第498話 使い方
第498話 使い方
「どう?」
「分かった!!立ち上がりが遅いなら常時命令文で待機状態にして体の一部に魔力を貯めとく!それでさっきみたいに使えばいい!」
「そうなったか。私の考えとは全く違う」
「え?」
4つの媒介をキノが受け取るとそれを正方形になるように並べる。
「媒介はそれぞれ4つの役割をさせることできれば4つで1つの効果をもたらすようにするのもできる。これは結界術」
「単品同士で使うのと何が違うんだ?」
「一定間隔で並べるとその間に繋がりができる。一つに書き込んだ命令文を他に共有されるし、魔力の総量は何倍にもなるから見えなくしたり一定の人が迷うようにもできる」
「孤児院だとそうしてるよね?」
「立体的に魔法が使えるってことか.....。閉じ込めたりもできそう。普通の魔力を見えるようにする事も?」
「理論があれば。どう作用してどうなるかを命令できれば可能」
「なるほど。試したいことは色々あるな。さっきみたいに攻撃をするとしても4つまで。かと言って大きなことに使うとさっきみたいな攻撃はできないと....。この媒介って自分で作ったりもできる?」
「できるし、元から媒介になってるものを買うこともできる」
「元から?」
「基本的に媒介は魔力を持続的に浴びてるとなる。人が大事にしてた物や、冒険者の持ち物。元の物からあまりにも大きく外れた使い方はできないけど、その分強力」
「因みに孤児院の媒介は何使ってるの?」
「水が湧き出るジョウロに、消えない木炭。光が消えないランプ2つ」
「案外元はしょぼい製品なんだね」
「人が慣れ親しんでるものがほとんど。魔法的に組み込めば媒介だし、そう使わないと便利グッズ」
「身も蓋もないね。せめて、再現しにくい命令分だと魔法効果を組み込めるとか言っとこ」
「まぁ、ダンジョンとかだと魔物を集めたり、対人戦で使おうとしても明らかに高魔力の反応だから警戒されて終わるから使い勝手は悪い」
「ん?待てよ?結界術として使う場合は四隅に配置する必要があるんだよな?」
「そう」
「その場合は罠みたいに使えば良いのか?」
「そんな見え見えの罠誰も引っかからない。身体から支柱を出して前後左右に配置するように固定する」
「格好悪!!!そもそも組み立て流までにやられるだろ!」
「普段からやっとけばいい」
「頭おかしい奴だと思われるだろ!!!」
えっ?と言うようにキノが首を素で傾げる。そこでようやく、考えが浮世離れしていることに気付いた。
「へー、やっぱりキノさんは優しいですね」
キノとエナの話にユエルが割り込む。
「なんで?」
「警戒されるってことは、媒介を見えるように持ってるだけである程度の人は寄ってこないってことですもんね」
「無闇に力を振るうバカレベルならあしらえるって思った」
「それが優しさですよ」
ニマニマとユエルが笑いエナも微笑む。先程のようにスパルタな教え方をする反面でその後の事もしっかりと考えられており、安心感がある。
「取り敢えずこれで、攻撃も防御もある程度はできるからこの国の中でも死なない。後は好きに使って」
「ああ、学ぶことはまだ沢山ありそうだよな。結界術ってのも後で試したい。だけどいいのか?俺達はお前らを殺してた」
「結界術はセンスだから自分で身につけて。それと、いいか悪いかなんて知らない」
「「「は?」」」
キノの無責任な言葉にその場にいた全員が息を飲み込む。
「私はさっきの一団が弱体化すれば良い。子供を殺すのはやりにくい。ただそれだけ」
「そんなことで....」
「もう一つ理由ある。死にたがってたから生きたいと思わせる」
「別に俺は....」
「人は殺したくない。でも、組織に貢献しないとあそこにはいられない。あそこにしか居場所がない。死ねば楽だけど、自分で死ぬ度胸もない。だから毒を作って提供」
「そうだけど....」
「お前は優しい。この国には楽しいことが沢山あるしここにはお前を知ってる人もいない。生きる喜びや生きる楽しさを教えるのが貴方に対する復讐」
「国についたら戸籍の発行とかは私が責任持ちますね!しばらくは教会で保護します!」
「本音は?」
「新体制になったら人手が全く足りません!!毒を作っていたってことはどんな方法であれ毒には詳しい筈なので治療を手伝ってもらったガポガポ稼ぎます!」
ついこないだまでの質素倹約なユエルからは想像ができないような俗に塗れた発言。手ではお金を表すジェスチャーをし、瞳の中では金貨が映っているようであった。
「じゃあ、よろしく。私たちも帰還」
キノが手早く調理器具などの片付けを終えると、辺りを見回す。国の土壁に手を当てる。トンネルが瞬時に出来上がり、そこに走り込む。




