第485話 罠
第485話 罠
「魔力に変換されたってこと」
「変換ってよりは蓄積?これならエナが魔力をあげなくても多少は維持できる?」
「どうなんだろ?」
エナが自身の体から供給している魔力を切ると一瞬はなんともなかった。しかし、すぐに鹿がその場で倒れ込み、口から泡を吹く。エナも魔力供給を再開する。
「一瞬しか保たないね」
「沢山食べさせてみよ。近くに森がある」
「そこまで維持しろと?」
「できるでしょ?」
「ブルーベリー頂戴」
「はいはい」
キノから手渡されたブルーベリーをつまみ、自分の使い魔に跨りながらキノと森へ移動を開始する。
「何食べさせよう」
「ブルーベリーじゃないの?キノがくれたさっきのやつみたいな?」
「この森の植生知らない。植物より動物の方が豊富な魔力を貯めてる」
「小型の動物なら食べられるかな?」
キョロキョロと森の中に入り辺りを見回すとネズミに近い手乗りサイズの小さな動物がちょこちょこいた。
二人が背中から降り、鹿の使い魔に命令をする。すると、2匹の使い魔が走り出し前足で捕まえようとするのだが、うまく行かない。
捕まえられそうになると、物陰へと逃げ込みそれを躱すのだ。
「難しいなこれ」
「エナが蘇らせて使役してる使い魔はどういう原理で動くの?」
「私がどうして欲しいのかを言葉にしたり命令文をこの子達に流してそれに従ってる。魔力の受け渡しが常時されてるからそこに載せるだけだよ?」
「ふーん、でも今は失敗した」
「捕まえろ!だとどうやって捕まえればいいのか分からなかったりするからできるだけ細かく命令を飛ばしてるんだけど、動きが全く違うから難しいんだよ!!」
「じゃあ、もっと簡単にしよ」
「どうやって?」
「罠を張って動きを止める。どうやったら捕まる?」
「そんなの簡単。通り道を通ったら足に紐を引っ掛けて動きを止めればいいだけでしょ?」
「やってみて」
「え?」
キノから針金を渡されエナがやり方を考える。ただただ広い道に罠を作ってもそこを回避される。なので、ネズミが好みそうな気の根っこが地面から僅かに離れて小さなトンネルのようになっている場所に針金をピンと張って仕掛けた。
使い魔にはここにネズミを追い込むように命令を出した。
するとすぐにネズミを追い立てエナが作った罠があるトンネルへと誘導するのだが、次の瞬間にネズミはトンネルの反対側へと抜ける。
「あれ?」
「失敗」
「なんで!?キノはこうやって小さい動物捕まえてたよね!」
「大体は合ってる。こちらから見えてるってことは動物側からも見えてる」
「じゃあ、見えないように隠せば....」
再び罠を弄り、見えないように木の葉を被せる。そうやってまたネズミを追い立てるのだが、今度は不自然に木の葉が盛られた場所を避ける。
「失敗」
「えー、なんで!!しっかり隠したのに!」
「もっと単純な仕掛けでいい」
キノが針金で輪を作りそこに指を入れると輪が窄まりぎゅうぎゅうと締まる。そしてそれをネズミの体が僅かに通れそうな大きさに調整し、片側を地面に刺す。
丸見えの罠なのだが、それをエナと同じ場所に仕掛けた。2人が姿を隠しネズミがいつもの道を通ろうとする。その輪の中を頭が通りでっぷりとした腰あたりに差し掛かった所で身体にギッチリと針金が巻きつき抜けられなくなった。




