サイドストーリー シャドウの日々 前編
シャドウ視点でのお話となっております。
前・中・後編となっております。
ぜひ、お付き合いをよろしくお願いします。
主神様が別世界の管理をしている神々と会合を済ませお戻りになる日は、どこか浮かない顔をすることが度々あり、我々、主神様に仕える神々や聖霊、妖精たちはそんな主神様のご様子に心配をする日々を過ごしていた。
そんなある日、主神様は地球という世界の管理をしている神が主催となった会合から戻って来られた日に我々、神々と聖霊を招集し、地球という世界から客人を招くという話をされた。
我々聖霊も神々もなぜ、わざわざ異なる世界から客人を招く必要があるのか?と疑問に思い、その旨を主神様へ伝えた。
そうすると主神様は我々にオベントウというものを食べるようにと手渡された。
そもそも我々は食事をする必要はない。それでもヒトが作る食事というものに興味を持ち、幾度か食べたことはある。
なのでオベントウというものもある程度味の想像ができていたのだが、驚いたことに今まで食べたものと全くと言っていいほど違うもので、お仕えする神々も他の聖霊たちも同じだったのだろう、食べたことのない料理を夢中になって食べ終える。
主神様はわかりましたか?と一言。
異なる世界から招く客人とはこの料理を作った者だということであろうことが伺える。
朝の神が主神様に招くのは料理人ですか?とお聞きになられた。
主神様はいえ、料理人ではありません。
これは地球という世界の日本という国の家庭で作られたものだと仰られた。
料理人ではなく、一般人が作ったという料理に私はもちろん、皆が驚いた。
招くのは特別な才能があるわけでも、特別な能力があるわけでもない、一般人であり、10人ほどを最初に招き、この世界に異なる世界の料理の味を普及させた後、その料理を作る上で欠かせない調味料を作れる者、販売する者たちを招くという。
そしてすでに7人に了承を得ているという。
その了承を得ている者たちを護衛するのを我々聖霊に任せるということも仰られた。
この世界の人と違い、異なる世界から招く客人たちはとても脆いという、なので客人らを庇護する者が必要とのことで、我々聖霊にその役目をお任せになるという。
私が庇護する者は異なる世界で地球という惑星にある日本という国の者とのことだ。
聖霊である私から分体を産み出し、その分体がその客人を守る。
客人らが作る料理はどれもとても美味しく、また、この世界にはない調味料や料理法を使って作っているのでどれもこれも目新しい。
似た料理もあるが、似ているだけでこれだけ違うものかと驚く事になりますよ。
そして、料理をこれからも食べたいという気持ちになりますよ。とおっしゃっておられた。
主神様から説明を受け、数日後。
初めて顔を合わせた時は、どこにでもいる、普通の人
そういう印象だった。
それと妙にオドオドしているな、とは思ったが。
名前は小中 満
年齢は40歳という、異なる世界ではそれなりの年齢ということらしいのだが、この世界では40歳といえば種族によるがまだまだ若い。
それを口にすると嫌な思いをさせることがあるということは知識として知っているので言わずに止めるが、ふくよかな体型といい、彫りの浅い顔といい、日本人という種族の特徴なのか実年齢より若く見える。
そして彼女に頼み作ってもらった料理。
ホットケーキ。
この世界にも似た料理はあるが、あそこまでふわっとしていなく、さらに色んな食材と合わせて楽しませてくれた彼女の料理は主神様のおっしゃったとおり、これからもずっと食べたいという思いを抱かせてくれた。
いままでもこれからも食事をとる必要はない、ないのだが一度味わってしまうと次はどんな料理が出てくるのだろうか?と楽しみになってしまう。
この世界にある料理は素材の味を重視しているため、幾度も食べてはきたが、飽きてしまったのだ。
それが、久しぶりに味わう新しい味に楽しみを感じてしまう。
永い時を生きる我々は新しいことに興味を惹かれてしまう。
その対象が異なる世界の料理で、彼女が作る料理、持ってくる菓子や飲み物。
そういったものが目新しく、そして心が躍る。
分体を介して味わう異なる世界の料理は本当に味わい豊かで、久しぶりに楽しいと感じる。
そして彼女はお土産として異なる世界の菓子を持参してくれる分の半分は分体に、半分は直接自分で味わう。
どちらも同じ私ではあるが、やはり直接味わうとまた味わい深くなる。
主神様も日々、上機嫌で笑顔で過ごされている。
そうして、時折、仲間の聖霊とそれぞれの菓子や料理を持ち寄り集まる。
国や気候などにより異なる世界の料理の種類は様々だ。
同じ日本から来ている者の1人は鍋料理というものをよく作る。それもまた美味かった。
ミツルもそのうち鍋料理を作ってくれるだろうか?
定食というもので料理屋を開くという目標を持っているので、鍋は難しいのだろうか?
それでも彼女の作る料理は大変素晴らしい。
彼女の世界では普通の料理だという、さらに家庭によってアレンジも違うとのことだ。
レシピ本を開きながら何を作ろうかと悩んでいる横顔を見ていると、ゆっくり過ぎていくこの日々がとても貴重なものに思えてくるのだから不思議だ。
明日は一体どんな料理がでてくるのか、今から楽しみだ。
よんでいただきありがとうございます。
これからもぜひ、よろしくお願いします。




