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[朝は男で夜は女!?〕異世界逆襲談 貴族パーティから追放された平民のアサシン。屈辱を与える為の成り上がり  作者: ディケー
忘草編

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第521話 置き土産

第521話 置き土産


「ふぅ」


「ヒトミちゃん!!悪いんだけど店頭手伝って貰ってもいいかな?思ってたよりも沢山の人が来てくれて....」


「またぁ?みんな私より大人なんだし、もっとしっかりしてよ!」


「ごめんねぇ〜、今までこうやって働いたことなかったから中々うまくいかなくて〜!じゃあ、待ってるからね」


「もぉ〜!」


 部屋の扉が開き白い厚手のリボンが背中に付いた特徴的なワンピースを着たゲルドの元お抱え回復術師の一人が手を合わせヒトミに泣きつく。


 扉が一度閉まるとヒトミがゆっくりと立ち上がりロングスカートを上からはたく。


 扉に手を掛けてニコニコの顔で開く前に口を大きく開いて命令をする。


「ここまでわざと遠回りして来たけど追って来てる人がいるかもしれない。各々残存魔力20%を切らない範囲で更に色々な所に行ったかの様に細工して来て」


 先程まで座っていた場所の床に蝙蝠や猫、犬、鳥といった小型の動物型ゴーレムとは見えないほどの細い魔力の糸で繋がっており、普段は魔力の供給がされる。その繋がり一時的に無くなり、床の煉瓦に溶け込み、何の痕跡もなく消えていった。


 使役を行う魔法は術者と使役される側で何らかの繋がりが持たされる。エナの場合は糸ではなく自分の魔力が届く範囲であれば魔力の供給はできるし、簡単な命令も飛ばせる。


 糸で繋がる必要があるヒトミはエナよりもこの点で劣っていると言えるが、エナよりも簡単にこれを通じて複雑な命令をできる点では優れている。


 思考や魔法の運用方法にもこの特徴は作用されるため、同じ魔法でも細かい部分が異なり自分用に洗練させていくのだ。


「私より魔法を上手く使えるのイラッとくるな」


 その様子を見届けた後に扉を勢いよく開く。すると屋台の様な店舗で、店内には先程のワンピースを着た髪を白く染めた元回復術師の20代前半の女の子達が3人おり、横並びになるだけでいっぱいになる屋台スペースのような掘立て小屋。


 カウンタースペースには折り畳まれた服が次々に出され、カウンターの下から在庫を取り出しお金を受け取りまた補充すると言うほどの混み具合であった。


「あ、ヒトミちゃん!!昨日も遅くまで服作ってくれてありがとう!」


「とんでもありません!お姉様方!それで今日、私は何をすればよろしいでしょうか?作るの専門で販売は不慣れでして....」


「作った自分の作品を好きな様に売ってくれれば大丈夫!」


「恥ずかしいです....」


「だったら、私たち3人でひたすら補充するからお会計をお願い!!」


「はい!分かりました!それならできそうです!」


 小さく両手を握りしめて気合い充分と言ったポーズを態とらしく取り、業務へと参加する。


 ここにいるお姉様と慕われる3人も、お客さん達もエナの第一印象は良い子。蟻も潰せぬだろうと思っている。


 土竜を殺すほどのゴーレムを開発しているなどとは誰も思わないし、気に入らない人を夜な夜な消しているとも思わなかった。




「土竜が動かなくなった!!下に降りたいから誰かロープ持ってきてくれ!!エナ姉ちゃんも引き上げるから滑車とかも必要かも!!」


「今手配してるからそんなでかい声を出すなよ!!また土竜が起きたらどうするんだ!?」


「でも、腹から爆発したように見えたぞ?流石に腹が爆発して仰向けになったやつが生きてるとは思えないんだけど?」


「それもそうだが、念を入れとけよ?」


 デンケンが穴の中を覗き混み、採掘現場を仕切るおっちゃんとデンケンに呼ばれる中年が二人して不思議そうに下を見ていた。


「急に爆発したけど、何でなのかな?しかも、体の中から爆発してる。私達が体内に入った時に何かやらかしちゃった?」


 瓦礫の中から這い出てきたエナが空洞になった腹部に顔を入れようとするのだが、触れただけで熱く間違えて顔など入れたら水分が全部持っていかれそうになる。


 ただの爆死ではなく、命をそのまま持っていかれているのだ。


「エナ姉ちゃん無事か!!!歩ける!?」


「デンケン!?めちゃくちゃ大変だよ!大量の化粧水が必要かも!顔の水分と油全部持ってかれそう!」


「急にどうしたんだよ!!」


 エナが自分だけを逃し、次の瞬間には土竜にエナが引き戻された。助けに行かなければと戻る暇もなく、土竜が倒されておりデンケンの頭は最早ついていけていなかった。


「分からないけど、勝手に死んだの。上ではどうなってる?」


「取り敢えずはここと上を行き来できるようにするようにみんな動いてる。エナ姉ちゃんは上の固定術式どうするの?まだ動いてるよね?」


「ああ、2体じゃどうにもならなかった時の保険のやつだね。2体とも爆発に巻き込まれたから上のやつも稼働止めて肉や骨を回収するよ。新鮮なお肉もどこか補充したいな」


 エナから供給される魔力が途切れ2つの丸い固定術式で待機していた茶色い2体のリザードマンの骨を覆う肉が溶けだし、白い湯気を上げていた。

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