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ハクレンは空を見上げていた。
地上に来てからは、時折見上げてしまうことが未練たらしく思えて、意識して辞めていた。
その未練がメイリンをあんな目に合わせてしまったのだ。
そして、番に溺れて何十人もの龍を処刑するという恐怖政治を行い、追い出された愚かな王が帰ることは国の民も望んではいないだろう。
今、龍華国は死の病が蔓延しているということを聞いて、気付けば空を見上げてしまっていた。
愚かな判断から番ではない者を娶り、そして亡くしてしまった際と同じ病気…
天命に背いた罰なのだろうか…しかし、今の自分には関係ないこと。
ハクレンは黄色い花の咲き誇る地面に目をやった。
そんなハクレンを小さな手が伸びて来て捕まえる。
自分の胸程しか無い小さな手の主が、ハクレンをギュッと抱きしめた。
「…帰りましょう。」
幼さが残る容姿とは違い、その声は落ち着いていた。
ハクレンは本当にいいのかたずねようとしたが、自分に向けられる強い眼差しにその言葉を飲み込んだ。
拒絶されるのならもういい。
もし、仮に彼女に矛先が向かうのであれば、その時は自らの手で滅ぼそう。
一度は自分の手で先にも無いほど栄華を極めた国、滅び憎まれたとしてもそれでよし。
ハクレンは胸の中の小さな番を抱きしめた。
急あつらえの少し狭い風呂にハクレンは番と共に入る。
白い肌に醜く残ってしまった傷跡は季節によっては痛むため、ハクレンが入浴時に丹念に按摩するのが日課となっていた。
「痛みはないか?」
その傷は貫通していた為、前後に4箇所ある。
今でも血が、魔力が流れ出てしまっていないかハクレン心配になる。
「ええ。全く。」
そんな事など分かりきっている少女は振り向き、いたずらにハクレンに口を奪った。
「メイリン…」
深い口付けののち、ハクレンが番の名を呼ぶ。
「はい、ハクレン様。」
二人だけしかいない宮殿はきっと最後になるだろう。
番に溺れた龍王が建てた宮殿はただ広く冷たさを感じるほど何も物はなかったが、番が一組いるだけで温かい思い出でいっぱいになった。




