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リーゼントシロクマと作る異世界レストラン 〜魔法の町で楽しい転生ライフ〜  作者: 七星かなみ


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11/44

【011】嵐のあとには

 「クア〜クア〜!

クアックァッカァッ…!」


うーん?


どこからかカモメの鳴く声が…。



!



バッ。



俺はベッドから起き上がった。

ぼんやりと明るい部屋の中。

カーテンの隙間から、太陽の光が漏れている。



…


そうだ!

俺は転生したんだった。



ジャッ!



カーテンを素早く引いて、窓を開けた。


「お〜う。

これこれ!」


窓の外には、どこまでも広がる青い海とヨット。

キラキラと輝く水面が眩しい。



えっと。

昨夜は…。


売却騒動を終わらせて、この店を残すことができた。

そして今日は、ベンジーとドリスさんと今後の話し合いをする予定だ。


「洗濯してないけど、まあいっか。笑」


寝る前に脱ぎ捨てた、魚のTシャツとズボン。

ベッドの脇にぶん投げてあったそれを拾い、着替える。


「ふぁぁ〜。

…っく。」


背中を反らせて伸びをする。

思ったよりも凝ってないな。

さすが18才の体。

ケンジの時と全然違う。



トントントントン。



軽い足取りで階段を降りる。

お腹すいたから、朝ごはん食べよう。


冷蔵の中のもので…。



ガチャ。



昨日の営業でほとんど食材を使ってしまったが、1つだけ使えそうなものが。

サンドイッチ用のパンが、少し残っている。

具材はスッカラカンだけど、俺には…魔法があるもんね〜。



「ふん♩ふん♩ふん♩」



気分が良いので鼻歌。笑




パンを皿に移して、そこに手をかざす。


「えっと。

どうするかな…。

えー。

ピーナツバター!」



シュラララ〜・:*.:



手から光が放たれると、パンの上にピーナツバターが乗った。


「おー良いじゃん!

これで十分、十分♩」


皿を持って客席に移動しようとした、その時。



ギィ!



店の扉が開き、白い物体…

いや、ベンジーが現れた。


「ちーっす。」


「あ、ベンジー!

おはよう!」



って、ん?

なんだかベンジーの顔がボヤけてる。

眠いのかな?


「ベンジー、なんかニャムニャムしてるね。笑

朝に弱いの?」



キッ!



その言葉を聞いたベンジーは、俺を横目で睨んだ。


「あのなぁ…。

寝不足なんだよ!

誰かさんのせいでな!

フンッ!」



あ、そうか。

確かに昨日は、寝たの12時過ぎだもんな。

しかも俺のせいで。(苦笑い)



「…。

おい。

オメエそれ、朝ごはんか?」


俺が手にしていたパンを見て、ベンジーが聞いた。


「そうそう。

今から朝ごはん。

なんも無いから、残り物のパンに、シュラッペ(魔法)したんだ。

美味しそうでしょ?

少しあげる?」


俺はソファー席に座りながら、上目遣いでベンジーを見る。



クワッ!



「そうじゃねぇよ!

…ったく。

俺は、食事は家で済ましてきた。

ちょっと待ってろ。」


そう言うとベンジーは、バーカウンターの中へ入っていった。



ガサゴソ…。



しゃがんで何かやってる。


「おー、あった。

これだこれ。」


そう言いながら、赤い瓶に入った飲み物をカウンターの上に置く。


2本の瓶を両手に持つと、


「ふんっ!」


手に力を込めた。



あ。

あれって、冷やす時の…?


「ほらよ。」


瓶の蓋を開けて、ベンジーがテーブルへ持ってきた。

瓶も赤いけど、飲み物も赤い。


「あ、ありがとう。

これジュース?」


「野菜とフルーツの健康ジュースだ。

パンだけじゃ栄養つかねぇ。

いつもオヤジさんが言ってただろう。

人も動物も。

食べ物が体を作るんだ。」


真顔でそう語るベンジーが、なんだかカッコ良い。


パンを口に入れながら、俺は思わずこう言った。



「ベンジーってさ。

…。

優しいよね。」



もぐもぐもぐ。



「…なっ!」


カアッ。

ベンジーの白い毛が、ピンク色に染まる。


「えっ?!

すごい!

ベンジーがピンク色になった!

照れると…ピンクに染まるんだ?

可愛い!」


キャッキャ!


俺がはしゃいでいると。


…


バコン⭐︎!


「大人をからかうんじゃねぇ!

ったく!

せっかく店をやり直すって決めたのに、オメエが倒れたら終わりだろ!

だからだよ!」


ベンジーはそう言いながら、バーカウンターへ戻っていった。



「ふふふっ。

照れちゃって。」


そんなベンジーの姿を見て食べる朝ごはん。

なんだかとっても美味しい。



…



「おはよーう!」


元気な挨拶と共に入ってきたのは、ドリスさん。


「あ、おはようございます!」


俺は立ち上がった。


「おはようございますー。」


ベンジーもカウンターの中から会釈する。


ドリスさんは包帯を巻いていない右手に、紙袋を持っていた。


「それ、何か荷物ですか?」


俺が聞くと。


「じゃ、じゃーん♩

って、この言い方、おばちゃんクサイか。笑」


笑いながらカウンターに置いたのは、透明の箱に入ったケーキ。


ケーキ?!



「うぉぉー!

ケーキだー!!!」



俺はテンションぶち上げで駆け寄る。



タタタタタッ。



箱の中には…。


レモンが乗った黄色いタルト、虹色の層が美しいミルフィーユケーキ、そして星型のフルーツが散りばめられたぷるんぷるんのゼリー。


彩り綺麗で、眺めているだけでも幸せな気分。


「うっわ〜!!

めちゃくちゃ美味しそう!!

ケーキなんか、何年も食べてないや!」


俺は小学生のようにキャッキャとはしゃいだ。


「…まったくよー。

子供か?

オメエは。」


呆れ顔のベンジー。


するとドリスさんが。


「色々あった後には、美味しいもの食べてリフレッシュしなきゃ♩

そして、今日からの再スタート。

そのお祝いも兼ねて、買ってきたのよ。」


そう言いながらカウンターの内側に入ると、フォークを取り出す。



カラカラッ。



「それでね、このケーキ。

せっかくだから外で食べない?」


お皿とフォークをまとめながら、ドリスさんは言った。


「外?」


俺が不思議そうに聞くと、ドリスさんはベンジーに向かって。


「ね、ベンジーちゃん。

倉庫に入ってた、紫色の大きなパラソル。

あれ、まだ捨ててないわよね?」


…


ベンジーは数秒考えたあと。


「あー、あれですか。

あのデカいやつ。

オヤジさんがサイズ間違えて、ずっと倉庫で眠ってる…。」


「そうそう!

それっ。

そのパラソルと、あと丸いテーブル、折り畳みの椅子も。

このへん引っ張り出して、浜辺で食べましょうよ。

まだそんなに暑くないから。」


「良いっすね。

じゃあ俺、倉庫に行ってきます。

おいマックス。

オメエはコーヒーでも淹れておけ。」


「あ、うん。

コーヒーね。

お2人とも、ミルクと砂糖は…。」



「ブラック!」

「ブラック!」



ベンジーとドリスさんは同時に叫んだ。


「笑。

了解で〜す。」


俺は棚からコーヒー豆を取り出した。




―


「潮風が気持ち良い〜。」


俺達3人は、淡い紫色のパラソルの下でケーキタイム。


虹色のミルフィーユケーキ、めちゃくちゃ美味い。



昼間から海辺でケーキとコーヒーかぁ…。

なんて…贅沢な時間なんだ。



…



サササッ。



食べ終わったケーキのお皿をよけると、俺は顎に手を乗せて、遠くを眺めた。


「ふぅ。

時間が止まれば良いのに。」


甘いものを食べて癒されたのか、ベンジーもまったりしてる。


「ほんと、時間よ止まれ…だな。」




しばらくまったりすると、ドリスさんが手を叩いた。


ポンポン!


「さーてお2人さん!

リフレッシュできたところで、本題に入りましょうか?」


俺達に向かって言った。


「ご馳走さまでした。

そうッスね。」


とベンジー。


俺も慌てて。


「ものすごく美味しかったです!

ご馳走さまでした。」


ペコッ。


お礼を伝える。


いやいや本当に美味しかった。


パワーをチャージできたから、今後の計画、しっかりと話し合えそうだ。

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