第482話 天然の武器
第482話 天然の武器
「両腕使えなくしたのは命取り。私は私でどうとでもできた」
「キノがどうにもできない可能性を考えただけ。さっきのやり取りから察するに物事の本質とかをもっと思考して、他人に考えることを任せるなってのを言いたいんでしょ?」
「そうなる。次はもっと想像力を豊かに」
キノとエナの周りにはエナが派手な魔法を使ったせいで、二足歩行の原始的な武器を持った人よりも一回り小さな狼型の魔物が集まって来ていた。
エナの魔力に惹かれたのだ。
「それは大丈夫。次はキノがどうにかしてくれる番だから」
「嫌な思考」
ポーションを患部に掛け傷の回復を図る。神経などの細かい損傷も死体の形を変えるのを応用して新しく作り出していた。
「えーっと、これどうしような?」
「いつもみたいに姿消して奇襲じゃないの!?こう、スババーン!って!」
「身体自体が消えてるわけじゃない。あくまでも気配を消して気付かれにくくするだけだから、こうなる!」
無骨な石の斧を振り下ろす攻撃を交わし、斧を踏みつけながら長い足で蹴りを出し、瞬時に死角に入って『隠蔽』の魔法を使うも、別の個体からの攻撃を避けるハメになる。
「頑張れー、か弱い私を守ってねー」
「援護ない?」
「身体を治して血を止めなきゃ新しい魔物が来ちゃうでしょ?」
「ど正論。でも早めに身体治して」
エナの方に向かおうとする数体のゴブリンには背後から持ち手がないナイフを投擲し、体には何本ものナイフが深く突き刺さっていた。
その直後に口から泡を吹いて痙攣して絶命するゴブリンが居たり、どんどんと呼吸が苦しくなってから絶命した。
「新しい素材ゲット!次はどんなの作ろうかな?」
「私の分も残しといて。毒の調合に使う」
「?毒って勝手なイメージだけど、植物とかから採取したりするんじゃないの?」
「それ偏見。大抵のものは他の生き物にとって毒。ゴブリンは強靭な肝臓があるからどんな悪食もできる。でも、肝臓自体にはたくさんの有害物質も取り込まれてる」
ゴブリンの肝臓付近に刺さっていたナイフをゴブリンを踏みつけながら抜くと先端が紫になっており、僅かに紫色の煙が刃身から溢れていた。
「何それ?」
「ゴブリンの身体で解毒されつつあった毒。肝臓を機能不全にして瞬時に死んだからかなり強そう」
びゅっと目の前の狼型の魔物に投げつける。深々と眼球に刺さり、痛みと共に身体を反るように激しく激昂していた所をキノが無情にも無防備になった喉を掻っ切った。
キノの手の隙間には何本もの毒を含んだヤイバが挟まれていた。
「さぁ、実験」
そう呟いた途端に周りの魔物にナイフを投擲し出す。狼型の魔物は途端に逃げ去ろうとするのだが、素早く逃げ出そうとすればするほど鋭い攻撃で逃がさない。
ある者には下半身だけを狙い動けないようにし、じっくりと毒の効果を観察。正面にキノを捉えた魔物はただただ動けなくなり心臓を貫かれる。
「この毒の即死量は人と同じならナイフ3本。効果は麻痺?いや、下半身に当てても呼吸混乱になってるのが多いから、筋肉の弛緩麻痺効果。致死までは量が必要だけど、肺とかの臓器まで弛緩させるのは魅力的」
そう言って鍛錬黒刀を取り出しまだ息のある魔物の首元に差し込むとなんの抵抗もなくに刺さったまま絶命した。




