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成人の祝いの日は残念ながら晴れていた。
メイリンは父の馬車に乗って村へと向かう。
馬車に乗って揺られるメイリンは隣に繋いでいる羊と同じく、売られて捌かれに行くような複雑な思いでいた。
メイリンは村の入り口で馬車から降ろされ、会場へと足を運ぶ。
少し祭りをのぞいたら適当に時間を潰して、帰るつもりだった。
しかし、メイリンの予想に反して、直ぐに会いたくない人たちと会うこととなった。
「薄汚い貧乏人が。」
真正面から浴びせられた言葉に、メイリンの心が動くことはない。
それは事実であるし、ただ面倒なことくらいにしか思わなかった。
しかし、痛いのは嫌だし、代々大切にしてきた服を汚してしまえば母は悲しむだろう。
メイリンは取り囲まれながらも逃げる算段を考えていた。
そんなメイリンの目の前にローヤンが立ち塞がる。
「すぐさま私たちはお帰りいたしますので、どうかお見逃しくださいませ。」
ローヤンはとても大きいとは言えない体格だが、子どものように小さなメイリンにとってはとても大きな背中に見えた。
「白けたわ。早く貧乏人同士消えて頂戴。」
「はっ。」
ローヤンは頭を下げるとメイリンの手を引いて村を出た。
「何もローヤンも私と一緒に村を出なくてもよかったんじゃない?」
メイリンは不安そうにローヤンを見た。
「メイリンと出なければ意味がないよ。」
ローヤンがそう言い、繋いだ手を握りしめた。
祭りは成人の祝いと共に嫁探しの意味のあるものであり、ローヤンはもう嫁を決めていたのだ。
その言葉に嬉しくなり、メイリンもまた手を握りしめ返した。
幼い頃とは違うその手の感触に、メイリンは頬を染めた。
「メイリン、明日迎えに行く。」
ローヤンがメイリンの目を見てそう言う。
ローヤンの耳が真っ赤になっていることに気づくと、メイリンも嬉しくて目尻に涙を浮かべて微笑んだ。
ローヤンは繋いだ手の離れそうになった指を、今度は絡ませる。
恋人としての繋ぎ方である。
メイリンはビクッとしてローヤンを見つめた。
そしてすぐに目を逸らす。
嬉しいはずなのに、胸がゾワゾワするこの感覚をメイリンはよく分からなかったが、自分がウブなせいだと理由をつけた。




