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宇宙都市オルビタル〜見捨てられた都市〜  作者: プラントスクエア


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第1話

○光暦0905年○


セクターDの朝は早い。


本星から見放されたここでは15歳でも働かないと生きていけない。俺ーーカイ・シュミットは今日もバイクに乗って配達する。


ここは本星の上空の宇宙に浮かぶ巨大都市オルビタル。国家事業が失敗したせいで政府は撤退。下層区画に住んでいたセクターDの住民だけが受け入れ限界としてここに残された。


「カイくん、いつもありがとねぇ」


道具屋のお婆ちゃんにいつもの配達をする。


「おうカイ!いつも元気だな!義手も調子いいぜ!」


大粒の汗をかき油に塗れた男が機械仕立ての義手の右手をこちらに振ってくれる。


俺はこの街が好きだ。


「……この街の人間に()()してよかった……」


俺は転生者が故に備わったと自負している高い身体能力と明晰な頭脳でこの街の日常を守りたいと強く思っている。


すると突如として警報が鳴り響く。


ビィー!!ビィー!!ビィー!!


みんなの足が止まり直後に轟音が響く。


ドガン!!


「またか……!」


【外壁が突破されました。外壁が突破されました。住民の皆さんは至急避難してください。繰り返します──】


宇宙より外壁を破り次々と機動巨兵に乗ったならず者たちが街中へと侵略を開始する。逃げ惑う人々。戦う力のない俺達には()()()の勝利を願って安全な場所で祈るしかできることはない。


「なにしてんだカイ!早く逃げんぞ!」

「はい!」


自警団の無骨な旧型機と宇宙海賊の細身な新型機との戦いを眺めていた。その戦闘は見えている限り劣勢に映った。しかし機動巨兵を持たない俺には加勢に入るすべがない。


「この世界では生身が強くても意味がない……!」


悔しさを胸にバイクを走らせて避難所に急ぐ。するとお婆ちゃんの上から瓦礫が落ちようとしていた。


「危ない……!」


俺はとっさに飛び込んでお婆ちゃんを救出。


「ありがとうカイ」

「無事でよかったよ。 あの!お婆ちゃんをお願いします!」


通りすがりの人にお婆ちゃんを預けて俺は避難所とは正反対の方向へとバイクを走らせる。この街を守れる可能性がが落ちているのが見えたから。


「あった!あれだ!」


するとほどなくして横たわる自警団の機動巨兵が見えた。バイクを放り出し機動巨兵の身体をよじ登りコックピットのハッチをあけると気絶している男の人がいた。


「とりあえず安全な場所に!」


男の人を抱えて横たわらせる。避難所は遠くて時間がかかると判断し建物が周囲にない地点に横たわらせた。


「あの機体……借ります!」


経験はない。しかし自信だけがあった。それは若者特有の根拠なき自信とは違うあれに乗ることこそが俺が転生した理由だと心からの確信があった。


機動巨兵のもとに走りコックピットに乗り込む。ここで運がよかったのが転生して手に入れた明晰な頭脳があったことと操作が単純な旧型機だったこと。


「わかる!動かせる!」


一目見て動かし方や操作方法を理解した俺は横たわった状態の機体を立ち上がらせる。


「武装は……盾と剣と投げ斧か!」


盾を左手に剣を右手に構える。すると早速立ち上がったこの機体に気づく敵。


『へっ!立ちやがったか!』

『馬鹿な奴だぜ!眠ってりゃあいいのによ!』

『今度はちゃんと殺してやるよ!』


敵の機体は新型機。現在の主流となっている現行機。その特徴は旧型機とは違い速く高機動戦を可能としなによりエネルギー兵器を使用可能。


ズギュン!ズギュン!


2体のエネルギー銃から放たれるエネルギー弾。それらを盾で的確に防ぐ。


「反応が遅い。ラグを考えて操縦しない。回避は困難か」


するともう1体の敵が急接近。


『もらったぜ!』


エネルギーソードを振りかぶる。しかしきちんと動きをとらえていた俺はすでに1歩下がり回避行動をとっていた。


『『『な……っ!?』』』

「訂正する。この身体は見えていれば予測のもとで回避ができるらしい」


予想外の行動に動きが止まる敵。その隙を逃さずに剣で近くの機体を切りつける。


『ぎゃあああああ……!?』

『『コーソン!?』』


仲間の名前を叫ぶ海賊たちだが俺は剣を振るのと同時に投げ斧を投擲していた。


ザクッ!


『がっ……!』


見事に投げ斧がコックピットに突き刺さる。


『なっ……!なんなんだよお前!さっきと動きが全然違うじゃねえか!誰だよお前!』

「俺はこの街を守る者だよ」


そのまま俺はエネルギー銃で応戦する3体目の機体に対して盾でエネルギー弾を防ぎながら急接近。


『う……!?うわあ……!?』


振るわれるエネルギーソードをかわし剣で一閃。俺の初戦闘は勝利で終わった。


「速度で劣る旧型機でもついていけない速度差じゃない。さらに予測していれば優位に立ちまわることができる。 でもやっぱり反応は悪いか」


キーボードを出して機体性能を変更。旧型機は戦乱の時代に開発されたため素人が少しの訓練で乗れるように設計されている。


「操作感度はMaxでアシスト機能はオフでいいだろ」


前世では苦手だったキーボードを高速で打ち込み再設定。そのまま俺は操作を確認する。


ドシン!ドシン!


「まだ遅いけど旧型機だからしょうがないか」


俺は盾と剣を構えながら街を守るために走る。そして先ほど見つけたこいつの名前を叫ぶ。


「行くぞダム!この街を守りに!」


そうして俺は残りの宇宙海賊たちに向かって駆け出す。出せる最高速で駆けながら戦場のすべてを把握。


「あそこか!」


宇宙海賊が残り7機に対して自警団で動けているのは5機。


「あそこに集まってる!」


最も劣勢な場所からサポートに回る。


「隙を作りさえすればそれでいい!」


スピードを一切落とさずに最高速のまま戦場を駆け抜ける。すれ違いざまに片腕や片足を切断したり間に合わなそうなところには投げ斧で援護をしたり。


『なんだこの旧型……!』

『どっから湧いてきやがった……!』

『こんなの旧型の動きじゃねえ……!』


その混乱は宇宙海賊たちだけでなく自警団も同じなのだがリーダーの質が違う。


『目の前の敵にのみ集中しろ!一気に畳みかけるぞ!』

『『『はっ!!』』』


そうして突如として襲い掛かってきた宇宙海賊たちは自警団の手によって撃破された。


これで俺の初陣は終了した。しかしその様子を離れた地点で睨みつける少女の陰があった。

読んでくださりありがとうございます!


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