前作主人公vs今作ラスボス
はいどうも、裏わんこちゃんです。
今回もまたパーティーが全滅して、
私はいつものコンビニに来ています。
今までの私は暗い気分でヤケ酒していたわけですが、
ここ100周ほどは最高の飲み仲間が出来たおかげで
残された時間を明るく楽しく過ごせています。
やっぱりお酒を飲む時はこうでなくちゃ。
「ところで裏わんこちゃん
そのモモさんってラスボスも魔物である以上、
必ず攻略法が存在しているはずだ
魔物はパターン通りの行動しかできないからね
現在のモモさん突撃ルートでは
アホブタさんが真っ二つにされるそうだけど、
それ以外のルートではどうだったのかな?
何か違うパターンがあったとしてもおかしくない」
「ん〜、どうだったっけな……
このルートに固定されたのはもう大昔のことだし、
モモさんと戦うルート自体レアだったからねぇ
思い出そうにもサンプル不足って感じですわー」
「危険な選択だもんね
死から遠ざかるに越したことはない」
「その危険な選択をするのが冒険者なわけですが……
あ、そうだ
冒険者といえばあの人がいたんだわ
ほら、いろんな意味で有名なあの人
あの人がモモさんと戦ったルートがあんだわ」
「へえ、それは君たちが彼と手を組んで
モモさん討伐を目指したってことかな?」
「いや〜、そういうわけじゃないんだよねぇ
私たちにその話が伝わったのは完全に事後だし、
うちのチームがあの人と直接会ったことはないよ」
「そうなんだ
それで、何か収穫はあったのかな?」
「勝った」
──安土桜夜は悩みを抱えていた。
否、悩んでいたのは彼だけではない。
それは代々の安土家当主に課せられた宿命……
この500年間、誰一人として解決できなかった難題。
安土桃之進の討伐。
当然、何もしなかったわけではない。
歴代当主たちは腕に自信のある者たちを雇い、
歴代最強の剣士に立ち向かわせてはいたのだ。
だが結果は惨敗。成果を得ることはできなかった。
勇敢に戦った者はなんの情報も得られずに死亡し、
それ以外の者はなんの情報も得ずに逃げ帰ってくる。
その状況が500年以上も続けられてきたのである。
だが、諦めた者は1人もいない。
安土桜夜も勝利を信じて戦士を送り出していた。
「おお、こんなに集まってくれたのか……
26、27……128人!
これは過去最多だぞ……これならいけそうだ!
しかも今回の討伐参加者の中には、
あの藤原兄弟までいるそうじゃないか!
なんでも、関西では有名な冒険者だそうだな!
あの秩父防衛戦に参戦した実績もあるんだとか!
とにかくこれだけの実力者が一堂に会したんだ……
これは今までで一番希望が持てる戦いだ!」
総勢128名の冒険者が一斉に顔を上げ、
勝利への期待感溢れる眼差しを社長に向けた。
希望……まさに希望だ。
今回集まったのは最低でも5年のキャリアがあり、
いずれも豊富な戦闘経験を積んできた者たちなのだ。
それにあの藤原兄弟まで参戦するというのだから、
敗北を疑う者は1人もいなかった。
しかし、彼らは敗北してしまった。
その内容は散々なもので、死者こそ出なかったものの
120名の冒険者は最深部まで到達できずに引き返し、
8名は道中での負傷により戦闘不能となったのだ。
特に藤原兄弟の損傷具合は激しく、
兄の鎧は布切れのように引き裂かれ、
弟の脚に至っては両方とも
あらぬ方向に折れ曲がっていた。
ともあれ彼らは安土桃之進の討伐に失敗したばかりか
なんの情報も持ち帰ることができなかったのである。
これでは今までと何も変わらない。
安土桜夜もまた、敗北したのだ。
後日、安土桜夜の下に冒険者がやってきた。
彼も有名な人物ではあるが、関西では無名だった。
斎藤将太。
彼は東京魔法学園出身ということもあり、
つい最近まで関東圏で活動していた冒険者である。
しかも藤原兄弟と同じく秩父防衛戦の参加者でもあり
最終決戦メンバーの1人でもあった。
……だというのに、なぜだか彼は無名だった。
それもそのはず。
彼は“山口将太”としては有名なのだが、
苗字が変わった件を知らない者が多かったのだ。
そして彼は新婚ホヤホヤであった。
彼は妻・満月と一緒にやってきており、
社長室でも平然とイチャつくことで
そのラブラブっぷりを存分にアピールしていた。
そんな2人を前にしても安土桜夜は表情を変えずに、
力の限り心を殺しながら斎藤夫妻の話を聞いていた。
「……というわけで社長さん
僕たちに無間ダンジョンの入場許可を下さい
是非ラスボスの姿を拝見しておきたいんです」
「私たちは誰よりも冒険者に理解ある夫婦ですし、
やっぱり新婚旅行は冒険活動と縁のある場所──
ダンジョンがいいなって2人で話し合ったんです
……ね、ショー君♡」
「うん、ミーちゃん♡」
2人はラブラブだった。
「いや、許可できないな
あそこは思っていた以上に厄介な場所だったようだ
128名もの実力者たちを送り込んだというのに、
全員が全員ラスボスと戦うのは危険だと判断し、
撤退を余儀無くされてしまったんだ
どうりで500年もの永きに亘り、
誰一人として有益な情報を持ち帰れなかったわけだ
ダンジョンの外で魔物の流出を防ぐならまだしも
中で冒険……しかもラスボス見物が目的となると、
安易に許可を出すわけにはいかないよ」
「そこをなんとかお願いします!
一生に一度の新婚旅行ですし、
特別なものにしたいんです!」
「なんなら私たちがラスボスを倒してきます!
2人の愛の力があれば可能です!
……ね、ショー君♡」
「うん、ミーちゃん♡」
2人はラブラブだった。
「話にならない
お引き取り願おう」
後日、ウザい夫婦は別の冒険者を連れて再訪した。
その男の背丈は2mもあり、銀髪と獣のような眼光、
毛皮の外套の下には極限まで絞った筋肉の鎧を纏い、
近接戦闘に最適化された肉体の持ち主であった。
まるで海外の格闘家を思わせる風貌をしているが、
彼はれっきとした日本生まれ日本育ちの日本人だ。
甲斐晃。
いろんな意味で有名な冒険者であり、
彼は斎藤夫妻にとって共通の友人でもあった。
南極で重要任務をこなしていた彼は4ヶ月前に
斎藤夫妻の結婚式に参列するため緊急帰国し、
その後、再び南極で命懸けの戦いをしていた。
……そのはずだった。
「おい、ふざけるなよ山口
いや、今は斎藤か……まあどっちでもいいが…………
俺はお前らが緊急事態だと言うから戻ってきたんだ
それがなんだ、ダンジョンでハネムーンだと?
俺にその護衛をしろだと……?
お前は一体……お前らは一体何を考えているんだ?
それとも何も考えていないのか?
本当に一体どうしてしまったというんだ……
俺の知る限り、お前らは理知的な人間だったはずだ
それが、一体、どうしてこんなことに……
今ここで、何が起こっているというんだ……」
アキラは困惑していた。ものすごく困惑していた。
そして安土桜夜も困惑していた。
安土桜夜は、甲斐晃という人間を誤解していた。
『500kgの鉄塊を片手で持ち上げた』だの、
『素手でゴーレムを一撃粉砕できる』だの、
荒唐無稽な武勇伝ばかり広まっているものだから、
きっと本人も調子に乗った若造だと思っていたのだ。
それがどうだ、至極真っ当な感性の青年ではないか。
これならば信用に値する。
彼は必要最低限の仕事をこなせる人間なのだと。
「よし、こうしよう
僕はアキラ君に無間ダンジョンの調査を頼みたい
そこの浮かれた友人たちからの無茶振りではなく、
一流企業代表からの正式な冒険活動の依頼だ
それならまだ納得のできる話だろうし、
南極での重要任務を抜け出してまで
緊急帰国した君の体裁は保たれるはずだ」
「それは大変ありがたい提案だとは思いますが、
日本国内のダンジョン調査とD7攻略とでは、
その重要性が全く釣り合いません
それは国内の冒険者に任せるべき案件です」
「いやあ、それがだね
つい最近100人以上の部隊を送り込んだものの、
あっけなく全滅しちゃったもんでね
これはもう、国内冒険者がどうこうできる
レベルではないと思っていたところなんだ
そこへタイミング良く埼玉の英雄が目の前に……
このチャンスを逃す手は無いだろ?」
「そちらの事情は把握しましたが、
だとしても俺の出る幕では──」
安土桜夜は机の上に写真を並べた。
するとアキラはその中の1枚に目を止め、
険しい表情で呟くのだった。
「これは酷い……
あの藤原兄弟がこんなになるまで……
たしかに、その無間ダンジョンとやらは
国内冒険者の手に負えないレベルのようです
詳しく聞かせてください」
よし、食いついた。
翌日、必要最低限の装備を整えたアキラは早速、
無間ダンジョンの調査に取り掛かった。
そしていざ突入……の前に、
安土桜夜に引き止められる。
「って、革袋1つだけ?
もっと色々と持っていった方がいいのでは?
それに、たった1人で突入ってのもなぁ……
仲間が多いに越したことはないんじゃないかな?」
「安土さんが不安になるのも当然だとは思いますが、
今回の任務は討伐ではなく調査ですからね
身軽さを最優先に調整しています
それに俺は魔力を持たない冒険者なので、
単独で動いた方が魔物に発見されにくいんです
おかげで不要な戦闘を避けるのに都合が良い
この隠密性能の高さが長所でもあります」
「ほうほう、なるほど……
まるで忍者だな」
「そういえば、これを渡すのを忘れるところでした」
「ん……なんだいこれは?」
それはコンパクトな液晶モニターであり、
一見すると少し大きめのスマホのようだった。
なんにせよ、画面を観るための装置に違いない。
「まだ試作段階ですが、リアルタイムで
ダンジョン内の映像を送受信できる装置です
今までは技術的に不可能とされてきましたが、
魔道工学の進歩により実現可能となりました」
「えっ……と、つまり……
これはまだ世に出回ってない最新機器!!
いいねえ!! 僕はそういうの大好きだよ!!
実用化されるのはいつ頃になりそうかな!?
というか、これいくらで売ってくれる!?」
「いや、貸すだけですよ
それは国際冒険者連盟の所有物です
開発の進捗について知りたければそちらへどうぞ」
少年のように目を輝かせる安土桜夜と別れ、
アキラは無間ダンジョンに入場した。
第1層。
ジェリー、ジャック、ジンが徘徊するフロアであり、
いずれも物理攻撃が通用しない精霊系なので
魔法を使えないアキラにとっては天敵であった。
が、戦う必要は無い。
アキラは敵の感知範囲外を素通りしていった。
第2層。
ソードスケルトンやスケルトンナイトなど、
復活行動が面倒な種族が出現するフロアである。
だがまあ、やはり戦う必要は無い。
アキラは完全にスルー……
しようとしたのだが、ここで邪魔が入る。
『アキラ君、ちょっと悪いんだけどさ
君が戦ってるところを観てみたいんだ
いや、君の実力を疑ってるわけじゃないよ?
でもほら、この先はもっと危険になるわけだし、
ちゃんとやれるのか確かめておかないとね』
アキラの実力を疑っている安土桜夜からの連絡だ。
まあ仕方ない。彼は冒険者ではないのだ。
あの程度の魔物はザコだということを知らないのだ。
アキラはソードスケルトンに正面から接近し、
速やかにその頭蓋骨を片手で引っこ抜くと
10m先のスケルトンナイトに向かって投げつけた。
ガシャン!と2つの頭蓋骨が粉々になり、
同時に2匹の魔物を討伐することに成功した。
「安土さん、ご確認いただけましたか?」
『お、おう……』
第3層。
再び精霊系3種が出現するフロアであり、
更には最上位ランクのウィルオウィスプまで加わり、
魔法使い無しでは戦闘が成立しないのは明らかだ。
なのでアキラは素通りした。
第4層。
ゴーレムが徘徊しているのだが、何か様子が変だ。
通常の3分の2程度のサイズであり、動きが少し速い。
この無間ダンジョン固有の変異種であると推測する。
学者肌のアキラにとっては非常に興味深い存在だが、
ここは観察したい欲求を我慢して先を目指す。
『アキラ君、またお願いしてもいいかな?』
そしてまた邪魔が入る。
……いや、今回はそれでいい。
『その、君の実力を疑ってるわけじゃないけど、
素手でゴーレムを倒せるなんて噂があるじゃない?
あれってどういうことなのかな〜っと……』
よし来た。
アキラはゴーレムの正面に立ち、
わざと掴まれるのを待った。
『えっ、ちょっ、アキラ君!?』
ゴーレムの右手がアキラを握り締める。
『やっ、アキラ君ーーー!!』
突如、ゴーレムの右手がバラバラに吹き飛び、
アキラは何事も無かったかのような表情で
体に残った破片を振り払っていた。
『えっ……ええぇ…………???』
「やはりこのゴーレムは小型化した変異種のようです
パワーを犠牲にスピードが上昇していますが、
初見の冒険者でも充分に回避可能でしょう
行動パターン自体に違いは無いと思いますが、
念のためこのまま10分ほど観察しておくべきかと」
『あ、ああ……うん
君の判断に任せるよ……』
そして10分後、観察を終えたアキラは
ゴーレムの胸部を拳で撃ち抜いて始末した。
第5層。
ドラゴンの群れがアキラに襲い掛かる!
アキラはドラゴンの群れを撃退した!
「炎ブレスを吐くレッドドラゴンは
国内では非常に珍しい魔物なんですが、
この調子だとブルーとイエローもいるはずです
強敵なので事前に知らせてもらいたかったですが、
まあなんとかなったのでいいでしょう」
『強敵……?
君は一撃で倒してたじゃない……
というか炎吐くんだね、さっきの赤いのは……
炎吐く前に処理しちゃったけど……』
ふと、アキラは地形の異変を察知する。
「あの場所に落とし穴がありますね
ショートカットになると思うので降りてみます」
『え、普通の床じゃないの?
どうやって見分けてるんだい?』
「音です
反響の差から空洞部分を割り出しました」
『そんな芸当が可能なのは君だけだよ……』
「いえ、同じことができる人間を知っています
まあ彼女は冒険者ではありませんが……」
『世界は広いなぁ』
第7層。
そこに出現する魔物は金属質の肉体を持ち、
硬そうな外見通り物理防御力の高さが特徴の
メタル系種族だけで統一されていた。
その硬さにより武器の耐久度を削る存在なので、
戦士タイプの冒険者からはとても嫌われている。
状態異常や弱体化が通用しないのも厄介であり、
雷属性だけが唯一の弱点となっている。
まあ、アキラにとっては全て無関係の情報なのだが。
「邪魔な位置にいるので倒しておきます」
『ん、アキラ君はどう見ても戦士タイプだよね?
物理攻撃は通用しないんじゃ……』
「いえ、ただ非常に硬いというだけなので、
物理攻撃で倒すことは可能です
この種族共通の弱点は雷属性だけではありません
HPが低いので、実は少ない手数で処理できます」
『君の場合は素手でも一撃なんだろうね』
「はい、ですが今回は敢えて別の方法でいきます
その方法ならば武器の耐久度を減らすことなく、
中級者以上の腕前があれば容易に再現可能です
安土さんには是非この映像を公開していただきたい
後進の育成も俺にとっては重要な課題なので、
あなたのネームバリューを利用させてもらいます」
『素手で倒すパターンも観てみたいけどね……
よし、宣伝に協力すると約束しよう
それじゃあ思う存分やってくれ!』
「ご協力に感謝します
では、まずメタルナイトの腕を引きちぎります」
『その時点で再現不可能じゃないかな?』
「引きちぎった腕をロープに括り付けて……
これで即席のフレイルが完成しました
これなら自前の武器を使う必要はありませんし、
もし途中で壊れても、敵からパーツを奪えば
いつでも新品と交換することができます」
『フレイル……ああ、ゲームで見たことあるよ
聖職者でも装備可能な鈍器だけど、
結局中途半端な攻撃力にしかならないイメージ』
「そんなことはありませんよ
敵の防御力がそのまま攻撃力になるばかりか
遠心力まで加わるので、その威力は絶大です
……まあ、百聞は一見にしかずですね
実際に戦ってみましょう」
アキラが即席のフレイルを
ヒュン、ヒュン、ヒュンと振り回すと、
ガシャ、ガシャ、ガシャと魔物が潰れてゆく。
『やっぱり再現不可能だと思うよ!!』
第8層……最深部。
ススキの生い茂るフロアの中心、桜の木の下には
満月に照らし出される雅な剣士が立っていた。
安土桃之進──無間ダンジョンのラスボスである。
『ダンジョンの中だというのに綺麗な光景ね……』
『満月の方が綺麗だよ♡』
『もうっ、ショー君ったら♡』
2人はラブラブだった。
「お前らも見物していたのか
頼むから黙ってろ……気が散るから
あの魔物はかなり手強い
ここから先は本気を出す必要がある」
『アキラ君は今まで本気じゃなかったんだね……
君にはつくづく驚かされっぱなしだよ』
アキラはその場から動かずにカメラを構え、
フロア全体をじっくりと撮影する。
「地面は直径15mの正円であるのに対し、
天井の中央部までの高さは18mとなっており、
偏長楕円体を半分に切ったようなドーム型です
この地形は大変ありがたいので、
使う機会があれば積極的に利用していきましょう」
『ん……『ありがたい』ってどういう意味だい?』
「安土桃之進の魔力攻撃の射程距離は15mなので、
縦の空間を利用すれば3mの逃げ場を確保できます
魔法ダメージを軽減できない俺にとっては、
この3mの差が生命線であるとも言えますね」
『たった一目見ただけで超有益な情報が……
それだけで500年の苦労が報われるよ』
「それと、あの満月は明らかに魔力構造体ですね
どんな性質なのか俺には解析不能ですが、
安土桃之進に有利な効果をもたらしているのは
まず間違いないでしょう
もしかすると本体よりも厄介な可能性があるので、
真っ先にディスペルで消滅させるのが得策です」
『うおお……超有益な情報のおかわり……!
僕は今、歴史的瞬間に立ち会っている……!』
「それでは行動パターンの調査に入ります
カメラはこの場に固定させてもらいますね
あと、喋りながら戦う余裕は無いと思うので、
解説が欲しい時はそこの2人に頼んでください」
『え、僕この夫婦苦手なんだけど……』
そんな安土桜夜の意見などまるで無視し、
アキラはラスボスとの戦闘を開始した。
安土流剣術奥義・剣風!
見えない斬撃がアキラを襲う!
アキラは冷静に太刀筋を見てから回避!
安土流剣術奥義・蠍突き!
高速の刺突がアキラを襲う!
アキラは横軸を少しずらして回避!
隙を見て軽く猫パンチを入れる!
安土流剣術奥義・轍!
駆け抜けながら一気に刀を振り抜く!
アキラはしゃがんで回避!
ついでに猫パンチ!
安土流剣術究極奥義・剣嵐!
目にも止まらぬ速さで四方八方を斬り刻む!
アキラは全部避けながら猫パンチで迎撃!
安土流剣術奥義・暴れ大蛇!
緩急の激しい不規則な移動乱舞攻撃!
アキラはタイミング良くジャンプしてかわす!
ついでに猫キック!
アキラの攻撃!
下から突き上げた拳が安土桃之進の腹部を捉え、
そのまま上空へと打ち上げる!
安土桃之進は天井に叩きつけられてから落下!
着地寸前に顔面へのアッパーカットが直撃!
ダウン中に胴体を踏みつけられる!
起き攻めの猫パンチが炸裂!
怯んだところへ打ち上げボディーアッパー!
そしてまた天井に叩きつけられてから落下!
着地寸前に顔面へのアッパーカットが直撃!
ダウン中に胴体を踏みつけられる!
起き攻めの猫パンチが炸裂!
怯んだところへ打ち上げボディーアッパー!
そしてまた天井に叩きつけられてから落下!
『えっ、ちょっ……何これ???
どうなってんのこれえええ!?!?』
『ああ、完全にパターン入りましたねこれ
最初にちょこちょこ猫パンチしていたのは、
相手の耐久力や強靭度を把握するためです
アキラの中ではもう充分なデータが取れたので、
今はかち上げコンボで敵のHPを削りつつ
様子を見ている段階ですね』
『今回のラスボスは人型軽装タイプなので、
重量が軽いためかち上げるのが楽なんです
どうやら安土桃之進は体幹値も低いようですね
この紙装甲っぷりから推測するに、
あれは攻撃力に特化した魔物なのでしょう』
『やっ、様子を見るって……
つまり彼はまだ本気ではないと!?!?』
『いえ、あいつは常に本気ですよ
その“本気”の定義が少々面倒でして、
なにも100%の全力を振り絞ることだけが
“本気を出す”ということではありません』
『アキラはいかに全力を出さずに戦えるか……
その安全マージンを確認しながら戦ってます
ある程度の余力を残しておかないと、
不測の事態に対応できなくなりますから』
『不測の事態、ねえ……
なんかこのまま倒せちゃいそうに見えるけど』
『その考えが現場では命取りになります
ザコ戦ならストレート勝ちでしょうけど、
なんたってこれはボス戦ですからね
このまますんなりと終わるわけがない』
『アキラが調査しようとしているのはこの先です
多くのラスボスが持っている特殊行動……
魔物が100%の全力を振り絞るアレですよ』
『アレと言うとつまり、ゲームでは定番の……』
『『 形態変化です 』』
『……君たちがちゃんと解説できることに驚きだよ』
そして、それは起こった。
安土桃之進の全身から黒い霧が噴き出す!
アキラは噴霧の衝撃で吹き飛ばされたものの、
空中で一回転してから着地を成功させた。
だが攻撃はまだ終わっていない。
むしろこれからが本番だ。
黒薔薇の刀から無数の霊魂のようなものが飛び出し、
安土桃之進の周囲を取り巻いて漆黒の渦を作り出し、
その邪悪な波動が竜巻となって広がってゆく……!
アキラはすかさず竜巻の中へと飛び込み、
全身全霊の力を込めて下から拳を突き上げた!
黒い霧と霊魂の噴射が中断され、竜巻も消滅する!
安土桃之進は天井に叩きつけられ……なかった!
安土流剣術奥義・流れ星!
空中で急旋回して軌道修正、アキラ目掛けて急降下!
アキラはバックステップで直撃を回避!
しかし、衝撃波により再び吹き飛ばされる!
そして石つぶてを浴びて軽傷を負った!
後半戦、開始……!!
『これが安土桃之進の第二形態……!!
なんか黒いオーラが出てて、いかにもだな!!』
『ええ、しかし計画通りにはいきませんでした
アキラは形態移行時の魔力攻撃を防ぐために
3mの逃げ場を利用しようとしていましたが、
それに失敗したばかりか今後も使えません』
『空中にかち上げると強烈な急降下攻撃が来るので、
相手に攻撃チャンスを与えることになります
なので、今までの戦い方はもう通用しません』
『そんな、上手くいってたのに……
でも、もう充分データは取れたよなぁ
これ以上戦うのはさすがに危険っぽいし、
ここらで引き上げるのが賢明な判断だろう』
『何を言ってるんですか社長さん?』
『これからが本番ですよ?』
『え?』
アキラは死闘の最中だというのに目を瞑り、
ゆっくりと深呼吸して精神を集中させた。
そして胸の前で両手を交差させ、
その拳に戦う意志を宿らせる。
獅子の構え──甲斐晃の最終形態である。
安土流剣術奥義・剣風!
見えない斬撃がアキラを襲う!
アキラは最小限の動きで回避しつつ接近を試みる!
安土流剣術奥義・双尾の蠍!
高速の刺突がアキラの前後から同時に放たれる!
アキラは最小限の動きで回避しつつ猫パンチで迎撃!
硬直時間の長さを感じ取り、そこから2発の追撃!
安土流剣術奥義・轍!
駆け抜けながら一気に刀を振り抜く!
アキラはしゃがみながら猫パンチで迎撃!
そしてすれ違いざまにガラ空きの背中へともう1発!
安土流剣術究極奥義・剣嵐!
目にも止まらぬ速さで四方八方を斬り刻む!
アキラは全部避けながら猫パンチで迎撃!
安土流剣術奥義・暴れ大蛇!
緩急の激しい不規則な移動乱舞攻撃!
アキラはタイミング良くジャンプしてかわす!
カウンターの猫キック!猫キック!猫キック!
そして最後の1発の反動を利用してバックステップ!
安土流剣術奥義・双尾の蠍!
高速の刺突がアキラの前後から同時に放たれる!
アキラは最小限の動きで回避しつつ猫パンチで迎撃!
硬直中に3発の追撃を行なった後、バックステップ!
安土流剣術奥義・双尾の蠍!
高速の刺突がアキラの前後から同時に放たれる!
アキラは最小限の動きで回避しつつ猫パンチで迎撃!
硬直中に3発の追撃を行なった後、バックステップ!
安土流剣術奥義・双尾の蠍!
高速の刺突がアキラの前後から同時に放たれる!
アキラは最小限の動きで回避しつつ猫パンチで迎撃!
硬直中に3発の追撃を行なった後、バックステップ!
『おいおい、これはまさか……』
『はい、どうやらハメが成立したようです
見ての通り、ポイントは相手との距離ですね
本来あの距離は標準的な槍の射程なんですが、
安土桃之進にとっては高速刺突のトリガーらしく、
内部で優先行動に設定されているのでしょう』
『アキラにとっては絶好のカウンターチャンスですね
しかも硬直が長いので安心して追撃できますし、
バックステップ1回で中距離を維持できるので
同じ行動を誘発するのが楽なんだと思います』
『硬直が長いって……楽とは一体…………
僕はとっくに目が追いついてないんだけど、
君たちはいつもこんな戦いを繰り広げてるのか?』
『いいえ、僕には真似できませんね』
『私も絶対に無理です……って、あら?』
『ん?
どうし……えっ、何?』
動きが止まった。
安土桃之進の動きが完全に停止している。
「安土さん、申し訳ありません」
『え?』
「行動パターンを調査するだけのつもりでしたが、
つい勢い余って倒してしまいました
詳しい話は脱出後にします」
『えっ、と…………なんだって???』
「本当に申し訳ありません
これからダンジョンが崩壊するので、
今は脱出を最優先に行動させてもらいます
現地からの通信は以上です」
『あ、うん……』
『……』
『……』
『…………』
……………………。
『あのさ、君たち』
『はい』
『なんでしょう?』
『彼は何に対して謝ってるんだ?』
『さあ?』
『わかりません』
『『 なんたってアキラですからね 』』
『そっかあ……』
甲斐晃……安土桃之進の討伐に成功──!!!!!
──場面は世界終了30秒前のコンビニへと戻る。
「勝った……って、すごいじゃないか!
やっぱりモモさんは完全に無敵ではないんだね!
攻略可能な魔物なんだ、突破口は存在する……
それで、何が決め手だったんだ?
甲斐晃はどんな戦いを繰り広げたというんだ!?」
「いや〜、それがねぇ……
私の主人格がその件には全然興味無かったせいで、
詳しい情報はさっぱりわかんないんだよねぇ〜」
「あらら、それは残念」
「ホント残念よねぇ〜
ま、どうせ失敗ルートなんで無意味なんすわー
うちのリーダーがメンタルやられて退学して、
その後ガチでマジのクズのヒモと化した結果、
私の主人格が時間巻き戻しちゃったからねぇ」
「そっかあ……」
「そうなんですよ……」
「……」
「……」
「世界の終わりに乾杯!!」
「かんっぱあ〜〜〜っい!!!」
基本情報
氏名:甲斐 晃 (かい あきら)
性別:男
年齢:25歳 (4月6日生まれ)
身長:200cm
体重:100kg
血液型:A型
アルカナ:魔術師
属性:なし
武器:戦う意志 (素手)
能力評価 (7段階)
P:10
S:10
T:10
F:0
C:0




