第3話
「ふざけんな……!」
俺が自警団にスカウトされ握手をしようとするとそう声を張り上げる女の子が。その子は先ほどまでいなかった子。だがその制服から同じ自警団の戦闘部隊であるとわかる。
「(で?なんでその子に俺はこんなに睨まれてるんだろうか?)」
その女の子は十代後半ほどの女の子。前世でいえば高校生~大学生ぐらい。初対面のため睨まれる覚えはないのだが?
その女の子は俺を睨みながらも団長さんのもとへと詰め寄る。
「こいつは明らかにあたしよりも年下じゃん!なのになんでこんなのが自警団の戦闘部隊にスカウトされるのよ!父さん!」
「(親子なのか。というか今こんなのって言った?)」
気になる言葉はあるもののとりあえず空気を読んで団長さんとの距離を開けるため数歩下がる。するといつの間に移動したのか兄貴が俺のすぐそばにやってくる。
「あの子はミアーシャ・リッテンスキー(18歳)。団長の娘さんだ」
「なんであんなに怒ってるの?なんか俺、睨まれてたし」
「あの子はカイの年のころから度々自警団に入らせてほしいって言ってたんだよ。しかも所属したいのは戦闘部隊だってな」
「自分から……随分と熱心な……」
まあ自警団はカッコいいから気持ちはわかる。なんて思ってたけどそこには別の想いがあったらしい。
「ミアーシャのお母さん…つまりは団長の奥さんなんだが、ちょうどその頃に宇宙海賊の襲撃の余波で瓦礫の下敷きなって半身不随になっちまったんだよ。それが影響してたんだろうな。でも団長はそんな娘の願いを突っぱねてきた。今年になってようやく加入が認められたんだよ」
「……そうなんだ……」
そんな小声で話していた俺と兄貴。一方でミアーシャの声はさらに大きくなる。
「落ち着けミアーシャ」
「落ち着けない!私にはさんざん"お前にはまだ早い"とか言って自警団に入れてくれなかったのに!あんなバカみたいな顔をしたガキがなんで!」
「(バカみたいなガキって言った?転生してから頭は良くなったんだけど?)」
すると突如としてミアーシャがこちらを向き勢いよく指を差す。
「あんた!いま何歳よ!」
「……15歳です……」
その後もヒートアップするミアーシャ。しかし団長さんは表情を変えずに俺をスカウトした理由を言う。
「彼は特別だ。お前も見ていただろ?ダムで彼がした規格外の動きを」
「……それは……」
ちなみにミアーシャは途中でダムの腕が破損し戦闘不可とみなして団長さんが離脱を命令したらしい。
「娘だからより厳しくしてるんじゃないかって声もあるからな~。ミアーシャの擁護派も結構いる。俺は団長派だけどな」
「そうなんだ」
その後はなんとか周囲の人物になだめられたミアーシャはそのまま去っていった。俺を睨みながら。
「(事情は理解できたけど……理不尽すぎる……)」
「すまない。見苦しいところを見せたな」
団長さんが俺に向き直る。そしてその横にいる兄貴を睨む。
「アルノ……聞こえていたぞ……。随分と私の個人的なことをペラペラとしゃべってくれたものだ……」
「あ……いやそれは……。回収班を手伝ってきまーす!」
そういって兄貴も去っていった。残ったのは団長さんのほかには女性1人と男性2人。
「はあ……まったくあいつは……」
「なんだか兄貴がすいません」
一応謝っておいた。俺も兄貴のことは兄的には思ってるし。
「いや、あいつのああいう軽いところも場を和ませるいいところではあるからな。助けられる場面は結構ある」
そうして改めて握手をかわし俺は自警団の戦闘部隊に入った。
「本来なら15歳の君のような子供を自警団などに入れるべきではないのだろうが、あの戦闘を見れば誰もが欲しがるだろう」
「恐縮です」
するとほかの3人とも自己紹介兼握手をすることに。
「私はマイヤー・トンプソン。とても15歳とは思えないわよ。いい意味でね?」
マイヤー・トンプソンさん(35歳)は自警団の副団長も務めているらしい。それだけの実力がある証明だな。
「俺はリード・レイノルズだ!そんでもってこっちのが!」
「コード・レイノルズだ!顔は似てないけどこれでも双子なんだぜ!」
リード・レイノルズ/コード・レイノルズ(29歳)は似ていないところを見ると二卵性の双子なんだろうな。
「よろしくお願いします。マイヤーさん、リードさん、コードさん」
挨拶は基本。丁寧にお辞儀をする。するとマイヤーさんが笑いながら言う。
「ふふふ。そんなきっちりしなくていいわ。気楽にね?」
「そうそう!適当でいいんだよ適当で!」
「お前は怠けすぎだけどな?今日もゲームに夢中で出動に遅れそうになってたろ?」
「あっ!?バカっ!?お前!?」
「……リード……後で話がある……」
人生の終わりのような表情をするリードさん。そのやり取りを見ると確かにもっと気楽に考えてもいいのかもしれない。
「それにしても……アルノと同じ孤児院で育ったとは思えないほどにしっかりしてるわね?15歳の男の子とは思えない」
どうやらマイヤーさんにも男の子がいるらしい。年齢は6歳でヤンチャばかりしてるらしい。
「それでは行こうか。君を自警団の施設へと案内しよう」
そうして少し歩きドイルさんと共に自警団の施設へ。ほかの3人は己のダムを操作して整備工場へと向かうらしい。
「まず自警団の施設を案内しようと思ったが先にこっちに行くか。カイも戦闘部隊となるなら今後はお世話になるだろう」
そうして連れてこられたのはダムだったり宇宙海賊の機体が運び込まれている整備工場だった。その中に2人の部下に大声を張り上げて指示を出している人が。
「バカやろう!先に軽傷のダムから整備しろって言ってんだろ!優先順位を間違えんな!」
その人は宇宙海賊の船長なのでは?とつい疑いたくなる厳つい風貌の大男。
「ダントンさん!ちょっといいですか!」
「おう!今行く!」
ドイルさんの呼びかけでこちらへとやってくるダントンさん。その威圧感は近くに来るほどに増していく。
「お?こいつがアルノたちが言ってたすごい新人か?本当にガキじゃねえか。大丈夫なのか?ドイル?」
「ええ、その実力は保証しますよ」
そうして自己紹介が始まる。
「この方はダントン・ボージャンさん。自警団の整備士長をやってくれている」
ダントン・ボージャンさん(53歳)は話を聞くに元エルティア国の優秀な技術者だったらしい。
「上からの無茶な注文だったりパイロットの高圧的な態度に嫌気が差してとっとと辞めちまったけどな」
「俺はカイ・シュミットです。それならちょっとダントンさんに聞きたいことがあったんですけどいいですか?」
俺はダントンさんの経歴を聞いて思っているよりも優秀なんだと理解してダムに乗ってみての感想とやりたいことの相談をする。
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