第479話 お散歩日和
第479話 お散歩日和
「冒険者、キノ。壁の近くの魔物の掃討をこなしに来た。上上がってもいい?」
「お疲れ様です!職業はアサシンですね!そちらの方は?」
「冒険者のエナです!職業はネクロマンさー....」
自分で作った職業を言うのが恥ずかしいのか、だんだんと小声になっていき、最後には空気に完全に溶けた。
「お二方ですね!!最近は報酬のあるクエストにばかり冒険者の方が行ってしまって助かります!」
「大規模発生した魔物が壁付近に巣食う魔物を目掛けてきた日には魔物に色々混じって大変。定期的に人手は欲しい」
「ですよねー。一昨年のは壮絶でした」
「何かあったんですか?」
冒険者になったばかりのエナだけが置いていかれ、二人の顔がどんどんと暗くなっていった。
「中型の犬型の魔物が大量発生してキャラバンを襲っていたから討伐レイドが組まれました。物理耐性を持っていたので遠距離魔法が使える方々をメインにパーティを組んだら一部の魔物を撃ち漏らしたんです」
「よくある話ですよね?その後は物理攻撃メインのパーティで追撃を?」
エナがセオリーを語るとキノが首を横に振る。
「追撃部隊は出した。でも、みんな重装備のせいで遅くて壁際に巣食っていた別の魔物をそいつらが食べたせいで魔力全回復。それどころが、物理攻撃メインで組んだから魔法耐性が低くて一気に戦線が崩された」
「その後は距離詰められた遠距離部隊が壊滅寸前。教会の救助隊を出そうにも魔物がかなり強くてそいつらを討伐するまで入り口は開けられ無いってなって本当に大変でした....」
「え?それもう詰んでません?新しく戦力を投入しようにも、入り口開けないんですよね?」
「ああ、それは大丈夫。そちらのキノさんが上手いことやってくれました」
「え!?そうなの!?何したの?」
1匹狼気質でほぼ誰ともプライベートで絡まないようなキノがどうやって数々の冒険者の窮地を救ったのか気になっていた。
「非死亡性の毒を作って最大濃度にして散布。小さい穴から流せば魔物は入ってこない。それに白目剥いて倒れる仲間を他の仲間が引きずって散り散りに逃げるから一石二鳥」
「それ、レイド中の冒険者も吸うよね?」
「いやー、魔物の逃げ場はあっても冒険者の逃げ場はなかったので本当に地獄絵図でしたねー」
「その絵図を作った張本人キノじゃ無いですか!?なんかとんでも無いことをしでかしちゃってるような気がしてならないんですけど!?」
「そこまで大それたことしてない。私の前のパーティメンバーも居たし痛み分け」
「なんだかキノが追放されたのすごい真っ当な気するんだけど?」
「前のパーティメンバーだとあの道楽でダンジョン攻略してたリーダーのですよね?家長が居なくなってそのまま金銭面で負債を抱えてタンクの人と何処かに消えたらしいですよ」
「興味ない。プルエアのことは興味ある。美味しいワインも手に入るようになった」
「もうキノが何かの組織からの回し者としてしか見れなくなる」
「なんで?解毒できる毒にした」
「でも、中々解毒できなくてみんな長時間のたうち回って苦しんでましたよね?」
「よねー」
キノ視点で見ればパーティ追放には同情するのだが、キノではない他の誰かの目線で見たら逆にキノのパーティ追放は割と妥当な判断だったのではないかと考えるきっかけになったと後にエナは語る。




