表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

HERO(12)

 俺が目を覚ましたのはいつもの病院で、何よりビビったのは自分が丸二日間も眠り続けていたという事実だった。

 いろいろと実力以上の無理をして頑張りすぎたのか熱も出たらしく、左足の怪我の有様もひどいこともあって、しばらくは絶対安静だそうだ。

 おそらく、まともに歩けるようになるまでに長いリハビリテーションが必要になるだろうということだった。まあ、長いこと格闘技をやっていた俺にとってはもう慣れたもんだ。

 俺が目を覚まして最初にやって来たのはヒカルだった。

 もう少し感動的で情緒的ななんやかやがあるかと思ったが、ヒカルは「あら、ようやく気付いたの」と言って笑うだけだった。「死んだかと思っちゃったわよ」と。ひどい話じゃないか。

 だが、後から聞けば、入院してからほとんど俺に付きっきりでいてくれたようで、その笑みは確かに疲れた笑みでもあった。俺は感謝する。

 そして目を覚ました俺が最初にヒカルから聞いたのは、水曜日プラネットの連中のことだった。


「あの連中はリリィさんにやられて高架下で気を失っている所を、私たちが呼んだ警察官に逮捕されたわ。岩岡さんが気を失っている間に、もうアジトの捜索も終わって、山のような証拠品が押収されたみたい。今、他のチームとの繋がりやネット上で集めた協力者たちも捜査してるみたいで……」

「それより、連中を警察に任せたくなかったんじゃなかったのか?あの時はやむを得ず、あんな形になってしまったが」

「いいのよ、こんなことを言うと怒られそうだけど、実はあいつらを捕まえた後にどうしたいかなんて、全然決めきれなかったの。いいえ、きっと捕まえたとしても、怖くてどうすることもできなかったと思う」

「そのときは、俺がボコボコにぶん殴って、ヒカルの弟のところに土下座させに連れて行ったよ」

 俺の言葉に、ヒカルはまた笑う。

「ありがとう、岩岡さん。でもね、リリィさんが岩岡さんを背負ったまま、全員をあり得ないくらいぼっこぼこに吹っ飛ばしてくれたでしょう?あれでなんだかスッキリしちゃったの。だから、この先はもう警察に任せることにするわ。本当にありがとう」


 大したことは何もしていないのに改めて礼を言われて俺は照れてしまう。だが、やはり俺はそれだけ感謝されるべきことをしたのだろう。胸を張れ岩岡悠介。俺はヒカルのヒーローになれたのだ。


「本当に、ありがとう」

「ああ、いいんだ」


 結局、その日は面会時間が終わったのでヒカルは手を振って帰っていった。

 次の日は朝からリリィと親父と母さんが揃ってやって来て、昼過ぎにはヒカルもやってきたのだが、俺たちが病室で仲良くわいわいやっているのを見ると満足したようにすぐに帰ってしまった。

 それからヒカルは病室に来なくなってしまった。

 次にヒカルと会ったのは俺が退院してから。最後に会ってから一月以上も経ってからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ