遠足みたい
アーカ達を運ぶエイリアンレッグに、群生植物達は踏みつぶされるかと思われたが、エイリアンレッグのそのタッチは柔らかく、柔軟に植物や岩肌を撫でながら進んで行く。エイリアンレッグの通ったすぐ後には、植物達もまたピンッと元気に元通りに戻るのだった。
キャンドちゃんはダフォウは近くにいると言ったけど、アーカにはダフォウの気配を感じられなかった。
きっと忙しいのだろう、ゴーストの王様だもんね。
アーカは始め緊張をしていたが、そのうちエイリアンレッグに身を任せてくつろぐようになっていた。
そう、リビングルームでダラダラしている感じで。
「アーカあ~ん」
キャンドちゃんがそう言うとアーカの口が勝手に開いた。
「え?ふぉ?あ?あ~ん」
キャンドちゃんがアーカの口の中に何かを放り込んだ。
「堪能せい」
キャンドちゃんが貫録を垂れる。
「!!?」
アーカはびっくりした、今までに食べたこともない味が口の中に広がる。
「気を付けて、美味しすぎて舌を噛んで死んだ奴もいるから」
キャンドちゃんがそう言うのでアーカはゆっくり味わいながら食べた。
「これはなんだい?」
アーカはキャンドちゃんに尋ねる。
「キャンディーゴーストだよ、言わば魂や言霊、霊魂、その他」
キャンドちゃんが成分表を読み上げる。
「なにぃ?ゴーストだって?ペッッ!ペッ!」
アーカは急いで美味しい味を丸ごと吐き出した。
「あ、あとほこりとかも入っているかも」
キャンドちゃんがボソリとそう言ったので、アーカはふざけんなと言わんばかりに怒った。
「僕は人間なんだからまともなものをちょうだいよ」
「アーカは勘違いしているけど、ほこりって、このほこりじゃないよ?」
キャンドちゃんがエイリアンレッグの上げる土ぼこりを指して言った。
「プライドとか、情熱とか、責任感とか、そう言う類のほこりだよ」
「幽霊が?そんなもん捨てちまえ」
アーカは友達の影響で時々心にもないことを平気で言ってしまう。それがカッコいいと思っている年頃だ。
「アーカも早く自分で手に入れられるといいね、キャンディーはこの世界では貴重なものなんだから」
キャンドちゃんはまだ何か言いたげだった。
「どうすれば貰えるの?」
アーカは真剣な顔をしてキャンドちゃんに尋ねる。
「アーカはダークフォレストウッドの住民だから、それ以外の部落住民をやっちまえばいいんだよ」
キャンドちゃんがマントのすき間からとても小さな握り拳を見せた。
「やっちまう?ああ、戦うってことか・・でもどうやってそいつらと戦えばいいの?僕は喧嘩とかしたことないよ」
アーカが弱気にそう言うのでキャンドちゃんが含み笑いをしながら言った。
「フフフ、その為に武器を手に入れに行っているんじゃないか」
アーカは武器と聞いて様々な凶器を頭に思い浮かべていた。
「さっきアーカが吐き出したキャンディーゴーストね、アイスクリームもあるんだよ、キャラメルとかもあるし、ジュースとか、まぁ何が出るかはお楽しみ」
’’センターオルドへはもうすぐだ’’と言う看板が流れるように後方へと消えて行く。
文字だけが浮かび上がる不思議なデザインの看板だ。
アーカにはそんなことはどうでもよくて、自分の足が元通りに戻るのだろうか?とそればかりが気になるのだった。




