第483話 拮抗作用
第483話 拮抗作用
「防御力が著しく下がる。これと拮抗するのは身体をガチガチにする毒?」
キノがナイフを持っていた手がダランとするのを感じ、その部位に小さな注射器で身体をカチコチに固くする毒を希釈して打ち込む。
「勝手に色々な毒打ち込んでいいの?」
「ちゃんと精製水で希釈してるから大丈夫。どっちかが強すぎたらどっちかを多く入れる」
そう言ってブンブン手を振って毒が行き渡るようにすると、手を閉じたり開いたりして感触を確かめた。
「キノってさ、なんで毒使うの?キノみたいに器用なら魔力に命令流して今と同じことできそうだけど?」
「命令が複雑になるほど時間掛かる。毒を数種持ち歩いてたほうが切り替えもできるし楽。魔力抵抗がどんなに高くても意味ない」
「キノほどの戦闘能力があれば、不要な気もするけどな」
「毒にも毒で別の使い方もある。それに一回で出せる魔力が少ないから障壁みたいな殺傷能力0で物理防御と魔法防御に秀でたやつをなかなか割れない」
「その点毒なら、想定されてないからすぐに壊せるんだね」
「そう。物体に相性がいいのが動きをコントロールできる速度のある魔法で魔法を防ぐには魔法。魔法使いには至近距離での物理攻撃って感じで魔法抵抗力とかもあるから一口には言えないけど、毒はだいたい何にでも効くから便利」
「何は何に強いってセオリーみたいなのがあればいいのにな。そしたら安心して準備できる」
「世の中には絶対なんてない」
傷を治したエナもゆっくりと立ち上がりキノに続く。
「この後はどうするの?」
「どうもしない。ただのお散歩」
キノが壁沿いにゆっくりと歩き出す。エナはそれだけかと拍子抜けしながらも後悔する。
確かに散歩ではあるのだが、近くの森に着くまでに4回魔物の襲撃を受け、そのうち3回キノからさっきは守ったから次はエナが守ってと、手を貸してくれなかった。
魔物の遠距離魔法を障壁で防いでいる間に手持ちの小型の使い魔のストック骨が入っている瓶を取り出しすぐに組み立て、それが抗戦している間に別の中型の使い魔を組み立て、蹴散らすと言う戦法を3回行う頃には息が上がり汗も額に浮かんでいた。




