第506話 探検
第606話
「進むのはまだ早いから待ってゆっくり行こうか」
「なんでだよ!?少しでも急いだほうが....」
「ダンジョンによっては一緒に入っても内部に入る時に別の場所に飛ばされることがあるからここがダンジョンになっているのかと、別の場所に飛ばされる心配があるのかの確認てるんだよ」
「へぇー、なるほどなー」
一刻でも早く奥に進もうと躍起になっていたデンケンも納得する。入るタイミングがズレ別々の場所に飛ばされてしまったらたった2人しかいないパーティだと合流できない可能性だってあるのだと再確認する。
「デンケンはダンジョンでの戦闘をしたことはある?」
「試験の時にしかダンジョンには入ってないんだよ。まずかったりする?」
「ダンジョンのノウハウが私達かなり少ないから充分気をつけて行こうか?少しでも気になることがあればすぐに共有しよ」
「分かった!ホウレンソウ、ってやつだな!」
「難しいの知ってるね。ここかなり広いみたい」
「一晩でダンジョンが出来上がるなんてことあるのかな?」
「魔力が高い場所にダンジョンが出来やすいけど一晩で入れる程のダンジョンになったって話は聞いたことないよ?デンケンは?」
「俺もないな?そもそも、地面から岩が迫り出して来てたとか、いつの間にか木にウロが出来て気付かないうちにダンジョンが出来上がって入り口に触れてようやくダンジョンってわかるってことはゆっくりそうなるってことだろうし」
「そう言う兆候があるってことだよね?でもここは一晩で拡張されたから見た目だけダンジョンで中は違うのかもね」
そうエナが口にするとゆっくりと前に歩き出す。
「調査は終わったの?歩いて大丈夫?走りたいんだけど!!」
「相変わらず元気だね!でも、走り出すのだけはちょっとやめてね」
「えー、なんでー?」
「フォレストバットに魔力を送れる距離は500メートルが限界なんだよ。だから、ゆっくりその後を追いかけていかないといけない。それにあの子達は空を飛んでるから地面の脅威は把握しきれない場合があるからさ」
エナがフォレストバットと一定の条件下で視界を共有しているのか、時々斜め上を目を細めながら見上げ、地面も魔力を込めた目で見ると言う事をやっていた。
「エナ姉ちゃん...疲れない?....それ?」
「疲れるけど、慣れれば大丈夫だよー」
相変わらずポワポワした返事が返ってくる。
「躓くと危ないから姉ちゃんは上から警戒ね。下は俺が見る」
デンケンが目に魔力を込める。目の周りに魔力が集ってくると薄暗かっただんだん視界が明るく見える。
「『強視』」
キノやエナとは少し異なり細い血管のように集まった魔力の通り道が無駄に活性化し、ミミズが這ったような跡が顔に浮かぶ。
「よっと」
そして、エナのチョップが後頭部に突き刺さった。
「いてーな!何するんだよ?」
「デンケンこそ何してるの?目に魔力をそんなに沢山込める必要無くない?」
「このくらい込めたほうが地面に何が仕掛けられててもどんなに深くあっても見つけられるんだ!」
「おバカすぎるよ。何もない場所だったら意味ないじゃん!」
「何もない場所なのかどうかはやってみないと分からないだろ!」
「それで何も無かったらどうするの?ただただ魔力が勿体無いよ?」
平行線に見えた不毛な討論も、痛いところ指摘されたデンケンが口籠る。
「だって、さっきエナ姉ちゃんが慎重になれって言ってたし....」
「ふーん、私のせいなんだー。それで死んだら私が悪いの?」
「だってさ!!」
「はいはい、分かったから。ちゃんとした使い方教えるから泣かないでね」
「別に中ねーよ!」
振り上げた拳をどうすればいいか分からなくなってしまったデンケンが目を擦り、必死に堪えた涙を拭き取った。




