第522話 後始末
第522話 後始末
「死体をそのまま使うんじゃないんだな」
「死んだばかりならそうするけど、携帯するなら骨と、何にでも使えるお肉を持ち歩いて置けば最小限の荷物で無数の使役ができるようにする方が効率的だからね」
「マジックバックには無限の容量があるのにケチ臭くない?」
「物が増えると取り出し辛いからしっかりものを減らして全てを把握するようにしとくんだよ?それに、私のは安いやつだし」
「高いやつと安いのって何が違うの?容量は変わらないよね?」
「外側の耐久性だよ?高いやつの方が壊れにくい。それが物を出し入れするほど消耗していくから」
「じゃあ、これはどうなる?」
「これはねー、かなり難しいかな?骨はあるけど、全部取り出せないし爆発でお肉もかなり減ってるし、新しいのを付けても大量に消費するから出すだけ効率が悪そう」
「じゃあ、こんなに苦労して倒したのにうまく利用できないってこと?」
「うーん、そんな事もないよ?部位解体して素材にすれば高値では売れる」
「こんなの命を張ったのに手に入るのはお金なのか」
「割に合わないでしょ?命より大切なものなんてないのにね」
「でも、お金がないとお金が欲しくなるから不思議だよ」
「生きていけないからね。何で爆発したのかももう少しだけ調べないと」
「身体の中のガスに引火したのかな?」
「さっき出したばっかだけどね」
「さっきまでこいつの身体の中にいたに何だか小さく感じる」
エナと共に数百メートルは直進したのだが、地上に出てきたこいつは巨体とは言えせいぜい10メートル程度であった。
「地中では眠って伸びていたからね。魔力でも身体の中容易に削れたでしょ?今は縮こまってるから物理も魔法も聞きにくい」
「それはわかるけど、ここまで変わるのか....」
「魔物が何なのか?ってことはまだ分かってないし、不思議な生き物ではあるよね」
「そうだよね。どうせなら俺は食べると美味しい魔物がいいんだけどね」
「家畜じゃないからよっぽどうまく調理しなきゃだよ?取り敢えずは上にあがろうか?」
「調べなくていいの?」
「調べようにもまだ熱すぎる。デンケンがやったんじゃないってことは分かったから」
そんなことを喋っているうちに上から滑車と下に木の板がが付いた2本のロープが下されてきた。
二人がそれに乗ると上では滑車に乗せたロープを思い切り引っ張る。
滑車を先端につけた木製の支柱がギリギリと音を立てて不安定ながらも二人が上へと上がっていくのだ。
上 まで来ると木の板が二人の前まで掛けられそれを伝って戻る。そして、周りの人から口々に同じ質問をされた。
「二人で仕留めたのか!?」
「いえ、原因は不明で勝手に体内が爆発しました。もう死んだようですが、詳しく見たいので引き上げを皆さんにお願いしてもいいですか?」
「もちろんだ!俺達は誰も食われないで済んだ!ありがとうな!」
2、30人の炭鉱夫達がエナとデンケンに深々と下げる。
先程まで自分達で倒してないにも関わらず、自分達の手柄になってしまいそうだったことに苛立ち、ぶっきらぼうに説明をしていたエナも素直に感謝され少しだけ表情が緩んでいた。
「エナ姉ちゃん頑張ったんだし、自分で倒したことにすれば良いじゃん」
「それはダメだよ。そしたら次も頼られる。自分のレベルに合わない事まで自分の手柄にしたら過剰な期待をされて潰れるだけ」
「みんな!!エナ姉ちゃんは下にいるやつを倒してない!!でも、みんなに被害が出ないようにちゃんと対処してくれたんだ!!!」
「ちょっと急に何!!?」
デンケンが何の脈絡もなく、エナのことを叫びだす。
「頑張った人が労われないのは嫌でしょ?欲を言うなら俺だって頑張ったんだからみんなに褒めて欲しい!!!」
そんな言葉を恥ずかしがらずに素直に口にした。
「褒めて欲しいって、お金とかを要求しなくていいのかよ?」
「あんたらに払える金があるとは思えない!!!だから、沢山俺達を褒めてくれ!」
「それは違ぇねぇ!!よっしゃ胴上げだ!」
「え!?ちょっと!!?」
炭鉱夫とそれを焚き付けるデンケンのテンションについて行けずに戸惑いが身体を支配する。
そんな事お構いなしに命が助かった炭鉱夫達はその喜びを表そうとエナとデンケンの周りを取り囲み身体を空中に投げる。




