第2話
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ダムとはかつての戦乱の時代においてここエルティア国が生み出した機動巨兵。それは不足した兵士を補うために量産された旧型量産機。少しの訓練で扱えるその特徴として機動力には乏しいものがあるがとにかく頑丈に出来ている。
「……ダムであんなアクロバティックな動きを……」
「……しかも遅いとはいえダムの最高速を一切緩めずに完璧に操作してやがったぞ……」
「……そんなのドイルさんでも出来ないよ……」
「ありえねえって叫びてえが事実だもんな~」
彼らはエルティア国が撤退したこの街を自主的に守っている自警団のメンバー。彼らがいるからこそいまもこの街は平和を維持できている。
「あのダムって誰の機体なの?」
「デヴィットだろう。ここにいないのはあいつだけだ」
1人の男がカイの乗るダムに近づいていく。その人物こそが自警団を束ねる団長であるドイル・リッテンスキー(42歳)。
「デヴィット!?マジかよ!?あいつってあんなに操作できたのかよ!?」
「馬鹿ねそんなわけないでしょ」
「普通に考えりゃあデヴィットのダムを誰かが操縦したってのが自然だが……いったい誰だ?」
それを確かめるためにドイルが一向に降りてこないそのダムの下に行き声をかける。
「そのダムのパイロット!出てきてほしい!お前は誰だ!デヴィットはどうした!」
それがカイと自警団の出会いである。
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一方で戦闘が終了しても一向にダムから降りようとしなかったカイが何を考えていたかといえば・・・
「やっばい……これってどうなるんだ?怒られる可能性もあるか?……あるか……勝手にダムに乗って勝手に戦闘をしたんだし……このままどっかに逃げようかな……」
逃げようとしていた。だがそんな時に外から声がかかる。
『そのダムのパイロット!出てきてほしい!お前は誰だ!デヴィットはどうした!』
自分を呼んでいるその自警団の人。俺はその人のことを一方的にだけど知っていた。というよりこの街に住んでいて自警団の団長のことを知らないという人はいないと思う。
「デヴィット?それってあの人のことかな?」
思い出したのはもともとこのダムに乗っていたパイロットのこと。その仲間を心配しての言葉と普段伝え聞く噂を思い出し俺は意を決してハッチを開ける。
「まあ……もともとこの街に住んでいて逃げ場なんてないんだけど……」
そうしてハッチを開けて身を乗り出すと自警団のメンバーは総じて驚きの声を上げる。だけど一番真っ先に大きな声を出したのは俺もよく知る人だった。
「ああ!!!やっぱりカイだったか!!!」
「……っくりした!!声でけえよ!!」
「す、すいません。つい……」
そんな突然大声を出したせいで怒られている人が俺がよく知る人。孤児院でともに育った俺の兄的存在の人。
「アルノ?彼のことを知ってるのか?」
団長さんから問われたアルノ・ヘリソン(26歳)こと兄貴は団長さんに近づきながら説明。そんな俺は機体に収納されているスリングリフトに足をかける。ケーブルは自動で降下し地面に着陸する。
「あいつは俺の弟っすよ!まあ正確に言えば兄貴分って感じっすけどね!名前はカイ・シュミットっていいます!」
「シュミットだと?」
俺の苗字を聞いて反応した団長さん。それに兄貴も不思議そうにする。
「そうっすけど……団長?」
「……なんでもない。 ということは彼は孤児院出身か……」
「はい。確か母親はカイを産んでそれで亡くなったって聞きました」
「父親はどうしたのよ?」
カイのことが気になるのかほかの自警団の人物たちも兄貴のほうへと近づいていく。
「行方不明らしいっす。いつの間にかいなくなってたって言ってましたよ」
「……」
その兄貴の言葉を聞いて団長はなにも声に発さないが少し考えるような表情をする。そしてそんな話をしているうちに俺は自警団の人たちの近くについた。
「ええっと……俺って怒られるんですか?」
「……確かに無断でダムに乗ったこと・戦闘に参加したことなどは怒るべきことだが君がいなければ俺たちは街を守り切れていたかわからない……少なくとも我々のほうにも一層の犠牲者がいただろう……だから怒ることはしない……」
「そうですか……よかったです。 ああそうだ!そのデヴィットさん?ってもともとあのダムに乗ってた人ですよね?それなら気絶してたんであそこ辺りに寝かせておきました」
そうして俺はデヴィットさんを置いてきた場所に向かって指をさす。
「気絶って……戦闘中になにやってんだよデヴィット……」
「しょうがねえだろうよ。あいつはダムの操縦は合格ラインギリギリなんだからよ」
俺からそのことを聞いた団長さんは後ろで戦闘の後片付けをしていた人たちに指示を出してデヴィットさんの救出を任せる。彼らも団長さんたちと同じ制服を着ているところを見るに同じ自警団の一員ということだろう。
「(確か自警団には戦闘以外を担当する部署もあるって言ってたっけ)」
そして指示を出し終えた団長さんは再び俺に向き直る。
「カイ・シュミットくん……君にはぜひ自警団に入り戦闘部隊として……ともにこの街を守ってほしい」
それは自警団へのスカウトだった。そもそも自警団にはだれでも入れるというわけでもないしそれが戦闘部隊ともなれば狭き門となる。それなのに向こうからスカウトされるなんて俺としたら願ったりかなったりだった。
「俺もこの街を守りたいっていう気持ちは同じですから」
差し出された団長さんの手を握ろうとしたときに大きな声がした。
「ふざけんな……!!」
それは十代後半ほどの女の子の怒りだった。その子はなぜか初対面なはずなのに俺のほうを睨みつけていた。
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