズを取った。



パク…パク…。



「レール…。

レールが、無い。」


?


言っている意味が分からず、とりあえず前を向いてみる。


すると。



「ふぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ?!」



今度は俺が絶叫。


確かに進んでいる先には、レールが無かった。

まるで、

「工事の途中です」

とでもいうように、ブツっと途切れている。


…い、いや待てよ!

これはきっと逆走するタイプのコースターだ!


「フルーティー、分かった!

これ、きっと後ろ向きに戻る仕組みだよ!」


そう言うと、フルーティーもハッとして。


「そ、そうよね!

確かにそういうタイプのコースター、あるわよね。」



ふふふ。


安心感から思わず笑みがこぼれる。


しかし。




…ポーン!



…


「あっ…。」



…

コースターは後進することなく、俺達はそのまま宙へと投げ出された。

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