俺には何もない
霊媒師なんです
彼は一言そう言う
占いも少し出来ます
こちらが何も言わず内に、もう一言
それを聞いてから、やっと
へー
と、俺は一言返した
こんな奴いるよな
イカサマ野郎が!
この心の雄叫びが聞こえるなら何か反応してみな
いいでしょう
自称霊媒師は行きつけだという図書館へと俺を連れて行く
ここには無数の霊が集まるのです
地下へと続く階段
いかにもって言う雰囲気、床がキシキシ軋む
築40年ってところか、チョイスが憎い
階段が終わりに差し掛かる頃
ほら、いた
彼が指差す方向を見ると老人が立っていた
本を読んでいる・・・けど?
軽く勘繰る
ええ、ここの常連さんです
地縛霊とでも?
ええ、ご存知なんですね
しまった!こちらから地縛霊というキーワードは出すべきではなかった
霊媒師は老人に軽く会釈をしていた
先生、俺にも見えるけど?
図に乗らす訳でもなく何と呼べばいいのか分からないので、霊媒師の事を取り敢えず先生と呼んだ
僕の力が作用するものでしょう、このフィールドは僕のテリトリーですから
他にも見えるかな?
急かすように俺は次へと促す
少し待って下さい
霊媒師は目を閉じている
このまま黙って帰っても気付かれないだろう
俺は霊媒師の先生の背中に人差し指を当ててみる
あ、いますよ!近くに今触れました
こんな馬鹿だったら、頭を叩いても良いかもしれない
…それからどこでどう間違えたのか、先生の助手兼霊媒師見習いとして様々な人を騙すのに俺は一役買っている
霊媒師なんですと言って近づいて来る奴がいたら俺か先生のどっちかだと思ってくれたらいい




