第471話 嘘つきはだれ?
第471話 嘘つきは誰?
「分かった。じゃあ、帰る。また何かあったら連絡して」
「ああ、鳥の魔法で運ぶ。色々ありがとうな」
ヴィルが手を振り、早々に森の中へと帰っていく。キノとエナも振り返ることなく帰路に着いた。
「走れヴィル!!あの2人の索敵範囲からは出た!!」
「わかってる!!」
シグが木の上から覗き込むように銃を構えてキノとエナが去った方向を警戒し、ヴィルが走り出したのを確認するとすぐに合流する。
しかし、その場に膝をつき走れなくなったヴィルの肩を抱えて無理矢理にでもシグが走らせる。
「大丈夫だったか!?」
「大丈夫でも、あいつらなんで今頃!?」
ガタガタとヴィルが震えて一心不乱に走る。
「分からない!なんで集落を侵略に来た取り巻きの奴らとあのキノは同じ顔なんだよ!!」
シグとヴィルの記憶が思い出される。武器を勧めてきた奴の顔は朧げなのに、それを取り巻く奴らは真っ白な外套に黒髪で透き通るように真っ白な肌。そして、キノと全く同じ顔だったのだ。
「分からない!私たちに仕事を斡旋したのも罠なのか!?たが、全て本心のように聞こえた!」
「ハヤテとシャルは気付いてるのかな?シグ!!?」
「いや。多分覚えてないだろう。私たちは偶々案内する時に下から外套の中が見えたから覚えてたんだ!至近距離で見てない2人は覚えてないだろうし、思い出させたくない!」
「私たちどうなるんだよ!これからどうすればいい!」
「分からない!ただ、何も気付いてないふりをして情報を集めるしかない!」
「できるのか!?怖いよ!」
「できるんじゃなくてやるんだよ!!」
涙を浮かべるヴィルにシグが強く言葉を返した。
「キノー?どう思った?」
「ハヤテの魔法の使い方、ニーナそっくり」
「だよね。ニーナは唯一の強化人間?改造人間の成功例だけど、そのオリジナルがハヤテちゃんってこと?あの子達が孤児院の子供たちと同じ境遇の子を作ってるってこと?」
「それにしてはやけに若い。その上、魔法自体使い慣れてる体じゃなかった」
「黒幕は別にいるってこと?」
「分からない。でも、一つ分かった」
「何?あそこで爆した跡が付いてたのは20人くらい。侵略に来た人が20 近くだったのに、集落の家の数も中々あった。40個分はないとおかしい」
「嘘ついてるってこと?」
「そしたらどうする?」
「もし子供達と同じ境遇の子を人工的に作って捨ててるなら、私が全員を嬲り殺す」
「そうなるのか、じっくり調べようか。今後もね....」
キノが素敵な笑みを浮かべながら狩人達の寝屋の方向を見つめていた。
「キノの顔を見て驚いたような反応をしてた狩人2人を捕まえて話を聞くとかしないでいいの?」
「私に尋問強要?」
「そう言う訳じゃないけど、自分の元パーティメンバーを容赦なく殺そうとしてたからやるのかなって」
「ユエルやプルエアみたいに悪に染まりきってなくて優秀なのは殺されない。それに、悪人が消える時だって理由が必要。周りに恨まれてれば楽」
ニンマリと笑いを浮かべ、そのまま森を去る。
「キノ、今日はこのまま帰る?」
「うーん、どうする?この前この森の調査をした時すぐに帰ったらニーナとベルがちゃんと働いてるのか聞いてきた。癪だからすぐ帰りたくない」
「了解。ブラブラして帰ろっか。まさか、職場をクビになったお父さんみたいな真似をする日が来るとは思わなかったな」
「なんかおっさんくさくて嫌。デート」
「デートかぁー、それなら....まぁ、仕方ないよねー」
先程までおっさん臭いことに多少の嫌悪を感じていたエナの顔がニコニコになる。2人とも仕事帰りなのもあって真っ黒な外套なのだが、そんな些細なことは気にならない。




