地面に生えた兵士
もう少しでセンターオルドという所まで来て、アーカとキャンドちゃんは六匹の植物兵士に足止めをくらってしまう。
と、言うより周囲を囲まれて道をふさがれた。植物兵士は皆似たり寄ったりで、まるでクローンのように同じに見える。体から飛び出した紫色の触手が左右に動いている。
入り口に生えていた可愛らしい植物とは全く違う種類、アーカは瞬間的に毒草だと思った。
さっきまでのキラキラ光っていた植物とは雰囲気がまるで正反対だからだ。
目の周りを墨のようにどす黒いアイシャドーが覆う。
キャンドちゃんの表情がかたくなる。さっきまで駿足を見せていたアーカの足、つまりはエイリアンレッグも何故かガタガタと震えているのだ。
「おいどうした?エイリアンなんだろ?」
アーカが下を向いてエイリアンレッグに声を掛ける。
「ジャウだ・・・」
キャンドちゃんがつぶやく。
ジャウと呼ばれる兵士の一匹が脇差の剣を抜いた。アーカとさほど大差の無い小柄な生物だが、、、その姿形といで立ちが全然違う。
ジャウの剣を見てアーカは驚く。剣が白銀に輝いているからだ。
無論、アーカは剣など今の今までまともに見たことが無い。しかし、そんな素人目からも美しい剣に見える。
「ああ、ランチを食べておけば良かった・・・」
キャンドちゃんがぼやく。そういえばキャンドちゃんは何も食べていなかった。
「僕もちゃんとは食べていないけどね?」
ジャウは目の前のアーカ達のやり取りに苛立ちを見せる。
「お前たちそんなに腹が減っているのならスライスにしてやろうか?」
聖剣がキラリと光った。次の瞬間、アーカの右腕がスパーン!と切れた。
「!!!!」
「本当にやりやがった!」
キャンドちゃんが大声で叫んだ。
腕が地面にドサっと落ちる。アーカは大きなダメージとショックを一度に受けて目の前が真っ暗になった。
「傷薬だほれ!!」
キャンドちゃんの声でアーカはすぐに意識を取り戻す。斬られた腕にキャンドちゃんがロウを垂れ流す。すぐにアーカの腕が元に戻る。
「生えた!?」
キャンドちゃんは驚くアーカを落ち着かせようと必死だ。
しかし、アーカのショックまでは治すことはできないようだ。
アーカは地面に転がる自分の腕を見て怯え出した。
「あ、あ、、、ああれあれ?僕の腕が三本あ、あ、あるぞ?」
頭がパニックに陥ってしまう。それを尻目にジャウは剣を掲げると、鍔から剣先に向かって目線を上げて行った。
「まぁまぁだな」
「これ食べてもいいよ!!これ!!」
アーカは地面に落ちている自分の腕を指さし、剣を眺めているジャウに向かって言った。
「そんなもの食うか!」
すぐにジャウがアーカに反論する。と、雷鳴のようにピカピカピカピカッとアーカの目の前が光った。
「アーカーーー!!」
遠くでキャンドちゃんの叫び声が聞こえた気がした。フッと灯りが切れたように目の前がまた真っ暗になった。
「・・・アーカ・・・・アーカ・・」
誰か分からないが、女の人の声が聞こえてアーカは意識を取り戻した。
辺りを見回すと沢山の武器が所狭しと置かれた部屋にいた。なんだか物騒な雰囲気だ。
入口のテーブルの前に小太りのおじいさんが立っている。
「どうでした?坊ちゃん斬られた気分は?」
ふさふさ白髪のおじいさんがニコニコしながらアーカに向かって言った。
「え?どういうこと?」
アーカは驚いて目を見開いている。頭がパニック状態だ。
おじいさんがキャンドちゃんの頭に火を灯す。
「ああ!キャンドちゃんだ!死んでなかった」
アーカはキャンドちゃんを抱きしめて軽い火傷を負った。
「あっち!!」
「ほっほっほ、熱い友情ですなぁ」
おじいさんが笑う。アーカは元通りになった腕を見てホッとした。それにエイリアンレッグも元の自分の足に変わっていた。
「僕の体を治してくれたんでしょうか?あなたはもしかして神様ですか?」
アーカはおじいさんに向かって尋ねた。
「いやいや、ワシはここの主じゃがよ」
’’じゃがよ’’と名乗るおじいさんはニコニコしながら言う。
「アーカ、僕たちはどうやら、ジャウ達の剣の試し斬りに付き合わされたみたいなんだ」
キャンドちゃんがアーカに向かって言った。
「どういうこと?」
アーカは全く状況を把握することができない。
「ここはセンターオルドの武器屋で、ここでは武器を買う前に試着や試し斬りが出来るんだ、それで試し斬りをする相手を選べられて・・・なんかジャウ達に選ばれたみたい」
「・・・どういうこと?」
アーカは少し考えたけど、やっぱり理解ができなくてもう一度キャンドちゃんに尋ねた。




