第520話 トドメの爆発
第520話 トドメの爆発
エナが力を振り絞り瓦礫の隙間に身体を滑り込ませ残りの魔力で障壁を張り凌いだが2体のリザードマンは肉塊になりビチャビチャと音を立てて辺りに散った。
天を仰ぎ、口から黒い煙を吐きあげそのまま動かない。
「何これ?」
首からぶら下げるネックレスから指を離し辺りを魔力で強化した目でかなり集中して見回すと女性の拳よりも小さいバッタのような生き物がいた。
それが瓦礫の影や岩の裏に潜みそれが土竜の中に入り込むのだ。そして、一定の割合が入り込むと体内で爆発を引き起こす。
それを繰り返すうちにエナ達がが身体の中で開けたと思われる位置の穴から出血し、そのまま動かなくなった。
「死んだ?でも何で?デンケン?」
何故こうなったのか?それを理解できない。デンケンが魔力が切れる前に何かを残していたのか?
それが一番可能性があると思って上を見るとエナの名前を叫びながら泣きじゃくり、今にも静止を振り切って穴に飛び込もうとしているデンケンの姿が見える。
「デンケンじゃないの?あんなに騒いで馬鹿みたいだね。私たちじゃ倒しきれなかったのに....。自分の力量を見誤ったから未熟者は私か....」
キノが助けに来てくれたとう可能性も考えたが、そもそも通信範囲外のキノであれば自分がこんなにも傷つく前に助けてくれるだろうと考えを改める。
再びかなりの魔力を集中させて辺りを見回すも、何も見つからない。エナに残された最後の魔力ストックの指輪が黒くなり、また魔力が貯まるまで使えないように眠った。
エナの目に宿った魔力も供給源を無くし、静かに霧散していった。
瞬きをするともう普通の光景しか見えない。
エナが火薬で開けた竪穴に薬を流すのに使っていた横穴である無数の坑道。そこに正体不明の生き物達が雪崩れ込む。
大きいドームのような空間まで出ると、部屋の中央には茶色い髪の毛をチョロチョロと出した黒い外套の者が立っていた。
「堆積型の爆弾上手く行くと思ったんだけど、思って便りもうまくいかないな。食事に入り込んだりできれば色々な暗殺ができると思ったんだけど、巨体を確実にやるにはかなりのゴーレムが必要って分かったし、群れの自律型のゴーレムに私の操作を真似させるゴーレムを複数混ぜって動きを学習させても最後はドカン!」
地面に膝を着き、数体のバッタ型のゴーレムを袖の下に格納すると立ち上がり、部屋を出る。
「長く使う戦闘型のゴーレムに色々な動きを教えていった方が戦力にはなるか....?次はさっきみたいなエナお姉ちゃんのやり方を研究してみよ。助けを求められたし、助けないわけにはいかないよね?」
耳元にはエナが作ったキノとエナ専用の通信魔法具が付いていた。
「私がここにいたって証拠とか侵入経路とかバレると色々厄介だから適当にその辺爆発していって」
地面で蠢くバッタのゴーレムが散り、彼方此方の壁や天井に張り付き、主人が通った後に通路を爆破していく。
ガラガラと天井も崩れて下敷きになるかと言うところで、土でできた兎やら、鳥やら蛇やらの小動物がこのローブの子の周りを遊びまわっており、その中の1体が落ちてきた瓦礫に飛び込んで大きな爆発をすると粉々になる。
その空間だけこの国から切り離された自己犠牲を厭わない童話の中の世界のようであった。
爆風でローブのフードが捲れるとそこには新しい知見を得た上機嫌のヒトミが居た。
暫くそのまま坑道を歩き、体内の魔力を変換させ土を操る。
天井を階段に変え、自分を持ち上げる階段にし、それをいくつも登った後に降りの階段を作り下がる。
それを無数に繰り返すと、四角い正方形。真ん中に大きな定規や角度を図る機材が付き図面を立体的に作ることができる技師が好む作業机が置かれた部屋に出る。
部屋にある無数のトルソーには白いワンピースであったりズボンであったり、若い女性が好みそうな服が沢山かかっていた。
真っ黒な外套をその中の1つに掛け、町娘風の全体的に茶色いコーディネート。机の上に置いてあったエナのような丸メガネを掛ける。髪型も先程までハーフアップで額を大きな出していたのだが、それを下ろして目に掛かるように前髪を作るとツインテールを三つ編みのように結び垂らす。
そして、手元の顔料で鼻と頬に態とらしくそばかすを描く。




