第512話 無許可
第512話 無許可
「思ったことか....。この空間は何だんだろうな?ダンジョンでもないよね?」
「何でそう思ったの?」
「ダンジョンなら入ると別の場所に飛ばされる感覚になるけど、そうならなかった。それが外から見た大きさと中の大きさが釣り合わない理由だけど、この場所は外から見た大きさと中から見た大きさが一致するんじゃない?」
「だからダンジョンじゃないと?安直すぎないかな?私達が小さくなるタイプのダンジョンかもよ?順調に進んでると思ったら出てくる魔物がでかい的なやつ」
「中の魔力濃度も薄くて、魔法だっていつもみたいにしか使えない。こんなに薄かったら脱出用のアイテムだって、自動で起動しないでしょ?」
「確かにね。それに、奥から入り口まで行ったけど、魔物に遭遇しなかった。ダンジョンなら絶え間なく魔物が生まれるからそんなことはあり得ないって考えはできる....か....」
「じゃあ、この空間はなんなの?気持ち悪いし、早めに外出る?一晩でできたってのもおかしいしさ....」
「入ってきた入り口が閉じてたから無理だね」
「おやっさんたちに閉じ込められたって事!?」
「いや違う。入り口の門が閉まったんじゃなくてここに入った時の入り口が絞り口みたいに窄まって出られなくなってる」
「じゃあ、入り口を魔法で破壊して外に繋ぐ?」
「それはあんまり現実的じゃないね。私もデンケンも瞬間的に広範囲を吹き飛ばせるタイプの高威力魔法使えないでしょ?」
「一点突破ならなんとか?」
「その一点に外に人が居たら一大事だから、却下」
「じゃあ、どうするんだ?」
「取り敢えずここが何なのかは大体予想付いてる。なんでこうなったかも」
「教えてよ!!俺全然分からないんだけど!?」
エナから出た一言にデンケンの疑問スイッチが急にオンになった。
「こうなったかは多分これ。本物のダンジョンじゃないからうまく機能せずにダンジョンにいるスライムの身体を増やし続けたんだと思う」
「何これ?全く分からないんだけど?」
エナから透明な液体が入った掌で包み込めるサイズの小瓶を受け取り、チャポチャポと振るのだが、いまいち分からない。
少しでも中にあるものをよく見て見ようとして、エナが出している光玉に翳すとチャポンと水音がした。
「それは本来ダンジョンの地面とかを増やして整地したり、元の状態に増やすものだから....。前に教えたよー。ガツガツガツガツ!はぶぁ!ハフハフ」
そこには数本のソーセージが束ねられ鍋の中で茹でられていたソーセージにエナが齧り付き、滴る肉汁に怯む事なく貪り食べていた。
「ああ!アレか!って!おい待て!何やってるんだよ姉ちゃん!!」
「大丈夫、たくさんのスパイスを練り込んだし味付けしなくても美味しく食べられる....ハフハフ!」
「俺も食べたいんだよ!!独り占めは狡いって!!」
「仕方ないでしょ!?さっき無茶な戦闘したせいかお腹空いて空いて倒れそうだったんだからさ。デンケンはそんなに戦ってないからお腹減ってないでしょ?」
「あんまり動いてないけど、視覚調査は沢山したからお腹減ってるんだよ!!こうなったら、この鍋で違う料理を作ってやる!」
「あ、バカ」
「なんだよ!茹で汁スープにするつもりだったのか!?ソーセージ全部あんな美味そうに食べた姉ちゃんはスープで十分かもしれないけど、俺は全然足りないからな!」
そう言って鍋のお湯を地面に捨てる。その一部がエナが魔法で削った地面に流れると地面からぐるぐると言う呻きが聞こえる。
「今のお湯で活発に動き出したんだ。早いところ、この場所から出なきゃね。私は準備するからここの片付けよろしく」
「まだ何も食べてないのに!!」
「ここから出たらたらふく食べればいいでしょ!!下手するとドロドロに溶かされちゃうから」
「それは嫌だな。急いで片付けます!」
デンケンがテキパキと火を消し、タープや調理道具を片付ける。
その間にエナが杖を地面に差し込み、自分の魔力を流し込む。それを最奥から手前の部分まで等間隔に繰り返していく。
「こっから出るのは瞬間移動みたいな魔法を使うの?」
「そんな大規模な魔法使えないから物理的な破壊かな?」
「火力ある魔法使えないって言ってなかったっけ?」
「大丈夫、単純な命令文しか書かないから」
デンケンが大声で叫びながら1まとめにした荷物を入ってきた入り口にまで持ってくる。
「はあはぁはぁ!疲れた!」
「ご苦労様、時間もあんまりないみたいだし、早速始めようか....」
エナがデンケンのブーツを指さすとそこの部分が僅かに溶け出していた。デンケン達が先程までいた所に目を向ける。




