第486話 利用価値
第486話 利用価値
ピィピィと小さな体を振るわせそこから逃げようとするのだが、キツく罠が閉まるだけで意味はない。
「不思議そうな顔してる」
「そりゃするよ!!私が作った罠の方が脚に引っかかって効率的に捕まえられる筈だったのに!」
「手足が切れる。体が小さい動物は少しの出血で死ぬから怪我をする事に敏感」
「そんなに頭いいのこの子達?」
「ただの生存本能。頭が通ればそれより太い胴体が通ると思い込むくらいの脳」
キノが罠からネズミを取り外し手の中でネズミの首を折ろうと指を添える。すると先程よりも明らかにジタバタと逃げようとする。
「教えてよ!!」
「見てれば分かる。頭が通るまではおっかなびっくり行動してる。でも、頭が通ればその後は油断して素早く動く」
「キノと同じ形の罠仕掛けてやる!!」
「好きにして」
キノがエナの使い魔にネズミを差し出す。普通のネズミとは言え、森で死んだ魔物の死肉を漁って生きていたネズミは小さな体の割に豊富な魔力を持つ。
鹿が大きな口を開け齧りつこうとするが寸前で止まる。ネズミの身体から煙のように可視化された白い魔力が抜け落ち、鹿の目には更に生気が宿る。
「うん、レベルも上がってる。18レベルから20レベル。レベルはエナが込めた魔力?それとも死んだ魔物の元のレベル?」
「あんまり気にしたことないけど、どっちでもないよ。私が魂を縛って使役すると明らかに弱くなる。魔力をたくさん込めて魔法を発動しても弱いままだったから」
「ふーん、しばらくは検証。うまく行けばニーナが使役するゴーレム軍団より強くなる」
「強くなるって....。ニーナは仲間でしょ?」
「今はね。前みたいに暴走したら次は私が殺す」
「例え操られていたとしても?」
「操られてたとしても。私たちが廃棄されて死ぬ筈だったあの子達を拾って育てた。催眠や洗脳かは分からない属性外魔法だとしても魔力で自分を守ったり精神汚染されないようにメンタルトレーニングもした」
「だったら....」
「私たちの教育が悪かった。次他の人を巻き込んだり殺したら私は容赦しないでニーナを殺す。そのための抑止力はチラつかせたい」
「私の力だよ?」
「知ってるよ?」
キノの姿が一瞬で消える。空気に溶けた。そう形容するよりも周りの空気がキノに纏わりついたと言った方がしっくりくる。




