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メイリンは空を見上げていた。
周りにいた羊はメェメェとうるさいくらいに鳴いている。
空には二体の龍が戯れていて、メイリンはその姿を目を細めて見つめた。
春、の訪れ…
頰には冷たい風が吹いていて、メイリンの日焼けした頰を更に赤く染める。
明日は憂鬱な日だ。
メイリンは避けられない厄災に奥歯を噛み締めた。
広い草原は何処まででも続いており、丸みを帯びた地平線と空の交わるその白くぼやけた間に日が落ちて行く。
それをいつまでも見ていたかったが、母と父、そしてカイリが家で待っいる家路へと急いだ。
「メイリン、これを。」
母がメイリンに赤い服を差し出す。
古く色のぼやけたその服はメイリンが今着ている服よりも上等な絹でできていた。
「…嫌だなぁ。」
メイリンは一人、部屋の中でその服を掛けながら呟いた。
明日になれば、村の成人の祝いがある。
そこでメイリンは会いたくない人たちと会わなければならないのだ。
でも、明日我慢すれば…
メイリンは幼馴染である隣人のローヤンとの婚姻が待っている。
メイリンは数えて15の年の今年の誕生日にローヤンから櫛を貰い、好きだと、メイリンと結婚したいと打ち明けられた。
舞い上がってしまったメイリンは上手く言葉が出ず、頷いてそれに応えた。
メイリンはずっとローヤンのことが好きだった。
学校でメイリンが虐められていた時、ローヤンだけは最後までどうにかしようとしてくれていた。
結局はダメだったけれど、ローヤンは学校で習ったことを教えるため、隣人と言えども遠い所を毎日メイリンの元へ通ってきてくれた。
その優しさと強さにメイリンも憧れて、いつしかローヤンに恋をしていた。
「ふふ…」
メイリンはそのことを思いながら微笑むと、早く時が過ぎるようにと眠りについた。




