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「龍王は二度天から祝福を授けられる。一度は生誕した時、二度目は番を設けた時だ。」
メイリンはハクレンの言葉に耳を傾けていると、幼い頃から聞いていた龍王の言い伝えを思い出していた。
誰もが知ってるわらべ歌。
龍王が番を得て、大地に祝福を授ける、と。
「これが龍珠。唯一天と通じることのできる至宝だ。私は以前無闇に触れて怒りをかった。もう一度触れて許されるのかわからないが、もうこの国にはこれしか手立てはない。」
この国に蔓延る病は猛威を振るい、国ごと消そうとしている。
それをすぐに止めるためには祝福を授けて貰うしかない。
玉座の様に階段の高台に置かれていた龍珠は、宝石の様な輝きもなく、水晶やガラスよりももっと透明で奥にある物をただそのままに映す、丸い玉だった。
メイリンがその珠が水の様に動いた様な気がして、パチクリと瞬きをした。
「怖いか?」
ハクレンがメイリンの顔を覗き込む。
「いえ。」
メイリンは即座に答えた。
もしも死ぬことになっても一緒に死ねるならそれでいい。
ハクレンが先に龍珠に触れた。
メイリンはその手と反対のハクレンの手を取って繋ぎ、決して離れない様にと指を絡ませる。
そして、もう片方の手で龍珠へ触れた。
しかし、触れた感覚は無く、メイリンの手は何処まででも龍珠の中へと入っていく。
「メイリン!」
ハクレンが叫ぶ。
気づいた時にはメイリンの身体半分が龍珠の中に入り込んでいた。
叫びたいのにメイリンの口はもう龍珠の中に入り込み、口もうまく動かせない。
もうハクレンの声も届かない。
澄んだ龍珠がハクレンの姿だけをそのまま映し、メイリンは見ているだけしかなかった。
最後は繋いだ手だけが残り、絡めた指も少しずつ離れて、やがて完全に離れてしまった。




