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メイリン!
メイリンは誰かが自分の名前を呼ばれたような気がして目覚めた。
今日はメイリンとローヤンの婚姻の日である。
誰ともわからないメイリンを呼ぶ声は男性ながら美しい声をしていた。
何かの御告げかしら。
メイリンは首を傾げて不思議に思ったが、婚姻の準備を進めるうちにそんなことも忘れてしまった。
初めての化粧は違和感しかなかったが、顔を隠す羽衣をかぶるのであまり人に見られずに済む。
「メイリン、迎えにきたよ。」
メイリンは迎えに来たローヤンに抱えられ、馬車に乗せられる。
夫は婚姻の儀式を行う自分の家まで足を着かせずに花嫁を運ばなくてはならない。
それは夫としての技量を測るためでもあり、そのために花嫁の靴も豪華で歩き難いものになっていた。
メイリンがローヤンの膝に乗ったまま一歩ずつ向かう幸せを噛み締めていたそんな中、黒い影が二人を飲み込み、明るくなったかと思うと強い風が二人を襲った。
「龍王だ。」
ローヤンが呟く。
「龍王?」
「ああ、きっと僕たちの結婚も祝福される。ほら見て。」
ローヤンから促されてメイリンは空を見上げた。
白い龍が茜色の龍と戯れている。
「龍王が番を娶った年は祝福される。今日のこの日に婚姻を挙げたこと、私たちは龍王と同じ日に夫婦になるんだ。」
メイリンは胸が痛み、身体を震わせる。
「私は鶴の番の方が好きよ。ローヤンと二人幸せに入れたならそれでいいの。」
その痛みを見ないようにローヤンの胸に顔を寄せて、メイリンは言った。
「うん、メイリンが望むのなら鶴のように二人で幸せに暮らそう。」
ローヤンはメイリンの震えを消すように強く抱きしめた。
馬車が止まり、ローヤンがメイリンを抱えて宴会の準備がしてある会場へと向かう。
大きな絨毯には人が沢山おり、見たことのないほどの量の食事がならんでいる。
もう、後戻りはできない。
メイリンの胸には何故かその言葉が浮かんでいた。
ローヤンが先に杯に入れられた酒を飲み、その飲み干した杯をメイリンに渡した。
「飲むふりだけでいいから。」
不謹慎なことを考えているメイリンをよそに、ローヤンは優しくメイリンを気遣う。
メイリンは震えが止まらない。
そればかりか大きくなっていく。
そして、メイリンは杯を落としてしまった。




