第511話 一つの真実
第511話 1つの真実
「えー、スライム食べるの?スライムは水っぽいから嫌だな」
「そんな好き嫌いしていいの?キノ姉ちゃんはダンジョンで魔物を捌いて食べてるんでしょ?孤児院に送られてきたお肉だって魔物のやつがあったりしたし....」
「そうだけど、流石にキノでもスライムは食べないと思うよ?」
「なんで?水っぽい魔力で構成されてる体液なんて飲んだら一気に魔力が回復しそうだけどな?」
「もし生きてたら、お腹を突き破ってそいつらが膀胱から出でくるかもしれないよ?男の方が長いから痛いって噂をよく聞くし」
「エナ姉ちゃん、お願いします!ここに転がっているスライムを食べて俺たち2人の膀胱が突き破られなくてもいいように調理するための食材や道具を貸してください!」
「ほい来た。なんでも貸してあげよう」
エナが辺りを火の魔石で地面を炙りスライムの体液で湿っていた水分を蒸発させ、マジックバックから二つの中ぐらいの折りたたみ腰掛けを取り出す。
電源も辺りの石を集め中央に置き、自分の魔力をふんだんに込めた火を起こす。燃えるものがなくても魔力を供給を行い続ければ消えることはない。
「お、火ありがとう!もうすぐタープも張り終わるから」
「洞窟の中なのに必要かな?」
「さっきみたいにスライムが落ちてきて料理に入ったら嫌でしょ?これ建てたらマスターピースに食べさせる魔力の採取に行くから」
「はいよ!!調理道具も置いて行ってな?」
「わかった」
四角を天井に固定し、空気の通り道を確保する。これがないと空気の通り道がなかったらお陀仏だ。
マジックバックから大きな布袋を取り出し、デンケンの近くに置いた。
「ありがとう」
「どう致しまして。中に食材も入ってるから潰さないように」
「潰すような食材を調理道具に入れるなよ?」
「男なら細かいことは気にしない!じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
エナに短くデンケンが答えるとエナが入口の方に向かって1人で歩いていく。
途中で自分が使う親指の爪くらいの魔石のマスターピースを取り出す。
「中々大きく綺麗にならないな。キノのやつは子供の拳ぐらいあるのに」
それを使役しているフォレストバットに持たせてパタパタと飛ばしながらエナも足を動かす。
「まぁ、冒険者を始めたタイミングが違うしゆっくりやっていこうかな」
エナ自身もいくつかの魔石を持ちダンジョンの真ん中で止まると
get together
スライムの残骸から身体に宿る魔力がエナが持つ魔石にどんどん集まって行った。
「全体的に水と土の魔力が濃くなってる。にしても私のマスターピース中々大きくならないな。これじゃあ、お金に困った時売り払えないぞ?」
冗談まじりに手の魔石を見るのだが、色も大して透き通っていない。それに3分の1は自身の無属性魔力で押し出している為、白く濁っていた。
お世辞にも綺麗とは言えない。
「集まりもかなり弱い。濃度が低いんだ」
入り口まで戻るとデンケンの元へと引き返す。
「お帰り、姉ちゃん」
「ただいま!魔石の収穫しなくていいの?」
「エナ姉ちゃんがほとんど倒したやつだしいいや。取り敢えず鍋使ってお湯は沸かせといた」
「スライムの体液じゃないよね?」
「布袋の中に水があったから今回は使ってないよ?飲んだことある?」
「あるよ。内臓を傷つけないようにしたやつじゃないとジャリジャリしててまずい」
「うわっ、何かリアルだな....」
「生々しいでしょ?冒険者やってれば色々知れるよ」
デンケンが日の近くの腰掛けに座りエナも火を挟んで真ん前のそれに座る。
「で、収穫した魔力はどうだった?」
「どうもこうも、水と土の魔力ばかりだった。私たちが死ねば少なからず光の魔力が出て魔石として取れるんだけど全く反応無かったから私が最初に思ったことは違うね」
「ほら、いくらおっちゃん達がクズ野郎でも、人殺しはしないよ」
「サラッと酷いこと言うね。取り敢えずここについて思った事を言い合おうか。今後の行動にも繋がるし」
食材が入った布袋の中からソーセージを取り出し鍋の中へとジャボシャボ入れていく。




