↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

熊の丸焼きと説教




 あの後、教育方針が決まったら速攻で部屋に戻され寝かされた。

 魔力が制御出来るまで、無理は禁物とのこと。

 腹黒様に素敵な笑顔で「宿屋を全壊するつもりですか?」って言われた。

 ルイス様にも「寝なさい」って言われた。なでなでしながら。



 そして翌朝。



「アカネさん。おはようございます」


 腹黒様に叩き起こされ、これまた美味しい朝食を頂いて直ぐに出発。

 何でも、帰り道に熊が出たらしい。

 訓練のついでに何頭か討伐しておかないと、街道まで行動範囲を広げるとか。

 ……まぁ、それは良い。

 何で私はルイス様に抱えられて馬に乗ってんの?


「アカネ。着くまでに魔力の流れを意識出来るように私が補助してやる」

「補助ですか?」


 あ、この体勢、意味あったの?

 美形に背中から抱っことか、意味がなけりゃ勘弁してほしいんだけど。

 女の嫉妬は恐ろしいんだぞ?


「私の魔力をアカネの身体に流して循環させる。お前はそれを自分の意思で感知し、私に還せるようになれ」

「……よく解んないです」

「これは魔術師の適性がある者が、子供のときに知識と合わせて段階的にやるものなんだが、お前は悠長にやってはいられないからな。とにかく、実践で叩き込んでやる」


 ……嗚呼。ルイス様の御顔が鬼上司様に。

 心して懸からないと、死亡フラグが立ちそうだ。


「大丈夫だ。死なない程度にしごいてやるから」


 その宣言が本気で恐ろしいんですけどっ!!



















「殿下、報告があったのはこの辺りとのことです」


 先を進んでいた兵士の一人が地図を確認しながら周囲を見回す。

 ここに着くまで、アカネは魔力の還元と視覚補助、火と水と風の発現を覚えた。

 どうやら実践で教える方が性にあってるようだ。

 アカネは私の前で、小さな火で感覚を覚えようと今も唸っている。


「なんとまぁ……。感覚が良いんでしょうねぇ」

「こればかりは、個々の素質だからな」


 クロウが感嘆と呆れの目でアカネを見ている。

 教えた当日に魔力の流れを理解して、還元するなど普通は無理だ。

 私も還元を会得するのに一月は掛かった。

 戯れに魔力を流してみれば、アカネは私を見上げて微笑み還元してみせる。


「……クロウ。こちらへ」

「はい」


 騎士達は既に馬から降りて、熊探しを開始している。

 私達の護衛に残っていたクロウを呼び寄せ、アカネを見る。


「アカネ。還元するのが解れば、流すのも解るか?」

「大丈夫だと思います。……クロウさん失礼しますね」


 頬にアカネが触れた瞬間、クロウが目を見張った。

 ……どうやら、出来ているようだ。

 本当に飲み込みが良い。まだ暴走しないように補助は必要だが、それも直ぐに要らなくなるだろう。


「アカネさん、ルイス様から探査のやり方は教わりましたか?」

「はい。視覚補助の一つだから覚えておけと」

「そうですか。それは本当に便利なので、咄嗟に出来るようにしておきましょうね」

「はい」


 クロウの言う通りだ。狙われる可能性がある者は、絶対に覚えておかなければ死ぬ確率が跳ね上がる。


「「大変ですっ!!」」


 クロウも講師側になり、アカネに視覚補助の応用編を叩き込んでいると、熊探しに出た騎士の二人が慌てて戻ってきた。何事だ?


「どうしたんです?」

「熊が群れを形成していて、何かおかしいと思ったら魔物が…っグーリーが群れを率いてました!」

「現在キース隊長が数名の部下を率いて交戦中です!」


 この報告には、溜め息が出た。

 グーリーとは熊型の魔物で、厄介で有名だ。

 どうやら毛に魔術耐性があるらしく、状態異常が通用しない。

 その他の攻撃魔術も効くまで何発も連用しないといけないのだが、巨体に似合わない素早さのせいで仕留めるまで時間が掛かる。

 本来、罠を仕掛けて動きを封じ、そこを叩くのがグーリーの討伐方法だ。


「……とりあえず、こちらへ誘導しろ。森の中よりは戦い易いだろう」


 どうやら、私も本気で参戦するしかないようだ。















 ルイス様も凄いけど、キースさんも凄い人でした。

 二人以外の騎士は、馬鹿デカい熊に弾き飛ばされてるのにルイス様とキースさんはそのまま避けて攻撃してる。

 2メートル以上ある巨大熊は右に左にと驚く速さで動き回るせいか、魔術の使える騎士も目標を定められないから魔術が撃てないみたいだ。

 ……これ、対象の捉え方変えればなんとかなるんじゃねえの?

 さっき教わったのは、視覚で捉えるやり方と魔力を網みたいに拡げるやり方の二種類。

 これ、皆は絶対視覚の方でやってるよな?

 網状態にするのは、その分魔力を消費するって言ってたけど、上手くやれば一発で捕捉と攻撃出来そうだし……。

 教わった捕捉のやり方に、さっき火で遊んでた時に思い付いた魔力の流し方と練り方を組み込む。


 えー……と、よし。皆が離れた今がチャンス!

 では!巨大熊の丸焼き、いっきまーす!!




  ボ……ッ、ドオォォオッ……ンンンッ……




「「「「……は?」」」」


「……………………あれ?」



 ……巨大熊。丸焼き通り越して、炭と化しました。








「…………で?貴女は何をなさったのですか?」


 額に青筋浮かべた腹黒様から、現在尋問されとります。


 あまりの惨状に皆が硬直してたら、最初に復活したルイス様から腹黒様に捕獲命令。私の。

 襟首取っ捕まえた腹黒様に持ち上げられ、ルイス様に差し出されました。


「えーと……捕捉のやり方に攻撃を組み込んで、発動してみた結果がアレですっ♪」

「可愛らしく言っても状況が変わるわけないでしょう!かなりの爆発が起こったんですよ!」


 首傾げて見上げてみたら怒鳴られた。

 まぁ、そうなんだよね……。

 捕捉した巨大熊の内側と外側を、一気に高温で燃やして風で包んで真空にしてみたんだよ。

 んで、試しに真上に穴を開けてみたら、バックドラフト現象が。

 まさかここまで上手くいくとは思わんかった。

 火柱上がるし、びっくりした。


「次は一声掛けてからやります!」


 うん、危うく騎士さん達まで炭にするとこだった!


「………そこじゃありませんよ…」


 あれ?腹黒様が一気に疲れはてたのは何故。

 首傾げて腹黒様を見上げてたら、ルイス様に溜め息吐かれた。


「アカネ……。アレが何だか理解出来てるか……?」

「え?巨大熊??」

「「…………」」


 ルイス様と腹黒様の溜め息が重なった。だから何故。


「あれはグーリーという魔物だ。魔術耐性があり、探査では捕捉出来ないんだ」

「え?」

「しかも、貴女はそれに攻撃魔術も組み込んでいるんですよ?」


 へぇ~。あれってそんなめんどくさい魔物なの?

 でも、それ捕捉のやり方に問題あったんじゃね?


「さっきの捕捉は巨大熊が目標じゃないんですよね」

「……どういうことだ」

「あれだけ素早いのを、ずっと追い掛けるのはキツいんで巨大熊の周りの風を捕捉したんです」

「……何故、風を?」

「本体の動きに合わせて風が起こるじゃないですか。それを捕捉して魔力を込めて、呼吸で風を吸い込んだ瞬間、風に一気に高温の炎を発現させました」


 あれ?何で腹黒様は口開いて固まってんの?


「で、新たに周りを高速の風で包んで動きを封じて、程よく焼けたタイミングで上に穴を開けたら火柱が」


 ……。ルイス様に凝視されてます。

 腹黒様も、口開けたまま固まって動きません。


「……アカネ。あの短時間でそれだけ出来るのは魔術師でも無理だ」

「……え?」

「同時進行での魔力行使は恐ろしい量を消費する。魔力のコントロールが繊細すぎて暴走の危険性もあるんだぞ」


 あれ……?もしかして私、やらかしました?





ルイス様直々、お説教コース。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。