第473話 口車
第473話 口車
「人生で大事なのは過剰な期待をしない事。デンケン達には好きにやりたい事やって欲しい」
「でも、良い仕事したらめちゃくちゃ褒めるよね?」
「頭が禿げるくらい褒めるし撫でる」
「キノのそう言うところ好き」
「私の全部が好きでもないエナが私は好き」
「勿論嫌な部分あるよー。お互い様でしょ?」
「そうだよ?嫌いな部分があるから好きな部分が際立つ」
暫く露店を覗き込むように歩くと急に雰囲気がガラッと変わる。
「お腹減ってこない?さっきあんまり食べられなかったし」
「ぺこぺこ」
辺りを見るとぶつ切りにしたお肉を串で打ち、炭火で焼いてタレを塗り香ばしく焼いた物や小麦粉を薄く伸ばした皮にして肉や香草を挟んだものなど様々な屋台フードが売られていた。
次々にキノとエナが買い漁り、近くに置かれた木製の机の上に色々な料理を並べるのだが、それだけでは飽き足らず、近くの椅子に自分たちが座った後近くにあった椅子を近くに寄せてその上に陶器に入った紫色の液体の飲み物を置いた。
机の上には先程の物以外に深いお皿に炊き上げた穀物にひき肉と細かく切られた生野菜がどっさりと乗せられた物や、薄く伸ばされた牛肉にこれでもかとチーズやバターが挟み込まれた物、餅に中に味が濃く煮込まれた刻んだ野菜が沢山入った物など、机の上が食べ物で埋め尽くされた。
「「頂きます!!!」」
2人が唸り声を上げてテーブルの上の屋台飯を貪る。肉汁が串から迸り、口へとスプーンを運び肉やら穀物を食べる。その様子を見るとおおとしか形容できない。
途中でキノがフードを下ろし、それだけでは飽き足らず外套を脱ぎ捨てる。顔があらわになり、周りの人が時の人になりつつあるキノでないかと顔を覗き込むようにして確認しようとするのだが、貴族とはかけ離れたような食事の取り方をしているので、それはないなとすぐに立ち去る。
「10年近く前に戦争終わった後くらいから食事がすごい豊かになったよね!?やっぱり、異世界の別の属性の国と交易をし始めたから?」
「それもあるけど、一番は周りの国との交易に監督者の分担が大きい」
「監督者の分担?何それ?」
「一つの属性の世界に監督者って言う世界を導く人が居る。この国だと王様達。それを世界ないし、国毎に監督者と同等の役所を置いて国を経営してる。もちろん、この国が総括役だけど」
「リーダーってことかぁー。他の国にも作ったから安定してるって、なんか変じゃない?」
「何が?」
「同じ属性でも複数の世界があってその中には無数の国があったり、1つの国だけだったりする。それってさ、おかしくない?」
「そう?」
「国ができた時に監督者みたいな人ができると思うんだけど....」
「まぁ、監督者は神様が世界を作った時に最初に世界の管理を任せた人だから、そう易々とは名乗れないのかも....」
「でも似たような人は現れるんだと思うんだよね〜。この国には監督者がいたけど、なんて言うかさ、まるで世界が増えていって増殖してるような感じするよね?」
「増殖か....。例えしてたとしても私たちには認知できてない」
「どう言うこと?」
「考えてみて。おかしくない?今この国は40の同じ属性の国と属性が違う別世界の国20と交易をしてる」
「それがどうかしたの?」
「それだけの人がいて物資もその分生産されてる。戦争がある程度激化してもその物資の量は何処かにある筈だよね?」
「まぁ、それを育てるための材料みたいなやつは何処かしらに残らなきゃおかしいよね」
「無かった」
「え?」
「この国でも戦争で食糧難になった時にいくつものキャラバンが食べ物を国内に持ち帰ろうと尽力したり、それを育てるための材料を手に入れようとしたけど、そんなものなかった」
「どう言うこと?国では民を賄うための生産物が必要なんだから、無いわけないでしょ?」
「でもなかった。つまり、私たちが認識できてないだけで戦争の後にいくつもの国ができてる。じゃなきゃ、説明できない」




