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リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


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14/44

【014】初めての町

 フシャア〜…


「あらまぁ〜。

綺麗ねぇ。」


「ママ!

これ冷たいよー?!」


ビーチから町へと続く道に設置してある、大きな噴水。


観光客や地元の子供達が集まり、キャッキャしながら遊んでいる。


…


「やっほーう!」


そこに混ざって、はしゃいで手を伸ばす俺、ケンジ。


訂正。

マックス。


「…ただの水だぞ?」


ボソッと突っ込むベンジー。


「だって見て!

この噴水、3段になってる。

お城みたい!

ほら、ベンジーも触ってみてー!」



ピュン!



俺はベンジーに向かって水を飛ばした。


「ぐあっ!

…

コルァ!

子供が真似するだろ!

ヤメロ!」


ピッピ

と水を払って、ズンズン歩いて行くベンジー。


「あ!

ま、待ってよー!」


俺は急いでベンジーの後を追った。



…



「うわぁ…。

おっしゃれ〜。」


綺麗に整備されたクリーム色の道。

その左右にはびっしりと、様々なお店が建てられている。


1点ものが揃う小さなブティックや、見たこともない植物で溢れるお花屋さん。

カラフルアイスクリームの販売車に、ベーコンの香り漂うパン屋さんも。


なんて…素敵な世界なんだ。


まるで夢の中にいるみたい。



…


「おい。

ちょっと時間ズラしてから行こうぜ。」


ボンヤリする俺に、ベンジーが声をかけた。


「え?

なんで?」



ピッ!



斜め右方向に手を向けるベンジー。


そこにあったのは。


【カラクリ時計・ミモザ】


という看板がかけられた、時計屋さんだった。

入り口に置いてあるカモメ型の時計。

その針は、12時30分を差している。


「面接、昼時(ひるどき)に行ったら迷惑だろう。

1時になってから行け。」


あ、ほんとだ。

気づかなかった。

お昼になんか訪問したら、社会人失格。


「ありがとう。

時間全然気にしてなかった。

じゃあ俺、このへんで時間潰してから行くよ。

新聞社の場所だけ教えて?」


するとベンジーは立ち止まって。


「んー…。

さっきケーキ食ったばかりだけどよ。

オメエ、まだ何か食べられるか?」


「あ、うん。

朝も簡単だったし、ケーキはオヤツだし。

全然お腹すいてるよ。

なんで?」



クイクイ。



顎で、

こっち来い

という仕草をする。




100メートルほど歩くと…。

ベンジーは止まった。


青と赤の縞々模様(しましまもよう)の屋根が目立つ、こじんまりとしたお店の前で。



クンクン。



「何これ?

めっちゃ良い匂い!」


食欲そそる香りに、俺は思わず鼻を動かす。


看板を見上げてみると。



【やみつきシーフードサンド】



の文字。


「やみつき?!

シーフードサンド?!」


声が弾む。


もうお店の名前からして美味しそう。


「ほれ。

行くぞ。」



グイッ!



俺の手首を掴むと、ベンジーは店内へ入って行った。



…



「いらっしゃいませ〜。」


青と赤の縞々模様(しましまもよう)の帽子をかぶったお姉さんが、笑顔でお出迎え。


ウィンドウには、10種類ものシーフードパンが並んでいる。


「うわぁ…。」


俺は思わずしゃがんで覗き込む。


するとベンジーが店員さんに話しかけた。


「どうも。

出来立てって、あります?」


すると店員さんは後ろの厨房に入って…。


ハンバーガー型の丸いパンを、トレーに乗せて持ってきた。


「只今こちらが出来立てです。

緑の海老のクリーミーサンド。

いかがですか?」


それを聞いたベンジーは、下(俺)を見る。



うんうんうん!



俺は上下に首を振った。


「じゃあそれで。

2つください。」


「かしこまりました〜。」




会計を済ませると、ベンジーは再び歩き出した。


ちょっと先にベンチが見える。


…


「よしっ。

ここで良いだろ。」



ドカッ!



ベンジーは大きなお尻をベンチに乗せた。



シロクマが座っても大丈夫なんだ…。

めちゃくちゃ頑丈なベンチ。



スイッ。



俺もベンジーの隣に座る。


「ほれ。」


ベンジーは袋からバーガーを取り出し、俺に手渡した。


…ふわ〜ん


その瞬間、焼きたてパンの香ばしい匂いが俺の鼻をくすぐった。


「ふはぁ〜…。」


匂いだけでもう幸せ。



ムシャムシャムシャ。



ベンジーはもう食べ始めている。

よおし、俺も…



ハム!


…


!


ムシャムシャムシャ


…


!


「おっ…!

美味しいー!」


緑の海老が若干不安だったけど、なんとこれがすごく美味い!

地球の海老よりも甘味があって、プリプリ感もすごい。

そこにしっかりと絡みつく、スパイスの効いたクリームソース。


これは…


店名どおり、やみつきになるお味。



「ベンジー、これヤバい!

今まで食べたバーガーで、1番美味しいかも。」


「…フッ。

だろう。」


得意げな顔で俺を見るベンジー。


「いやマジ。

あと10個食べたいくらい!笑

…

ちなみに。

このお金は、アルバイトが始まったらちゃんと返すからね。」


俺が言うと、ベンジーは口元のソースを拭った。


「あのよぉ…。

これくらいで、返すもなにもねぇよ。

それにガキから金を取るなんて、んなことできるかってんだ。」



えっ。

ご馳走してくれるんだ。


…


俺、分かってきたぞ。

ベンジーって口は悪いけど、その裏には思いやりや優しさがあるんだよね。

乱暴なのは照れ隠し。


そんなベンジーがなんだか愛おしくなって、ニヤニヤしてしまう。


「なんだぁ?

気持ちワリイ…。」


カラッとした青空の下、アロハシャツのシロクマとバーガーランチ。


最高だ♩



…



「じゃあ、あの3つ先の茶色い建物。

あれが新聞社だからよ。

面接頑張ってこい。」


そう言って、ベンジーは俺の背を叩いた。


「えっ。

建物の前まで、一緒に来てくれないの?」



はぁーーーっ…。



ベンジーは大きなため息を吐いた。


「あのよぉ。

子供じゃねぇんだから、ここから先は1人で行け。

それに俺だって、自分の面接があるんだ。」


そっか。

ベンジーもアルバイトするんだった。


「だよね、はは。

でもベンジーはどこで仕事するの?

なんかもう目星はついてるみたいに言ってたけど。」


「俺は自分ちの近くの飲食店だよ。

マリオのバーと同様、シュラッペ(魔法)で冷たい飲み物出す仕事。

バイト募集してたから、きっと大丈夫だろ。」


「そうなんだ。」


ドリスさんはバンド、ベンジーは飲食店。

俺以外、もうみんな仕事が決まってるんだ。

新聞社の面接、絶対に受からなくちゃ。


「ね、服とか髪とか、乱れてない?

大丈夫かな?」


くるりと回って、ベンジーに身だしなみをチェックしてもらう。


…


「おう。

大丈夫だ。

服装も襟付きシャツだし、失礼に見える点はどこもねぇ。

あとはバカをやらずに、しっかりと面接に臨むだけだ。」


「う、うん。」


久しぶりの面接でちょっと緊張するけど。

中身は32才なんだし、ちゃんとやればきっと受かる!


「じゃあ行ってくるね。

色々ありがとう。

ベンジーも、頑張って。」


「おうよ。」


俺たちはまた夕方に会う約束をして、ここで解散した。


よぉーし。

行くぞ!

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