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サイドストーリー シャドウの日々 中編

彼女、小中 満と出会ってしばらく経った。


彼女と共に外出し、商業ギルドなどを案内する際に彼女が迷いはぐれないようにと手を繋ぐと顔を真っ赤にするその様子になんだか微笑ましく感じながら街を歩く。


男性に慣れてないのだろうか?

本人は恋愛というものをのめり込むほどしたことがないとそういえば以前食事をしながらぽろっとこぼしていたなと思い出す。


そうはいっても異性と手を繋ぐだけで顔を赤くするなど、なんとも初心なものだと思わないでもない。


街を歩く時はやはり物珍しい物が多いのだろう、視線をあちこちに彷徨わせるので手を繋いだのは正解だったのだろう。

そもそもこの街の構造を知らないミツルに一人で出歩けといっても無事に目的地にたどり着くことさえ無理だったろうな。


商業ギルドでは登録と共にギルドでのルールの説明を一通り受ける。

真剣に聞くミツルに付き合い、私もギルドでのルールを覚えておく事にする。

人はそこまで完璧に記憶しておくというのは難しい生き物である、なので主神様よりミツルのサポートを任されているのだから私が覚えていても損はない内容だ。


商業ギルドで登録の証であるプレートと冊子を手に入れ、それを大事そうに肩掛けのポーチの中に入れるのを見守り、戻る道すがらどのようなポスターを作ろうかなとニコニコとしているミツルと共に店に戻り、戻ればデザートを用意してくれていたものを食べる。


ヨーグルトを使ったレアチーズ風のケーキということだったがさっぱりしていくらでも食べられる美味しいデザートだった。

主神様も共に頂いたが、主食だけでなくおやつとしてデザートもこの世界のものとは違いさまざまな味わいがあって本当に美味しい。そして楽しい。


明日はどんな料理が出てくるのかいまからとても楽しみだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ミツルは近所への挨拶など、私がともに行くことを戸惑うそぶりを見せることがある。

本人はごまかしているようだが、彼女は私に迷惑がかからないようにとしているのだろう。


異性が連れ立って挨拶に行けば相手は付き合っているのだろうか?と勘ぐったりするだろう、それにたいして私が不快な思いをしないように、という


正直なところ、不快な思いなどするはずもない。

たしかに私と彼女はそういう関係ではない。だが、今後彼女が誰かに好意を抱き、付き合い、結婚するとしても私が彼女の庇護者であることは変わりはない。


ミツルは自分の自己評価がどうも低いようだが、とても魅力的な女性であると私は思う。

料理はもちろん、他者に対しても気遣いができ、笑顔が愛らしい。


本人が以前、日本人は愛想笑いが得意な民族なんですよ!と自信満々にいっていたが、そうういったこの世界とは少しずれているところもきにいっている。

そんなことを言えば彼女は目に見えて慌てふためくだろうから言わないでいるが。


つまりは私は出会って短いあいだに、彼女を気に入り、庇護者としてはもちろん個人的に彼女のそばに居たいと考えている。

もちろん、彼女が拒めば今後どうなるかは、わからないのだが・・・。


そんなおり、ミツルがこの世界の料理を食べてみたいといってきたのでこの街にいる妖精たちに話を聞き、特に美味いものを出す店を探し共に出かける。


手を繋ぎ、妖精たちから聞いた店に向かい歩いている最中、以前ミツルから他の女性からの視線が痛いといっていたな。

そんなもの気にしてもいなかったが私が聖霊であるということを知られるのは彼女にとってあまりよろしくないのでこの街に来た当初より認識阻害の魔法を使い、彼女にいらぬ火の粉がかからないようにしていたことを伝えた。もちろん彼女にもいらぬ虫がつかないように同じ魔法をかけていたのだがそのことを伝えるのを忘れていたな。


そんなことを考えながら屋台や店で食べた料理より、戻って食べた彼女手作りのゼリーの方が見た目も涼やかで味も絶品で美味しかったのだが、一生懸命考えたり悩んでいる彼女の姿に余計な一言を言わないように努める。


この世界に異なる世界の料理の味を広める。

そのために努力をしているミツルを見守るのが今の私のすることだ。

それでも夜食にと作ってくれたおにぎりは優しい味がしてとても美味しかったので、今度仲間の聖霊たちに自慢しようと思う。


異世界から来た客人は彼女と同じ日本人であったり、異なる国から来た人であったり、そしてそれぞれ性格も考えも違う。

定期的にどのような状況かを主神様に報告する際に他の聖霊たちと話をするが私の庇護者がミツルで良かったと思うことがよくある。


異様にわがままばかりを言う者の庇護者である土の聖霊が疲れたとよくぼやいている。

なんともいえない哀愁を漂わせているのでたまにミツルの料理をおすそ分けしているのだがそのたびにお前のところはいいな・・・と遠い目をするのが気にかかっている。


そのうち主神様に相談してどうにかしなければいけないのだろうが、相談をしてくれれば手を貸すことを伝えてある。改善すれば相談することもないのだがな・・・。


異なる世界からの客人とはいえ、目に見えて問題のある者は主神様に判断を仰ぎ、対処することになっている。

この世界にとって有害となるのであればたとえこちらが頼んだ立場だとしてもそれなりの処置をとる、それは異なる世界の神からも当然そうしていいと了承を得ている。


その際にはこの世界のことを他者に伝えるということをできないようにする処置をする。

異なる世界から他の客人を招くのはまだ先の事で、さらに言えば招く際にはそれなりの手順をふむ予定なのでその邪魔をされないようにするためである。


ミツルたちにはこちらの世界のことを極力話さないでもらう約束をしているので、その約束は主神様のお力により守られている。

本人たちはあちらの世界に戻っても誰かに話したいという気持ちを抱きにくくする魔法をかけてあるのだが、ミツルは気づいていなさそうだな。


ふと、妖精が見てみたいと言っていた彼女の表情を思い出す。

ミツルが妖精ってこんな感じ?といいながら見せてきた絵には幼い妖精の姿が絵が描かれていて、そうだなと伝えると目をキラキラとさせていた。


彼女のように穏やかであれば土の聖霊もあんなに疲弊することがないのだろうな。

かといって彼女の庇護者である立場を譲る気は毛頭ないが。


さて、考えを改めてその異様なわがままをやめるか。

せっかく異なる世界きたこの貴重な体験を手放すか。


私は後者になると予想するが、さて、どうなることかな・・・。





読んでいただきありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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