ズック・オンリーバトルその1
タクシーマシンはズックの指定したナンバーへと向かう。
マシンの強化窓から一歩出た外の世界では日常的に奪い合いが行われている。
郊外ネイル地区と言えば、度々事件が起きる場所でも有名だ。
そこら中に命を絶つ奴がいる場所でも有名。
古びた町、日の明るいうちは人気のないゴーストタウンと言った感じか。
ビルと言う建物が今でも立ち並ぶ、そのすき間から見える空を厚みのあるスモッグが覆っている。
「なんでこんな所に・・・」
ズックは外の景色を見ながら頭を抱えた。子供たちが本来いる場所とはかけ離れた劣悪な環境だったからだ。
「到着でーす、この辺りは物騒なのでどうかお気をつけて」
タクシーマシンがカタコト語で話す。
「旧型か、どうりで乗り心地がいまいちだったわけだ、まぁ、こんな所を指定されるのはマシンでも気の毒だよな」
事務所への請求ナンバーを言って支払いを終えると、タクシーマシンからズックは降りた。
ドールモデルと呼ばれる小さな住宅街、昔はスポットライトを浴びた町も今はその面影はなし。
ズックが指定したのはライザから聞いたナンバーでは無かった。’’キーティー2-3’’。
ブーツをコツコツと音を鳴らしながらズックは廃墟トンネルへと入って行く。コツーンコツーン、歩くたびに音が反響する。当たり前だが、奥へ進めば進むほど視界が悪くなる。
しばらく歩いた所でズックは照明マーカーを壁に貼りつけて作業を始め出した。
エージェントジャケットには最低限の’’小道具’’を忍ばせてある。巷ではサフィアと呼ばれているリトルガンを片手に持ちディープと言う薬品を地面へと撒いた。
ピチャピチャ・・・ピチャピチャピチャピチャ・・・・。
少しずつ、少しずつ、地面へしみ込ますように。空になった薬品のボトルをその辺に放り投げる。
「ははは、とうとう見つけたぞ」
地面にうっすらと見慣れない文字が浮かぶ。
「ニスカーには悪いが、俺は正義の捜査員止まりで修まりたくないんだよ」
ジリリリリリリ!!
突然ベルが鳴る。顔を上げ辺りを見渡す。ズックはニヤリと笑った。
「いるじゃないか、あっちにもそっちにも」
ズダン!!
ズックはすかさず地面に向かってリトルガンを一発ぶっ放した。
タタタ、タタ、タタタタ。
銃声を合図に数人の亡者の足音がズックを囲んだ。




