マクバのデニムのジャケット
あだ名はトン‘‘豚‘‘とか‘‘重たい奴‘‘って意味。
つまりはデブで何を考えているんだか分からない奴。
トンは出先で本やゲームを買って来ては部屋に集めていた。
根っからの収集家という訳でもないが、ここ数年で部屋の中は色々なブツで溢れかえっていた。
「トン、歴史的なニュースがあるとしたらお前どっち選ぶ?」
ダチのアッピーはいつもどうでも良い質問をしてトンを困惑させる。
「1、ゲマが会話民族の長になってアーリャ族を奴隷にする」
「2、バイオライトが空に現れて羽雲の救世戦士が天と地を繋げる」
「3、アフエシ…」
と言ったところで
「2、2、2、」
トンはめんどくさそうに早口で答える。
アッピーは最近ちょっと頭がおかしい、いつも何か考えていることがあって、それが全部現実的ではないからだ。
外見はただの少年でトンよかハンサムだって豪語するものだから、いつも二人はそれについてで喧嘩になる。
今はその喧嘩をした後の話だ。
トンは出先で本やゲーム以外にも探しているものがあった。
ケーリーの代わり、いつもケーリーを探していた。
それが彼に、トンに取り憑いた呪いだ。
破片や断片を探している。
顔のパーツか性格か、スタイルやファッション、髪型、ケーリーにどこか似てないかって。
「どこにでもいる奴じゃねーか」
アッピーはヘラヘラ笑いながら言った。
「俺は本気で好きだったんだよ!」
トンは手をグッと握りしめてアッピーに言った。
「ご、めんご…」
アッピーは凄むトンの顔の威圧に負けて目をそらした。
「デブの癖に恋愛だけはすぐにマジになりやがる」
アッピーは顔を伏せながらブツブツと言った。
「なんか言ったか⁉」
トンの怒りは収まらずこの日はそれでお開きになった。
「もしかしたら、俺は収集家なのかもしれない」
トンは自分が何故いらない物に囲まれているのか少し分かってきた気がした。
埋め尽くされた部屋から少しずつブツは消えて行っている。
「ヤリてぇな、ヤリてぇヤリてぇ!」




